第六話 曼荼羅華(まんだらげ)

 なぜだ。なぜ死なぬ。

 吒枳尼天呪殺法だきにてんじゅさつほうを七日間行ったはずだ。父と弟は吒枳尼天にこう、すなわち心臓と肝臓を喰われ死ぬはずだった。修法ずほうを行ってから六か月の間、二人は次第に弱っていき絶命するはずだったのだ。

 それがどうだ。少しも弱っている様子がない。

 三郎は父と弟の横顔を盗み見た。北条氏ゆかりの三つ鱗紋うろこもんの陣幕を背に、篝火かがりびに照らされながら大的おおまとをまっすぐに見つめている。

 毎年、正月の十一日には大的始めの儀が行われる。日が落ち酉の刻から始まるこの儀式は魔を払い島の平安を祈願するものである。神社の弓場ゆばしつらえた大的に、片肌脱いだ射手いてが次々に矢を射る。

 射位に立った射手が構え、弓を引き分けると場内の空気が張りつめる。篝火が時折はじける音だけが夜の境内に響いている。

「やー」という大音声で一本目の弓が放たれ、小気味よい音とともに的の中心に当たった。射手の仲間内が、ほっと緊張を緩める。大的始めは二手に分かれ、弓の技量を競う御前試合だった。勝った者たちには褒美が与えられることになっている。

 射手は、「えいっ」と掛け声を発して二本目の矢を放つ。今度は少し外れたために、声には出さぬが落胆の色を浮かべた。反対に相手方は、そっとほくそ笑んだ。大的始めの儀は静寂の中で、粛々と進んでいった。

 三郎は退屈を表に出さぬよう、膝の上の握りこぶしに力を入れた。呪殺の修法を行ってからというもの心身の不調が甚だしい。その上、呪殺の効力が少しも現れないとあって、焦燥は耐え難いものになっていた。些細なことで、感情が暴走し抑制がきかなくなった。いまはどうにか目立った問題を起こさずにいるが、いつか自分を抑えき れなくなる時が来る気がしていた。

 お珠の兄、内藤頼近は、新八の調べ通り、野間村の地頭の養子となった。それを見届けてお珠は平戸に帰っていったという。父を疑ったことを注進すると四郎は言っていたが、父の態度は以前と変わりない。相変わらず三郎を疎んじてはいたが。しかし最早それは些細なことだった。今は父と弟が吒枳尼天に黄を喰い尽されるかどうかが何よりも重要なことであった。

 七日間の修法を行っている間、三郎は度々幻覚を見た。そのほとんどがお珠の幻影だった。実際、三郎はお珠を諦めきれずにいた。幻の中のお珠は、いつも三郎を翻弄し四郎と共に軽んじた態度を取る。

 幻覚が醒めたあともその不快感はいつまでも残った。お珠と四郎が目の前で繰り広げる痴態をいつまでも見せられたこともある。会ったこともない男が、お珠と睦み合うこともあった。そういえば、その男は自分のことを空海だと名乗っていた。お珠の乳房に埋めた顔を上げ、「早うせぬか」と突然三郎を怒鳴りつけたのだ。三郎は、「なんのことを言っておる」と問い返した。すると男は、「馬鹿者」と一喝したのだった。その腹立たしさは、こうして幾日経っても忘れられない。と同時に、なにかやらなければならないことがあったのだろうか、と考えてみる。

 境内の空気が一変していた。三郎が顔を上げると矢の先が目の前にあった。射手の遠藤又右衛門が的を狙っていたそのままの形で、矢を三郎に向けていたのだ。この距離ではどんなに下手な射手でも外すことはないだろう。

 三郎は死を覚悟した。

 お珠の微笑みが頭をよぎる。

 四郎が腰を浮かし、「遠藤、血迷うたか」と叫んだ。

 それと同時に遠藤がどさりと前向きに倒れた。矢は三郎の肩をかすめ、後ろの陣幕を切り裂いた。遠藤の背には大的始めに使う特別な矢が深々と刺さっていた。相手方の射手がひきつった顔で大きく肩で息をしていた。

 一瞬の出来事だった。

 弓場は騒然となった。

 倒れてぴくりとも動かぬ遠藤を抑え込んでいる者もいて、人々は混乱の極みにあった。重臣たちは島主とその後継者を守るために人垣を作った。

 三郎は城に戻り、夜が更けても落ち着くことができなかった。一度は死も覚悟したほどの事が起きたのだから、これは当然のことだった。家臣の中に自分の命を狙う者がいようとは、想像だにしないことだった。その夜はついに眠ることができなかった。

