第4話 合コンと柊楓似の女子-2

X X X


数日後


 俺は待ち合わせ場所である居酒屋へとやってきた。


 4:4の合コン。

 

 期待はしない。


 残念ながら俺には女性を喜ばせるスキルなど持ち合わせてない。


 これまでろくに女性と話したこともない。


 でも、チャラ男に襲われた美少女を助けた時はなぜかちゃんと話せた気がする。


 不思議だな。

 

 と、思いながら俺はテーブルの中へと向かう。


 そしたら男子3人と女子3人がすでにきていて談話を交わしていた。


 悠生の外見をみると、背伸びした感じが出ているけど、男性二人はとてもイケメンでなかなかいい雰囲気を出している。


 女性3人は悠生の言った通り全員ハイレベルだった。


 俺なんかが加わってもいいのかと迷ってしまうほどの外見。


 俺も服自体はウニクロのモデルが来ているスタイルに合わせたため、悪目立ちすることはないにせよ、あの女の子らと釣り合いが取れてるとは到底いえない。


「あ、司!こっちこっち!」


 悠生は俺を発見して嬉しそうに手招いた。


 なので俺は小声で「うす」と言って空いている隅っこの席に腰かける。


 そしたら二人のイケメンは「来てくれてありがとう」だの「よろしく」だの言ってくれた。


 すると、向かいに座っている金髪の女の子が明るい表情で口を開いた。


「あとは優奈ちゃんだけね!」


 金髪をした明るい女の子の言葉を聞いて、青みがかった髪の女の子が面倒臭そうにいう。


「優奈が合コンくるなんて、本当に珍しいね」


 と、飲み物を飲んで短く息をつく青みがかった髪の女の子をみて、赤みがかった髪をして中学生に見える子がいたずらっぽく口を開く。


「この中で好きな人でもいるんじゃないの?ひひ」


 赤みがかった髪をした童顔の女の子の言葉を聞いて、イケメン二人が急にイキイキしながら口を開いた。


「まあ、今日は楽しむのが目的だし、いっぱい飲んで話そうね」

「そうだ。せっかく集まったわけだから楽しまないとな!」


 彼らの反応を見て赤みがかった髪をした童顔の女の子がニヤニヤしながら口を開いた。


「とか言って、二人とも優奈狙いだったりして〜」

「「っ!!違うよ!」」

「あははは!!二人とも声ハモっててめっちゃエモいんだけど!」


 赤みがかった髪をした童顔の女の子はくすくす笑いながら横にいる女友達を見る。


 すると、金髪の明るい子は苦笑いするが、青みがかった子は興味なさそうに飲み物をちびちび飲んでいる。


 ここにいる3人も十分可愛すぎると思うけど、このイケメン二人は更なる高みを目指すつもりなのだろうか。


 俺は、可能性としては限りなくゼロに近いが、この3人のうち一人の連絡先の交換ができても奇跡ってくらいだ。


 まあ、俺は人数合わせのために来たわけだから雰囲気を壊さないことに徹するべきだろう。


 そう思っていると、


「ごめん。遅かったよね?」


 最後の一人がやってきた。


 不思議と喧騒の中でも彼女の声は鮮やかに耳の中にすんなり入る気がしてきた。

  

 悠生が柊楓に似てると褒めちぎった女の子。


 隣に座っているイケメン二人が目星をつけるほどの女の子。


 まあ、別に見ても減るもんじゃないし、俺は飲み物を飲みながら頭を上げてその優奈という女の子の声がする方に視線を送った。


 すると、優奈という女の子と目があった。


 そしてすぐ









「「っっっっっっ!!!!!!!!!!!!」」

 






 俺は衝撃のあまりに飲み物が入っているコップを落としてしまった。


 前見た時は黒髪だったが、今は亜麻色に染めた肩まで届く柔らかな髪をしており、顔は前よりもっと整っていてる。並の芸能人とか映画女優とかと比べものにならないほどの美貌。


 ツイードのミニスカートからは象牙色の細くて長い美脚が伸びており、ワイン色のパンプスが彼女の足を守っている。


 上はブラックのレーストップスを着ており鎖骨が控えめに見える。そして腰回りは細いのに、上に行くにつれて凶暴な膨らみが俺の視線を引き寄せる。前よりもっと大きくなっているということが一目でわかった。


 要するにあれほど彼女の見た目を褒めちぎっていたのが一気に納得いくほどの外見と美貌だった。


 誰かが冗談めかして「あの人はXXに似てる」とかよくいうが、


 目の前の優奈という女の子は本当に柊楓と比べても引けを取らないほどの見た目だ。


 現にイケメン二人は見惚れて彼女をボーッと見ていて、他の席に座っている男達の視線も釘付けである。


 だが、外見より俺を驚かせたのは


 彼女の澄み渡る深海を思わせる青色の瞳から発せられる視線だった。


 あの時と同じだった。


 まるで自分の存在を俺の脳に上書きするような、自分の魂を俺の中に入れるような強烈な視線を向けてきた。


 下手をしたら、彼女の瞳に飲み込まれてしまいそうになるほど優奈という女の子は俺の目を穴が開くほどじっと見つめている。


 俺も


 条件反射的に彼女をじっと見つめた。


 そしたら、急に体が熱くなり


 あの時のように心臓がバクバクして爆発してしまいそうになった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る