魔法少女

幼稚園で、みんなで魔法使いになった。

マーリアちゃんとボクとで、魔法少女あやめマーリアになった。

「パッとお手々をた~たいたら~♪」

って歌いながら、服の中から、たまごを取り出した。

観に来ていたママやパパたちも

「ワーオ!たまご出てキターッ」

って言って、みんなびっくりしている。

あらかじめ、布でたまごを作っておいて、服の内側に、わからないように、しのばせておいて、たまごをパッと出す魔法をやった。


そしたら、教室のうしろでママたちの並んで見ている列の中に、フッと、さよりんの姿を見た気した。


手をふってくれてるような気配を感じた。

顔のあたりをじーっと見てみたら、だんだんと、さよりんの顔だとわかってきた!


「うわっ!さよりんっ!」

って、思わず叫んでしまった。


だんだんと、はっきり、さよりんの姿になってきた。

「でも、他の人には見えてないんだろうなあ~」

って思った。


さよりんはめっちゃ優しい笑顔で、ボクのことを見てくれている。

ボクの魔法少女になってる姿を...


ボクは横にいるマーリアちゃんを見てみた。

マーリアちゃんも、さよりんのこと、わかってるみたいだ。

「さよりん来てるっ!」

ってマーリアちゃんに言ったら

「うんっ!」

って、うなづいている。


さよりんはボクのことを見て、パチパチと嬉しそうに手をたたいてくれている。

「うわーっ!さよりんっ!来てくれて、ありがとうーっ!」

って思ってたら、そのうち、だんだん、さよりんの姿は、うすれていって、フッと消えてしまった...

「うわーっ!さよりんーっ!」


そんなに長くは、いられないのだろうか...って思った。


「ああいうのって、時間あるの?」

って、マーリアちゃんに聞いてみた。

「やっぱり、長くは姿を見せられないとか...」


マーリアちゃんは

「うーん...どうなんだろうか...」

って、マーリアちゃんも、よくわからない感じだ。

「どうなんだろうねっ...人によって、それぞれ違うのかもねっ...特に決まりはないかも...その人それぞれの能力やから...」

「やっぱ、そうなんや...でも、いつも見に来れちゃう、さよりんの能力って、すごい!」

「そうだよねーっ!」


幼稚園には、いつも可愛いパン屋さん来ている。

渡り廊下をトコトコトコッと渡っていくと、可愛いワゴンのパン屋さん来ている。

マーリアちゃんとボクは、いっしょにパンを買って食べる。

ちっちゃな、ま~るいパン。

めっちゃやわらかくて美味しい。

あと、アーモンドの形をしたパンも、めっちゃ美味しくて好き。

ある日、マーリアちゃんと、パン屋さんに並んでいたら、ボクの背中から誰かにギュッて優しく抱きしめられるのを感じた。

「誰だ~?」

って思って、振り向いたら、なんと、さよりんだっ!

「うわーっ!さよりんだーっ!」

って、叫んでしまった。

マーリアちゃんも

「あっ!ほんとだっ!さよりんだっ!」

って、わかってる。


「なに食べるの~?」

って、さよりんの言葉も聞こえたっ!

「えっ?...えっとね...パンっ!」

ボクはびっくりして答えた。

「パン?」

「うんっ!そうだよっ!美味しいパンっ!」

「いろんなの、いっぱいあるねっ!」

「そうでしょ!あっ!そうだっ!さよりんも食べる~?」

って言ってから、あっ、そうか!さよりんは食べられないのかっ!って思った。

そしたら

「うんっ!食べる」

って言って、ボクの手に持ってたパンをちょっとだけ、ちっちゃく、めっちゃちっちゃく、ちぎって、パクッて、口に入れて食べた!