 翌朝、家老の西村が部屋にやってきた。昨日の大的始めの仕儀を伝えに来たのだが、三郎の様子を見に来たようにも受け取れた。

「前例のない事でして、どのようにすべきかわかる者もおりません。結局はあのまま、大的始めは中途で取り止めということなりましてございます」

 三郎は怒鳴り付けたいのをこらえていた。種子島家の嫡男の命が奪われようとしたことよりも、大的始めの儀が無事に終了できなかったことのほうが一大事とみえる。

「遠藤は死んだか」

「はっ、心の臓を貫かれておりますれば」

「無論、首は刑場にて晒されるのであろう」

 西村は、「はあ」と言われた意味がわからぬような返事をした。

「儂を射殺そうとした逆賊ぞ。晒されて当然じゃ。遠藤に妻子はおるか」

「はっ、妻と三つになる男子、生まれたばかりの緑児がおります」

「その者たちも死罪のうえ首を晒すのじゃ」

 三郎が強い調子で命じると、西村は狼狽うろたえて、「それはしかし、殿がお決めになること」などと語尾を濁してしまった。

 西村はああ言ったが、妻子はその罪を逃れられぬほどの大罪であることは間違いない。父が逆臣の家族をそのままにしておくことはないだろうと思っていた。

 しかし数日後、遠藤の死因は事故死とされ、妻子は島外の里に帰ったと知らされた。遠藤を射た者に与えられるべき褒賞も当然与えられなかった。

 三郎は、それを聞いてもさして驚かなかった。やはりそうか、と思っただけであった。

 遠藤は多分、父と四郎に命じられたのだ。見込み違いだったのは相手方の射手が遠藤を射殺してしまったことだ。

 それを確信すると、あの時四郎が、「血迷うたか」と一喝したことを思い出して、憎しみを募らせた。

『四郎めが。白々しいやつ』

 その日、三郎は父に呼ばれた。父の面前で平伏し顔を上げると、意外にも父は温和で情愛に満ちた目をしていた。

「三郎、此度のこと、そなたには辛いことであったろう。儂も心が痛むぞ」

 思いがけない父の言葉だった。

「遠藤と妻子の処遇、そなたが得心できぬらしいと聞いてな」

 それを注進したのは西村であろう。三郎の喉元に不快感がせり上がる。

「三郎、考えてもみよ。大勢の家臣の前でそなたをあやめようとした者がいるということを公に認められるか。当家の面目に関わるわ。遠藤をよく知る者から聞き取ったことによると、遠藤は常々家督は四郎が継ぐべきだと言っていたらしい。だがあのような大それたことをしでかすとは誰も思わなかったと言っておる。このようなことになったのも、三郎、そなたの普段の振る舞いが原因とは思わぬか。そなた母を亡くしてから、様子がおかしいというではないか。あらぬことを口走ったり、ふらふらと城下を歩き回ったりしていると聞いたぞ。家臣たちがそなたを見て不安に思わぬはずがあるまい」

 そんなはずはない。幻覚を見ることはよくあったが、人に気取られることはなかったはずだ。これも四郎の讒言ざんげんによるものだろう。確かに母が身罷みまかったあと、何もする気が起きず虚ろな日々を過ごしていた。だがなんとか立ち直り、父と弟を呪殺することに生きがいを見出したのだ。呪殺の修法を行っている間は、めまいや苛立ちに悩まされ、感情を抑えられないと感じることもあったが、なんとか意志の力で制してきた。

 三郎は父の顔を見上げた。こうして見ると四郎によく似ていた。美丈夫と評判であるだけあって、歳をとってもなかなかに凛々しい風貌だった。

「なんじゃその顔は」

 真っ直ぐに父を見据えた三郎に、父はあからさまに不快感を表した。

「もう下がってよい」

 犬の仔でも払うように手を振った。しかし三郎は傲然と顔を上げて自室に戻った。もう父の顔色を窺う必要などないのだ。

 宝物蔵に行き、密教関係の書物をすべて護摩堂に運ばせた。木箱で十二、三箱もあっただろうか。堂の奥の壁に積み上げ片端から順に読み直した。六か月を過ぎても、まだ死なぬのはどこかに間違いがあったからなのか。

 数日かけて読み直したが三郎の修法は完璧だった。堂の中を歩き回り、どこかにしくじりがなかったか考え続けた。

『おかしい、間違いはなかったはずじゃ。しかしなぜ……』

 護摩壇の陰に布袋が落ちている。あれは七日間の修法のために、一日分ずつ小分けにした護摩だ。中味は木香もっこう白芷びゃくし丁子ちょうじ鶏舌けいぜつ欝金うこん白檀びゃくだん龍脳りゅうのう附子ぶし芥子けしそれに曼荼羅華まんだらげである。これらの香を揃えるのに苦労したものだった。

