第2話 朝練

 朝練のグランド10周走が終わった時、煌太は自分の身に異常を感じた。

 吐き気がする。とりあえず、水飲み場に向かったが足がふらつく。

 蛇口を開こうとした時に視覚に異変が起きた。

 視界の中に黒い玉が次々と現れ、最後には真っ暗になる。

 煌太は立っていられずにその場にしゃがみこんだ。


 同級生で友達の野口一輝が声をかけてきた。

「大丈夫か?煌太」

「めまいっていうのかな?これ」

「具合が悪いのか。島田先生に言ったほうがいいよ」


 ラグビー部監督で体育教師の島田は、煌太の容態を聞くと、

「病院行かないとダメだな。俺が連れて行くよ」

 と言い、救急指定の病院を調べる。

 そして、以後の練習をキャプテンの飯塚に任せると、煌太を自分の自家用車に乗せ、病院へと向かった。


 煌太は病院へ向かう途中で気分が悪くなり、車を停めてもらうと、道端に汚物を吐いた。

 一体なんの病気なんだろう?死ぬんじゃないか?と彼は思った。


 煌太が助手席に戻ると、島田が声をかけた。

「お前、盲腸の手術を受けたことはあるか?」

「いや、無いです」

「じゃ、盲腸じゃないかな」

 と言われて煌太は不安なり、島田に問いかける。

「盲腸って入院するんですか?」

 島田は、

「ああ、手術だからな。一週間位入院だ」

 とこともなげに言った後、何故か楽しそうに笑いながら、

「手術の時はな、あそこの毛を剃るんだぞ」

 と付け加える。

 あそこ…チンコの毛だよな。と考えながら、煌太は昔読んだネットの掲示板を思い出していた。

 自分の失敗談を書くネットの掲示板があって、そこに盲腸の体験談が載っていたのだ。

 その人の話だと、剃られているうちに勃起してしまい、それを看護師に見られて笑われたらしい。

 俺は大丈夫かな?と煌太は思う。なにせ、合宿中だからしばらく抜いていないのだ。

 それに、毛を剃るときってパンツ脱ぐのかな?チンコ丸見えか?

 …とあれこれ考えているうちに病院へ着いた。

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