33話

次の日、カーテンから差し込む、陽の光で目を覚ます。


まだ意識がはっきりとせず、ボーッとしていると、朝日も目を覚ましたみたいで、横になったまま、二人で朝の挨拶をした。


すると、朝日が、ねぇねぇ…かずきぃ。と言い、なにかを催促するように、指で自分の唇をちょんちょんとする。


私はその意味を理解すると、朝日の唇に、自分の唇を重ねた。


えへへ…おはようのキスだぁ…と喜ぶ朝日と、照れている私。


照れている私をからかう朝日と、さらに照れる私。


そんな朝を迎えて、集合場所でみんなと合流すると、近くのレストランへと入った。




最初に、ドリンクバーと料理を頼み、飲み物を準備すると、夏海が飲み物片手に指揮をとる。


「はい!それじゃあ、私に合わせて掛け声、お願いしますねー!」


「「「「はーい!」」」」


「みんなー!テストおつかれさまー!」


「「「「「おつかれさまー!」」」」


「楓さん、学年一位すごいですー!」


「「「「すごいですー!」」」」


「私、赤点回避よかったよー!」


「「「「よかったねー!」」」」


「かずっち、ほんとに大好きだー!」


「「「大好きだー!」」」


「だいす…え…?」


途中で気づき止めると…


「もー!かずっち!ちゃんと合わせないとー!」


「そうだよー!かずきー!」


「そうよー!しっかりなさい!」


「そうですよ…!王子様…!」


なぜか、私は怒られた…。


料理を運んでくれたウェイトレスさんと、他のお客さんにも笑われたし…。


恥ずかしくて顔真っ赤だよぉ…。



そして、食事中、とある話になる。


言い出したのは、まさかの雪。


どんな話になったかと言うと…


「そ、それで、王子様と朝日先輩…!昨日はどうでしたか…!」


突然の雪の発言に、私は飲んでいた飲み物を、吹き出しそうになる。


「ちょ、ちょっと雪…!?」


「あー!かずっちと、あさっちの話聞きたーい!」


「ええ!是非聞かせてもらおうかしら!」


「えっとねー…」


「あ、朝日!?待って!待ってよ!」


なぜか、一切迷いもせず、話そうとする朝日をなんとか止める。


「昨日の話するの!?」


「当たり前じゃーん!前から情報共有は大事だって言ったでしょ!みんなで幸せになる秘訣だよ!」


たしかに言ってたけど…。


私もそう思うけど…。


恥ずかしいよぉぉぉぉぉぉぉぉ…。




その後、昨日のことを嬉しそうに一部始終話す、朝日。


「えへへ…あのね、昨日…かずきのお家に泊まって…!」


ゴクリと固唾を飲み、聞く三人。


と、すでに真っ赤な顔を、両手で隠す私。


「かずきとキスしましたー!」


わー!と盛り上がる三人。


と、恥ずかしすぎて、消えたいと思う私。


「そ、それで…どんな感じだったの!?」


そう言い、メモをしようとする、楓さん。


楓さん…やめてぇ…。


「それがね…かずきのキス、すごい優しくてね…!」


「いいなー!かずっち、私の時も優しくしてね!」


そう言い、指で自分の唇を押さえる、夏海。


が、がんばります…。


「すっごい気持ちよかったよー!ほんと幸せだよー!」


「素敵です…!私も早く体験したいです…!」


そう言い、私に期待の眼差しを向ける、雪。


うぅ…雪までぇ…。


「それから、おやすみと、おはようのキスまでしちゃったんだー!」


きゃー!と再度、盛り上がる三人。


と、恥ずかしすぎて泣きそうな私。


その後も、朝日の話が続いたけど、なんとか食事を済ませると、次の目的地へと向かった。


最後に、ウェイトレスさんに、お幸せに!と見送られたのは、良い思い出です…。

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