 布袋は七つ。それらを手に取った。どれも空のはずだった。だが、一つだけ手触りの違うものがある。

『まさか』

 震える手で開けてみると一回分の護摩が入っていた。

『ばかな、俺は確かに……』

 そうだろうか。間違いなく七日間、修法を行ったと言えるだろうか。あの七日間は、今思い出そうにも記憶が定かではなかった。連日、吐き気とめまい、幻覚と遠近感の異常があった。

 それと……。

『そうだ、時間の感覚もおかしかった』

 夕暮れ時だと思っていたのが、朝だとわかったときもあった。光の感じ方が異常だったので、朝を夜更けと思ったこともあった。

 三郎は、はっと気づいて、護摩壇の脚の傷を探した。自分でも日にちの感覚がおかしいと気付いて、小刀で傷を付けたのを思い出したのだ。

 護摩壇の脚には四本の傷があった。この印からすると四日しか修法を行わなかったことになる。それは違う。護摩の袋が六日分空になっているのだ。六日間は間違いなく行ったはずだ。

 三郎は足元が崩れていくような気がした。もし、六日しか修法を行っていなかったら。

『俺は死んでしまう』

 三郎は急いで木箱の中の書物を取り出した。

 やはりそうだった。吒枳尼天呪殺法を始めたなら、途中でやめることは許されないと書かれている。もしやめたなら、自らのこうを差し出さなければならない。  黄は心肝の意。心肝がなければ人は生きてはおられぬ。吒枳尼天呪殺法は命と引き換えの呪殺法なのだ。

 三郎は目の前が真っ暗になった。よろよろと足がふらつき、がっくりと膝をついた。その拍子に書物の入った木箱が崩れた。どこから出てきたのか、見覚えのない書物が現れた。表紙は黴のために黒く汚れていた。誰の書いた物かもわからない。しかし読み進めるうちに、それが空海の知られざる著書に違いないという確信を得た。

 古代密教の秘術について、これほど詳しく書けるのは空海を措いてほかにはいない。空海の著書をすべて読んだ三郎だからわかることであった。記されていた秘術は、千年ほど前の唐土で道士葛洪かつこうによって著された名高い奇書『抱朴子ほうぼくし』に酷似している。記述が重複するところも多いが、決定的に違うのは、この書物がきわめて実用的である点だ。『抱朴子』を下敷きに、より実現可能な手立てを示したものと思われる。この書物がどういう経緯で種子島家の宝物蔵にあったのかはわからない。いつからそこにあったのかもわからない。しかし過去にこの家の者によって読み解かれなかったことは間違いないだろう。それほど難解だった。 漢語に精通している三郎でさえ、相当に苦労した。それは内容が突拍子もないものだったからなのかもしれない。

 時が経つのも忘れ、三郎はむさぼり読んだ。読み終わる頃には、これが三郎のために天が授けたものであることを信じて疑わなかった。

『これしかない。俺が生きるためにやらなければならないことはこれなのだ』

 三郎はすぐに新たな修行の準備を始めた。呪殺法で使った護摩の材料を集める時も、かなり苦労したが、これはその比ではなかった。堺の商人を呼んで蔵の宝物をこっそり売り捌き、代わりに大量の金と水銀みずがねを買った。その他にも種々の丹薬の材料を買い集めた。丹薬とは金や水銀を主材料とした神仙薬のことである。

 最古の本草学ほんぞうがく書『神農本草経しんのうほんぞうきょう』では薬を上品じょうほん中品ちゅうほん下品げほんと分けている。上品には金、水銀、雲母うんもなどの鉱物系の薬が挙げられ、最も薬効が強いとされている。動植物は火に焼かれれば燃え、土に埋められれば腐ってしまう。自らの形を変えるものから作られた薬は人を生かしていくことはできないと考えられていた。これに対して鉱物、特に金は不変の性質を持つ物であるから神仙薬となりうるのである。上品は養命薬、つまり生命を養う薬であり、無毒で長期服用すれば身体を軽くし、元気を益し不老長寿の作用がある。ちなみに中品は養性薬、体力を養う薬である。病気を予防し虚弱な身体を強くするが、使い方次第では毒にもなる。麻黄まおう竹葉ちくよう烏賊骨うぞくこつなどがある。下品は治療薬で、毒性が強いものが多く長期にわたる服用はできない。附子、蝦蟇かま鼠婦そふなどがそれである。

 上品の中でも水銀は最高の神仙薬とされている。なぜなら水銀は唯一の液体金属であり、他の多くの金属と容易に溶け合い、永遠不変の性質を持つ金をも溶かすからである。

 水銀はという朱色の鉱物を精製したものである。水銀の混ざり合う性質を利用して作られる丹薬を服用することを外丹術という。しかしこれだけでは秘術は完成しない。外丹術と同時に内丹術を行わなければならないのだ。これは内丹と呼ばれる自分の力、主として精、気、神を錬成し自分の体内に蓄積し、精神の鋭敏化を図ることである。内丹術で足りないところを外丹薬が補うといってもいい。内丹術と外丹術とが互いに調和と増強を繰り返し、人の心と体は新たな次元へと進むのである。それを不老不死という。

