第五話「暴走」

 Side 楠木 達也


 =防衛戦隊基地、極秘地下施設、ジルバーン格納庫=


 楠木 達也はまたシェリル・ジーニアスに呼び出しを食らっていた。

 

 シェリルは模擬戦には勝ったと言うのに何故か不満そうだった。


「あなた、手を抜いてたでしょう?」


「いや、真剣だったけど――」


 嘘はついてない。

 達也は本気でやった。

 よく粘ったと自分でも思っている。


「ケンカ売ってるの? ジェノサイザーと戦った時の貴方はこんなもんじゃ無かったはずよ!?」


「あの時は無我夢中で――正直自分でもどうしてあそこまで戦えたのか分からないんだ」


「ふーん、嘘はついてないみたいね――」


 不満タラタラにそう言われる達也。


「まあ勝ちは勝ちよ。これでジルバーンの量産化計画の第一歩を踏み出せたわ」


 自慢げに語るシェリル。

 機嫌が良くなったようだ。


「大丈夫なんですか? あれ一応暗黒組織のデーターとかも使ってるって聞いたんですけど」


 シェリルはピクッとなったが、スグに普段通りになった。


「データーや技術その物に罪はないわ。平和のために有効活用させてもらっているだけよ」


 と、言い切る。


(本当に大丈夫なのかな?)


 そう思った矢先に警報が鳴り響いた。


「ちょっと何が起きたの!?」


 近くの研究所員に尋ねるシェリル。


「ジルバーンのシステムが書き換えられています!!」


「誰かがハッキングしてるの!? まさか反対派の仕業!?」


 そう言ってシェリルは機材のキーボードを操作する。


「なに!? コマンダータイプのジルバーンが勝手に起動しているの!?」


 そして格納庫にいたジルバーンが起動をはじめた。


「だめ!! スグに逃げて!! ジルバーンは今無差別に人を攻撃するようにプログラムされてる!?」


 ヤバイ事態のようだ。

 慌てて達也は変身する。


『つまり破壊するしかないんだね!?』


「無茶よ!? さっきの模擬戦であの様だったのに――」


『今すぐ逃げて!! 僕がどうにか時間を稼ぐから!!』


「人の話を聞いてるの!?」


 そしてジルバーンは達也に集中砲火を始めた。

 達也はサイバープロテクターで防ぎながらジルバーンの一体に強引に近づきぶん殴るが躱されて、他のジルバーンに攻撃を受ける。


 やはり多勢に無勢である。


「ああもうこうなったら!!」


 そしてシェリル・ジーニアスも変身する。

 銀色の戦隊ヒロインタイプの衣装だ。  

 何処となくゴーサイバーに似ている。


『そのスーツは?』


 ジルバーンにやられてゴロゴロと転がりつつ、シェリルに尋ねる。

 

『自衛用のスーツよ!! それよりも本気でジルバーンを倒すつもり!? 言っちゃ悪いけど私の最高傑作よ!?』


『やってみないと分からないよ』


 そう言って達也はファイティングポーズをとる。

 

『ああもう、何がどうなってるのよ、もう!?』


 シェリルは愚痴交じりに銃を構え、戦闘に突入した。

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