29話

テスト当日、私は夏海と教室で緊張しながら話していた。


「か、か、か、かずっち…とうとうこの日が来ちゃったね…!」


「う、うん…。でもやるだけのことはやったからあとは勉強の成果を発揮するだけだよ…!」


「そ、そうだね…!うん…!がんばろ!」


「うん!お互いにね!」


二人で励まし合うと気合十分となる。


うちの高校は全十二科目で期間は三日間、一日四科目となっており、月曜から水曜までテスト、木曜から金曜が自習となり、先生方が採点を行う。


そして、帰りのホームルームで先に各科目の点数と順位が書かれた用紙を渡される。


要するに金曜のホームルームで全生徒の夏休みが決まる。


私採点期間は緊張するから苦手なんだよねぇ…。


そう考えていると、チャイムがもうすぐ鳴る時刻になり担任の先生がテスト用紙を持って教室に入ってくる。


夏海と最後にもう一度励まし合うと、各生徒に用紙が配られ、開始のチャイムが鳴った。


こうして、テストが始まる。


一日目、二日目と順調にテストを終わらせていき、最終日である三日目を迎えた日に問題発生…!




…もせず、やっぱり順調に終わる。


夏海と、無事終わったねー!と喜び合い、グループチャットでもみんなで、おつかれさまー!と言い合った。


そして、苦手な期間が終わり、ついに結果発表がされる。


「ついにこの日がきたね…」


「う、うん!でもやるだけのことはやったから…!」


と、初日と似たようなことを言い合っていると、担任の先生が来た。


クラスメイトが名前の順番に呼ばれる。


クラスメイトが歓喜する人や、落胆する人がいる中、私達は二人で同時に結果を見る。




上田一樹 学年人数232人中33位 赤点なし


漆原夏海 学年人数232人中87位 赤点なし


「か、かずっち…!」


「な、夏海…!」


「「やったねー!!!」」


二人共見事に赤点を回避出来た。


さっそくみんなにグループチャットで報告する。


以下グループチャット内容


漆原夏海 みんなー!赤点なかったよー!!!!!!


上田一樹 私も大丈夫だったー!


真白雪  おめでとうございます…!私も赤点はなく、学年順位12位でした…!


漆原夏海 ゆっきーすごい!おめでとー!!!


中谷朝日 三人共おめでとー!私も大丈夫だったよー!ちなみに順位は98位だったー!


上田一樹 雪と朝日もおめでとー!


高円寺楓 みなさんおつかれさま!わたくしも無事学年1位取れましたわ!


漆原夏海 あさっちもおめでとー!楓先輩さすが!


上田一樹 楓さんおめでとうございます!


真白雪  朝日先輩おめでとうございます…!楓先輩すごいです…!


中谷朝日 楓先輩すごーい!!!おめでとうございます!!!


この後は三人共予定がある為、打ち上げはまた後で決めることとなった。


「みんな無事赤点なしでよかったねー!といっても危なかったの私だけなんだけどね…えへへ」


「よかったねぇ!夏海も改めておめでとー!」


「ありがとー!ほんとかずっちには感謝してもしきれないよ!もっとお礼しないと…!」


「お礼はもう十分もらったから気にしないで!」


「私こんな上の順位取ったの初めてだからすごい嬉しいなぁ!」


「夏海がんばったもんね!」


夏海の頭を撫でてあげると、えへへ…と嬉しそうにする。


「でも、ほんとかずっちは優しくてかわいい女の子だよねぇ!」


「そ、そんなことないよぉ…」


「ううん!かわいいのは確定として、初めてかずっちを見たときも他の人を助けてたし、やっぱり優しい!」


「あ、ありがとぉ…」


「ほんと、かずっちと出会えてよかったなぁ…好きになってよかったなぁ…告白したおかげで、かずっちとも、みんなともいっぱい仲良くなれてよかったなぁ…」


あ…。


「うん…。あの時はごめんね…」


「あ、ちがうのちがうの!かずっちには感謝してるんだから!それに私はかずっちを必ず攻略してみせるんだから!ふっふっふっ!」


みんなに言われる度に…心の奥がズキッとする…。


仲良くなればなるほど、辛くなる…。


これ以上仲良くなる前に…。


自分の本当の気持ちを伝えないと…。


「かずっち!かずっち!」


「え?」


「大丈夫!?」


「あ、うん…大丈夫」


「ごめんね…!私が急に変なこと言っちゃったから…ほんとごめんね!」


夏海が心配してる…。


今は少しだけ嘘をつこう…。


「あ、ちがうの!なんかテスト結果を見たら気が抜けちゃって!だから夏海のせいじゃないよ!」


「そ、そうなの?」


「うん!だから気にしないで!」


「それなら…うん。あ、それじゃあ今日はもう帰ろ!家で休まないと!」


「うん!そうしよ!」


こうして、私はずっと悩んでいたけど、正直にみんなに伝えることにした。


家に着きグループチャットに書き込む。


上田一樹 あのね…私…みんなに言わないといけないことがあるんだ…


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