 吒枳尼天呪殺法の失敗により、三郎は死ぬ運命にあった。しかしここで不老不死の秘術を行えばどのようなことが起こるか。それはだれも試したことのないことであった。書物には不老不死と同時に超人的な力が得られると書いてあったが、それがどのようなものかはわからない。だが、いまや三郎が恐れるものはなにもない。吒枳尼天がもたらす死が先か、不老不死の仙人になるのが先か。三郎は寸暇を惜しんで修行に取り組んだ。

 一般的に内丹術は三つの術を習得しなければならないとされている。一つは胎息たいそくである。胎児が有している清らかな気を凝縮させるために、鼻や口を通じての呼吸をなるべく抑え、母胎内で行う自閉的な呼吸に近づけるのである。二つ目は行気ぎょうき。日月の気を吸入し体内に行き渡らせる術である。三つ目は存思ぞんし。体内の臓器に住する神々の姿をできるだけ具体的に観想し、我が身に利するように操作する術である。これらの術に加えて空海はさらに、五穀を絶って身心を清浄かつ軽捷けいしょうに保ち、天地と一つになる方法を考案した。

 空海は独自の方法で究極の外丹薬も作り出した。

 三郎は書物に従って材料を集め丹薬をつくると同時に内丹術の習得にも励んだ。

 内丹術は傍目には瞑想しているだけに見えるかもしれないが、実際には激しく体力を消耗する。だが始めてから数日で自分の体が変わるのがわかった。まず精神が清明になった。かつてこれほど爽快な気分を味わったことはなかった。目に見える物、耳に聞くものすべてが美しく愛おしい。ついでに言うなら食べ物も一口ごとに感動するほど美味だった。父のことも四郎のことも、なんのわだかまりもなかった。人生がこれほど素晴らしいものであることを、なぜいままで知らなかったのかと悔やむほどだ。同時に感覚も鋭敏になった。風に乗ってやってくる月桃げっとうのかすかな芳香。その花の開花を告げる小さな音。雨のように降りそそぐ月の光を手のひらで受け止め、光の粒子を見ることができた。

 感動に震える毎日だった。あらゆる能力が日ごとに増していった。頭脳は明晰になり、直感力に優れ手を使わずとも物を動かせるようになった。木に止まった雀と目が合い、雀の言葉を理解した。これに外丹薬が加われば、どれほどのことが起こるのか想像がつかない。

 ところが外丹薬の材料が揃い服用を始めると、清明な気分はたちまち濁ったものになった。絶えず苛立ち、唇はひび割れ指先が痺れた。書物にはそういう体調の変化についても言及していた。指先の痺れは次第に全身に広がり、髪が抜け皮膚が青く変色しそうを生じ、両眼が赤く発光するという。だがそれは秘術が完成へと向かっている証拠であると述べていた。

 三郎もそれを信じて修行に励んでいたが、あるとき大きな間違いがあることを知った。材料が違っていたのである。すぐに新たな材料の調達を新八に命じた。それは昨日のことだった。ところが今日になって新八はできないと言ってきた。折悪く、今日は指先の痺れに加えて、全身の節々の痛みが耐え難いのだった。新八の言葉にかっとなった三郎は、感情を抑えきれなくなっていた。

「そなた誰にものを言っておる」

 いつもなら、三郎が一喝すれば身を縮めて震える新八が、今日は傲然と顔を上げたままであった。三郎の頭に血が上る。新八の右肩を足蹴にした。新八は後方に転がったがすぐに起き上がり平伏した。土に頭をこすり付けている。

「どうか別の者にお命じください。私にはとてもできません」

「儂の命令が聞けぬと申すか」

「どうか、どうかご勘弁を」

 腰の物に手が掛かった。このまま新八を斬り捨ててしまいたい衝動に駆られる。だが辛うじて思いとどまった。

「新八、大層に考えるからじゃ。どうということはない」

 三郎は慰撫する声色で言った。

「汚される前に救ってやるのじゃ。むしろ幸福ではないか。暮らしのために親に売られるくらいなら死んだ方がましであろう」

「私にはできません。私にはできません」

「もう、よいわ」

 怒りにまかせて叫んだが、他にこの仕事をさせる者のあてはなかった。

 新八をそこに残して城を出た。

 怒りが収まらない。

 貧しい家の娘を一人、連れてこいという容易い命令ではないか。城で奉公させるから、という理由ならばどこの親でも疑わずに喜んで差し出すはずだ。しかし、新八は娘の使い道に気が付いてしまった。