「うわーっ!さよりんっ!食べたあああ!」

びっくりして叫んでしまったけど、さよりんは、そんなボクのことを優しく見つめて笑っている。

マーリアちゃんとボクは、ちょっとびっくりして顔を見合わせた。

「じゃあねっ!またねっ!」

って言って、さよりんはフッと消えてしまった。

「うわーっ!またねーっ!」

マーリアちゃんとボクは、あわてて叫んだ。


「ボクのことを優しく抱きしめられるってことは、同じように、パンをちぎったり、食べたりすることもできるんだねーっ!」

ってマーリアちゃんに言った。

「フシギだけど、できるんだねーっ!」

って、マーリアちゃんもちょっとおどろいているみたいだ。


「宇宙人は、なんで見えないかっていうと、地球の人類より進化してて、姿を見せなくても、意識だけで移動したり行動したりできるかららしいけど、さよりんも、それみたいで、すごいね!」

「そうだねーっ!...たぶん、さよりんは、あやめっちのために姿を見せてくれてるんだろうねっ!」

「えっ?ボクのために...?」

「うんっ!あやめっちにわかってもらえるように、あえて姿をあやめっちに見せたり、言葉を聞かせたりしてるんだよっ!きっと...」

「そうなのかあ~」

「でも、それって、もしかしたら、めっちゃ大変なことなのかも...」

「そうかな...」

「でも、実際は、めっちゃ簡単だったりしてね...」

「どっちなんだろうね...」

「ねっ...よくわかんないけども...」


「だって、さよりんは、あやめっちのことを見るだけなら、姿をあらわす必要ないからねっ!」

「そっか...」

「自分はあやめっちのこと見れてるんだから、それでいいはずだけど、あえて、自分の姿をあやめっちに見せてくれてるのかもね」

「うーん...やっぱり、さよりんは優しいのかっ!」

「きっと宇宙人は姿を見せないけど、地球を見たりすることは、できてるのかもねっ!」

「そうなのかもね」

「さよりんは宇宙人ではないけども...」

「そうだよねー」



マーリアちゃんは幼稚園でいつも

「あやめっちのおよめさんになる~っ」

って言ってくれている。

ボクも

「マーリアちゃんのおよめさんになる~っ」

って言うと

「いっしょにおよめさんになる~っ」

って言ってマーリアちゃんはめっちゃ笑っている。

マーリアちゃん笑うとめっちゃ可愛いから、マーリアちゃんを笑わすの大好き。

めっちゃ笑わしたくなる。


でも、さよりんもいるし、どうしたらいいんだろうか...って思ったりもする。


ボクは砂場を見ると、走って行って飛びたくなるので、マーリアちゃんと公園とかに遊びに行って、砂場を見つけると、ダーッと走って行ってピョ~ンていつも飛んでいる。

マーリアちゃんも、いつも

「うわ~っ!飛んだ~っ!」

って言って喜んでくれる。

「あやめっち、すごい飛んでる~っ!」

って、いつも言ってくれる。


あと、ボクはミニカーも好きなので、すべり台とかの上から、ミニカーをすべらせて走らせる。

そういうのも、マーリアちゃんは、いつもそばでいっしょに見てくれている。

ミニカーの走って行ってるのを見ながら、いっしょに飛び跳ねている。


家にマーリアちゃん、遊びに来てくれると、ママに

「マーリアちゃん遊びに来ると、めっちゃ元気になるんやから~っ!」

って、からかわれている。

でも、ほんまに、マーリアちゃん遊びに来てくれると元気になるから、ママにからかわれてても、めっちゃ嬉しい。

なにより、そばにいるマーリアちゃんも、めっちゃ嬉しそうにしてくれているから...

マーリアちゃんにとっても、ボクの家に遊びに来ると、めっちゃ元気になってるみたいやし...


そしてマーリアちゃんは、家に来ると、いつも空里のことをギュッて優しく抱きしめてくれている。

ボクのことを優しく抱きしめてくれる、さよりんみたいに...

空里も、そんなマーリアちゃんのこと、めっちゃ大好きみたいだ。

だからマーリアちゃんと空里は、2人でいつもギュ~ッて抱き合っている。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る