第14話 地獄の観覧車

とりあえず私達は観覧車に乗り込んだ。しかし…、私は何故か真ん中の床に座っている!!


えええええ!!?


左に魚住、右に綾さんが向かい合っており、私はその真ん中の床に!

もう一度言うが、床に座っている!!


「ふっざけんじゃないわよおおおお!あんたら!なんで小檜山財閥のご令嬢である私が!床に!座ってんのよおおお!!」

もうぶちキレたわ!


シートに座る2人は


「だって!拓磨と美玖様が隣に座るのも嫌だし、向かい合わせで見つめ合わせるのも嫌だもん!」

と綾さんが言い出す。


「お嬢様。床に座ることなんて滅多にありませんよ?良かったですね!貴重な体験ができて!」


「どこがよ!!しかもこれ!下透明で透けてんじゃないのよ!めっちゃ嫌だわ!私もシートに座らせなさいよ!


綾さんの隣でいいから!魚住の方なんて一切見ないし景色見るから!」

と何とか頼み込むと綾さんは


「仕方ないわね?じゃあ、目があったりしたらこの針入りのチーズ林檎食べてね?」


と綾さんはチーズ林檎に針を仕込んだものを普通に出してきた!!


「いや、怖すぎます!!」


「大丈夫よ、飲み込んだら名医に手術して取ってもらうから」

と手術前提で言わないでほしい!


とにかくボロい観覧車でギシギシ音がして別の意味でも怖い!


あー、なんか乗るんじゃなかった!!


と思ってるとガタンといきなり観覧車が止まった!


「え!?な、なんなの?何で止まったの?」

と不安になってつい魚住の方を見てしまいバチっと目が合ってしまった!!


「!い、今!拓磨と目を合わせたわね!?よ、よくも!」

と綾さんは針入りチーズ林檎をこちらに向けてくる!


「き、緊急事態ですから!!」

と言うと綾さんは


「緊急事態に合わせた作戦ね!」

と言う!


「姉さん偶然だよ。不慮の事故だよ。まあ、お嬢様が俺を見ちゃうのも仕方ないでしょう?俺、かっこいいから!」

ほんと死ねばいいのにこいつ。


「そうね!拓磨はほんとにかっこいいわ!!」

と綾さんはポーっとする。


「あの、ちょっとほんとやめて?」

と思ってるとアナウンスが流れた。


『お客様、申し訳ありません!この観覧車にどうやら危険物が搭載されていると先程警察から連絡がありました!!


どうか動かずに大人しくしていてください!』

と映画みたいな展開にパニックになる!


「嘘でしょ!?やっぱり乗るんじゃなかった!!何なのよ!危険物って!ま、まさか爆弾とかじゃないでしょうね!?」

すると魚住は笑い


「そんな映画かドラマじゃあるまいし」


「あんた今のアナウンス聞いてた!?もし爆弾なら私たち死ぬのよ?」

と言うと綾さんは


「嬉しいわ!拓磨と死ねるなら本望だわ!美玖様だけ地獄に堕ちて」

と言う。いや、私だけ地獄行きってどう言うことよ?


ふっざけんじゃないわよ!?私そんな悪いことしてないわよ!


「まあ、もし爆弾だとしたら思い残すことないようとりあえず皆、本音で喋った方がいいと思う」

と魚住が提案する。


「…そうね。拓磨好き!愛してるわ!」

いつも言っとるがな?綾さんは平常運転だった。


「お前は?」


「は?お前?何お前って?」


「いや、どうせ死ぬし、お嬢様とか呼んでもクソ疲れるし」

と素の魚住が出てきた。


「いや、死ぬって決まってなくない?ていうかもし死ななかったらあんたどう言う責任取ってくれんのよ?」


「うーん。そうだな。死ななかったら焼肉を食べに行こう!」


「いや、それ!このデートの条件じゃない!!」


「そうだったかな?」

とすっとぼける魚住。

すると綾さんは


「なんだ…美玖様。焼肉に釣られて拓磨とデートしてたの?卑しいわね?


1人で行けばいいのに」

と綾さんが言う。しかし今は貧乏生活中で魚住とボロアパートで共同生活してるとバレると観覧車爆破する前に殺されるから言えない。


「しょ、庶民の通う安い焼肉店に私みたいな高貴な生まれの者が1人でとか恥ずかしくてつい…ほほほ!」

と誤魔化しておいた。


「こいつはプライドが高いんだよ、姉さん。昔からそれで損ばかりしてるポンコツだ」


「あら、そうね。ポンコツのくせにプライドだけは一人前で小学校でお腹壊して学校のトイレでう●こした時も鍵が壊れたとか言い張って出てこなかったのよね」


「ひいいいいいい!何で知ってるのよ!?」


「その後、学校のトイレが詰まり、業者が来てましたから」


「わ、私じゃないわよ!!違うわよ!私の前に使った子がしたのよ!信じて!!」


「言い訳ですか!美玖様」

と責められる私。いや、ほんとに前の子が詰まらせて私は臭いの我慢して鍵が開くの待ってたのよ!?


「ていうかこんな話題しないでよ!死ぬかもって時に!」


「あの時の真相がモヤついてたので」

と魚住が言う。


「何でそこがモヤつくのよ!頭おかしいまま死にたいの!?ていうか私じゃないから!!」


「…というか、お前のせいで物凄くトイレ行きたくなった。どうしてくれんだ!このアホ」

と魚住が青い顔になる。綾さんは


「わ、私も!でも、拓磨とここで爆ぜるなら…」

と恍惚になったり震えたりして我慢し出した。

なんか私もお腹が痛くなりトイレに行きたくなる。全員でトイレ我慢しながら爆発死するなんて!いやああ!そんな死に方いやああああ!


するとガタンとと観覧車が動いた!


『お客様、大変お待たせしました!ようやく危険物を撤去できました!!』

と言うアナウンスが流れた!


「本当に危険物があったのね」


「もうどうでもいい、早く下に降りてトイレ行きたい!」


「くっ!!拓磨の前で漏らしちゃう!!」


「やめて!なんて地獄なの!?遊園地なんて来るんじゃなかったわ!」

と私達は震えながら下にゴンドラが降りるまで何とかギリギリ限界まで耐えて扉が開いたと同時にダッシュしてトイレへ向かう!


めちゃくちゃ並んでて更なる地獄が私達を襲った!!もう魚住とデートなんて二度としたくないわ!


その後の焼肉は美味しかったけどね!



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