 三郎は城下の町を苛々と歩き回った。町はずれを流れる甲女川こうめがわのほとりまで来た時、三郎はあまりにも足が重くなり息切れがひどくなったために、川岸で休まねばならなかった。手のひらにはじくじくとした水泡ができて潰れている。

 外丹薬の材料は隠語で書かれていた。氷石ひょうせき竜膏りょうこう太乙たいいつ中石ちゅうせき玄水液げんすいえき桃肝とうかん。それを解読するのにはさほどの苦労はなかった。氷石は岩塩のこと。竜膏は緑青ろくしょう。太乙は止血薬の太一禹余粮たいいつうよりょうのことである。中石は石脳せきのうを指し、滑石の中にある。全ての石の中にあるというわけではなく、千個を砕いてようやく一個見つけるかどうかである。石脳が石の中にある間は五色の光を発し、自ら動くことができる。磁石のことを元水石というので、玄水液はこれを強い酸に溶かしたもののことである。問題は桃肝だった。三郎はこれを桃の種のことと解釈した。しかしたまたま読んでいた本に、桃が穢れの無い生娘の隠語として使われていた。桃肝は桃の種などではなく、乙女の肝臓を意味していたのだ。しかも生きた娘から取り出した肝臓である。他の書物に当たってみると、なるほど生肝いきぎもというのは霊的な力を得るための重要な要素であることがわかった。空海の考案した外丹薬はこれらの材料を水銀に溶かし、金の器で三日三晩熱し、金の蓋をかぶせ満月の夜に一晩冷やし固めるというものだった。もちろん、この間に大日如来の真言を唱え続けなければならない。そうしてできたものが、不老不死の丹薬なのである。

 甲女川の流れをぼんやりと眺めていた。自分の命がいつまでもつのか、考え始めると不安で叫びだしたくもなる。しかし今日はあまりにも疲れていた。死ぬのならそれも仕方のないこと、と投げやりになっていた。

 その時、川のほとりを見たことのある男が歩いてきた。あれはたしか城のうまや番の男である。後ろに娘を従えて、なにやらおおきな籠を背負い、両手には束ねた柴を提げていた。娘の方も、柴こそ持っていないが同じ大きさの籠を背負っているので、後ろから見れば籠が歩いているように見えるだろう。

 供の者も連れずに歩いている三郎を、種子島家の嫡男とは思わなかったのだろう。ただ、その衣服が高位のものであるので、男は立ち止まって立礼をした。父親に倣って頭を下げた娘は、十五、六だろうか生育の悪い貧弱な体つきではあるが、いかにも未通女おぼこといった純朴そうな顔をしていた。

 城に帰るとすぐに、三郎は婢が一人必要である、と家来に言い付けた。それとなく厩番の男によい年頃の娘がいることをにおわせておいた。

 娘が三郎の目に留まったと聞いて厩番は喜んだという。三郎が一日も早く出仕させるようにと急かしたにもかかわらず、娘はなかなかやってこなかった。

おなごのことですので、いろいろと支度があろうかと。行儀作法も教えねばなりませぬから」

 連日、三郎に叱責される家来は、言い訳の種も尽きたというように嘆息した。家来のうんざりした顔に、三郎はかっとなった。家来を蹴り倒し刀に手を掛ける。それを見て座敷の外で控えていた者が飛び込んで来た。

「三郎さま、どうかお静まりくださりませ」

 必死の形相で朋輩をかばう。

「お許しくださいませ。お許しくださいませ」

 平身低頭の二人に、肩で息をしながらようやく刀のつかから手を離した。

 早くしなければ。早く乙女の生肝を手にいれなければ。三郎の頭の中はそれのみであった。

 ひたすら頭を下げ続ける家来に目もくれず、三郎は厩に向かった。馬に飼い葉をやっていた男は、三郎に呼び止められ慌てて土下座した。

「其の方、娘を連れて参れというに、なぜ寄越さぬ。く連れて参れ」

 叫ぶように言い捨てて踵を返した。男には三郎が何を言ったか理解できなかっただろう。下賎の者に直接口をきくなど、あり得ないことだという思いが三郎のわずかに残った理性を揺さぶる。このような愚かな行為に衝動的に出てしまうのは無能な家人けにんのせいだ。さらにはそんな家人を養っておく無能な父が憎かった。

 後を追って来た家人は、三郎の怒りを宥める手立てが見つからず、おろおろとするばかりであった。

 そんなことがあった日の翌日、ついに厩番の娘がやってきた。中庭でひれ伏している娘は、誰が着せたのか上等な絹物を着ていた。なんのために娘を差し出させるか、だれも知らないのだから仕方ないが、ねやの相手をさせるためと心得違いをしているので、三郎は苦笑いした。

 娘に顔を上げるように言う。白く化粧を施した顔は美しかったけれども、川で見た娘とは別人だった。

「この者はだれじゃ」

「はっ、厩番の娘にございます」

 家来が答えて頭を下げた。

「違う。この娘ではない」

「この者も娘でござりまする。嫁に行っておりましたが父親に呼び寄せさせました。もう一人娘はおりますが、まだ年若ですので三郎さまのお相手には不足かと存じまして」

 家来は、三郎の剣幕に青ざめて早口で言い訳をする。

 三郎は刀を抜いて庭に駆け下り、一太刀で娘を斬って捨てた。晴着を血に染めて倒れる娘を、夢の中の出来事のように見ていた。

 ついにやってしまったか、と胸の裡でつぶやいた。これまで何度も刀を抜きそうにはなったが、その都度踏みとどまってきた。しかしこうなっては、さすがに父も黙ってはいないだろう。

 騒ぎを聞きつけて人が集まってきた。その中に新八の姿もあった。

 三郎はほっとして、人をかき分け新八の前に立った。思えば三郎の周りは敵ばかりであった。その中で新八だけが味方といえる男だ。新八はこれまでも三郎のためにずいぶん骨を折ってくれた。この騒動にどう決着をつけるか、新八ならばよい考えがあるだろう。

「新八」

 三郎は喜色を浮かべて呼びかけた。

「三郎さま、なんということを。たとえ三郎さまでも許されることではありませぬ。どうかお心を入れ替えて罪を償っていただきとうございます」

 新八の周りにいた者どもが、したり顔でうなずく。新八の声が聞こえていない者どもは怒りをあらわにして三郎を睨み付けていた。とても主人筋へ向ける顔ではなかった。

「あなたさまは、お薬をお作りになられてからすっかりお人が変わられた。どうかもうおやめください。もとの三郎さまに戻ってくださりませ」

 三郎の頭の中で何かが切れた。手にした血刀を新八に向かって振り上げている我が身が、なにか悲しい生き物のように思えた。予期したように誰かが三郎の手から刀を取り上げた。三郎を糾弾する声が波のように押し寄せてくる。いや、それは気のせいだったかもしれない。案外、冷ややかな声なき非難が三郎をもっと非難していたのかもしれない。

三郎は、ふらふらと城を出て森に向かった。無性にお珠に会いたかった。この島にはいないとわかっていても、森に行けばお珠に会えるような気がした。

 お珠がよく水浴びをしていた小川の水を手ですくい顔を洗った。水は澄んで清らかだった。種子島には良い水と土とがある代わりに鉱山がない。この島に水銀みずがね黄金くがねとが出れば、あり余るほどの銭が手に入る。銭さえあれば女の生肝だとて簡単に手に入るだろう。

 昼でも暗く湿った空気の澱む森には、植物や小動物の息遣いがひしめいていた。内丹術により、研ぎ澄まされた神経に、それは強すぎる刺激だった。ひどく息が切れ体が重いのはそのためだろう。それでも引き返す気にはなれない。お珠と一緒に過ごした榕の大木にもう一度行ってみたかった。榕の木は変わらずにそこにあった。 枝は幾重にも重なり繁茂していた。そのあまりにも厚く茂った葉に遮られて周囲には他の樹木は育たず、日蔭を好む草や苔が生えているだけだった。鬱然とした森はここだけさらに暗く、まるで異界への道がぽっかりと口を開けているようだった。

 榕は両手を広げた魑魅すだまのように三郎を迎え入れた。手といわず胴といわず、全身から気根を垂らした榕は森に溶ける精霊であり、同時に森を統べる帝王であった。

 三郎は息を切らしながら木に登った。手の皮が剥けたが痛みは感じなかった。

 その時三郎の視界に突然光が差し込んだ。顔を上げて見回すと、光り輝く鳥が頭上を旋回している。

 耳を弄する音と同時に、光を放っていた鳥は空中で千々に弾けた。血と肉とが雨のように降りそそぎ、少し遅れて白い羽が舞い降りてくる。

 突然、三郎は港に立っていた。出航する船を見送っている。船は見たことのない大型船だ。交易船に大まかな構造が似ているようだが明らかに異国船だった。蛇の舌のように二股に割れた細長い旗は倭寇船ジャンクではないだろうか。

 船に乗っているだれかを追って行きたいが、それは敵わずひどく口惜しく思っている。だが、それがだれで、なぜ追うことができないのかはわからない。あの船にはお珠が乗っていたのだろうか、と考えてみるがどうも違うようである。

 港に来るとお珠のことを思い出す。いつもいつもお珠を思って、このあたりをうろついたものだった。

 いつの間にかお珠が隣を歩いていた。

「お珠、平戸に帰ったと聞いたがいつ戻ったのじゃ」

「つい先ほど戻りましてございます。三郎さまにお会いしたくて」

「嘘を申すな。四郎に会いに来たのだろう」

 お珠は首を横に振り、拗ねた目で三郎をにらんだ。満更でもなかった。

 久々に見るお珠はやはり美しかった。前よりももっと色香が増していた。

「兄には会いましてございます」

「そうか、達者であったか」

「はい。殿様のおかげで落ち着くことができ喜んでおりました。我ら兄妹にとって種子島さまは恩人でございます」

 父の話が出たのは不愉快だった。

「いつぞやは、そなたの兄を疑ってすまなかった」

 返事がないので振り返ると、お珠の姿は消えていた。現れた時と同じでなんの前触れもない。三郎は母を亡くした時のような心細さに襲われお珠を探し回った。お珠の名を呼びながら城下を闇雲に歩き回った。

 城下の町人どもは誰一人三郎に気が付かない。

 愉快だった。

 ついに超人となり、卑俗な者どもの目に映らなくなったのであろう。そういえば、あれほど重たかった体も、今は空も飛べそうなほど軽い。

 道を行く町人たちに交じって異形の者が歩いていた。髷を結わない総髪に、無紋の黒い羽織黒い袴。背丈は六尺を超える大男だった。あれほど奇異な姿にもかかわらず町人は、まるで見慣れたもののように振り向きもしない。それとも三郎のように、普通の人間ではないのか。

 ふいに男と目が合った。怪訝な顔で不躾に三郎を見ている。無礼な態度に腹を立てたが男の放つ気に圧倒され、三郎は咎めることもできない。その時、またあの轟音が空に響いた。男と三郎は同時に空を見上げる。するとお珠がすでに空にいて、手を差し伸べ三郎をいざなっていた。

「あの音はなんじゃ」

 三郎が問うと、「火筒でございます」とお珠が答えた。

「火筒とはなんじゃ」

 お珠の隣を飛ぶ我が身を不思議とも思わず三郎は問うた。

「世の中を変える新しき武器にございます」

 お珠は海の中の小さな島を指差した。

「硫黄島で採れる硫黄なしには火筒はただの筒」

 硫黄島からは細く噴煙が上がっている。作物は育たず周囲の海は硫黄のために黄色に変色している。そのために古くからの流刑地であったこの島は、黄海ヶ島きかいがしまとも鬼界ヶ島きかいがしまとも呼ばれている。

 お珠が握っていた三郎の手をぐいと引いて、さらに高く空に登った。蟹の爪のような大隅と薩摩、高千穂の峰がぐんぐん小さくなる。お珠が北を指差す。山々の向こうに一際高い山が見える。

「あれは阿蘇か」

「さようにございます。阿蘇の向こうをご覧なされませ」

 言われるままに目を遣り三郎は息を呑んだ。

「あれは」

 阿蘇山の北側、さほど高くない山の上空に見たものは、輝く黄赤の炎が天に向かって六、七丈も吹き上がる火柱だった。それは八つの花弁を持った花の形に開くと、一瞬にして四方八方に飛び散った。そのすぐ後には、青白く光る雲のようなものが立ち昇ったかと思うと、見る間に形を変え龍になった。龍は大きく身をくねらせながら空を目指し消えていった。

「あれはなんじゃ」

「黄赤の花は金の精気、青雲の龍は水銀みずがねの精気でございます。阿蘇の北にある山は酒呑童子しゅてんどうじ山。その山には金鉱脈と水銀の鉱脈があるということでございます」

「お珠、やはりそなたは」

 三郎の胸は感動に震えた。お珠と出会ったのはこのためだったのだ。

 そして空海が決して明かさなかった秘密が、三郎の前に解き明かされたのだった。

 三十歳を過ぎるまで無名の一僧侶に過ぎなかった空海が、なぜ遣唐使の留学僧になれたのか。それは謎とされてきた。

 延暦二十三年に三十一歳で唐に渡る前の十年間、空海の足跡はつかめていない。どこで何をしていたのか誰も知らないのだ。それが今、お珠によって知ることができた。空海は密教の修行をしながら、全国の山々を跋渉ばっしょうし金銀の鉱脈を探り当て、留学僧となるための蓄財をしていたのだ。一介の私度僧に過ぎない空海が国の許可を得た官度僧となり遣唐使の成員に選ばれるために、どれほどの金銀を必要としたことだろう。

 帰朝した空海が丹生都比売にうつひめの導きによって高野山を開闢かいびゃくしたように、三郎はお珠の導きによって、財を成し超人への道を歩むことになるのだ。

 気が付くと、またお珠の姿が消えていた。

『もうお珠を離さぬぞ。平戸には帰さぬ。お珠は儂にとっての丹生都比売じゃ』

 地上に降り立った三郎は、お珠を求めて町中を探し回った。赤尾木の港を何度も行き来し、慈恩寺の境内をのぞいた。市の立つ辻から鍛冶屋の作業場に来た時だった。 作業場の横手には鍛冶屋の家がある。その裏庭の井戸端に若い娘がいた。細い腕で懸命に水汲みをしている娘は、小柄で可憐な娘であった。撫子の花を染めた小袖からのぞく細い脚が白くまぶしかった。「お志津」と呼ばれ、愛らしい声で返事をすると家の中に入っていった。どう見ても生娘に違いなかった。三郎はにわかに、自分の抱えている難問を思い出した。娘の生肝を手に入れ、外丹薬を完成させなければ、日ならずして死んでしまう。金銀の鉱脈を見つけ財を成す暇もないのだ。あのような清らかな娘ならば、その生肝の効験はきっと満足のいくものだろう。

 その時、志津の後姿を見送る若い男がいた。鍛冶の弟子なのであろう。たったいま仕事を終えたところなのか、侍烏帽子さむらいえぼし直垂ひたたれという姿で悄然と立っていた。三郎にはその男の心が手に取るようにわかった。それは内丹術のなせる業かもしれないが、男は娘に劣情を抱いていた。

 夜になるのを待って三郎は、男に術を掛けた。志津を人気のない所へおびき出し生きながらにしてきもを取り出させるつもりだった。男は言葉巧みに志津を呼び出した。甲女川のほとりを歩く二人に月の光が淡く差している。

 月の光の中に黒い影が突如として現れた。昼間の異形の僧だった。どこから湧いて出たのか、異様な気を発して志津の姿を目で追っていた。僧はかなりの修行を積んでいるものらしく、ともすると三郎の力を圧倒するかにみえた。それが三郎に恐怖を植え付けた。恐怖が青白い炎になって、ぽっと燃え、三郎の全身を包んだ。

 志津は三郎の存在に気付き、顔を引きつらせ山へ向かって走り出した。

『逃がしてはならぬ』

 三郎の叫びは鍛冶屋の弟子に向けたものだった。しかし男は正体のわからぬ声に怯え、身を強張らせて震えるばかりだった。

 その時、異形の僧がいち早く志津を追った。

『そうだ、追いかけろ。逃がしてはならぬ。追いかけて捕まえるのだ』

 ところがどこからか陀羅尼だらにが聞こえてくる。あれは厄難消滅の消災妙吉祥しょうさいみょうきちじょう陀羅尼だ。まさか俺に向かって唱えているのか。 俺が厄災だとでもいうのか。しかし三郎の全身から力は抜けていく。志津と僧のあとを追いたいが意識がだんだんと不確かになっていく。

 気が付くと三郎は榕の木の上にいた。

『いま見ていたものは何だ』

 幻覚とも夢とも違う。

 三郎は自分がなぜ榕の木の上にいるのか、なかなか思い出せなかった。志津と鍛冶屋の弟子と異形の僧がいた甲女川の記憶が鮮烈だった。その前はお珠と一緒に空を飛び、酒呑童子山の金精を見たはずだ。

 だが三郎は榕の木の上にいる。城で婢を斬り殺し、ここに逃げて来たのだ。お珠と会ったのも夢ということか。

 だが夢の中でお珠より与えられた天啓は本物であろう。お珠のおかげで空海の意図するところがやっとわかった。

 空海の二つ目の秘密は遣唐使としての留学期間だ。二十年の予定で唐に渡っておきながら、空海はたった二年で帰朝している。そのために、無事に日本に帰り着いたにもかかわらず、契約違反の罪に問われ数年間は入京できなかった。空海ほどの人物ならば、そうなることはわかっていたはずである。それでもなぜ、早く帰って来なければならなかったのか。

 空海は入唐後、恵果けいか阿闍梨に密教の奥義を伝授される。超人的な速さですべてを吸収した空海に恵果は言ったのだ「一日も早く日本に帰り密教を伝えよ」と。しかしこれは空海が用意した表向きの理由である。真の理由は日本の丹、すなわち水銀にあった。三十すぎという年齢のこともあっただろう。一日も早く日本に帰り、やらなければならなかったことは、密教の伝授と水銀の採掘であったのだ。なぜそれほどまでに水銀が必要なのか。それは空海が下敷きにした『抱朴子』にも詳しいように、外丹薬を作るためになくてはならないものだからである。また、水銀を使い金を作り出す、ということは唐ばかりでなく世界各地で行われていた。『史記』にも、『先んじて丹を得るもの、しかしてその利をほしいままにする』とある。

帰国した空海は丹生都比売神にうつひめのおおかみ託宣たくせんを受け高野山を開創した。高野山には水銀の鉱脈があるからである。唐で秘術を伝授され、丹薬によって不老不死となり金を作り出すために急ぎ帰国した。寿命と財。この二つを得て、空海が本当に目指していたものは……。

『目指していたものは、一つしかない』

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