第33話 破滅への道(9日目)
「江角首相、もはや一刻の猶予もない。中国は我々の警告を無視した。そればかりか戦争の準備をしている明確な証拠をつかんでいる」ブラウン大統領の意志は揺るぎないと江角は感じた。もはや戦争は避けられないのか。
「すでに第7艦隊の空母ロナルド・レーガンは戦時体制に移行した。横須賀から出航した旗艦ブルー・リッジが合流すれば戦闘を開始できる」
「大統領、国連決議を得る前に戦争を始める気ですか」「江角首相、戦争はすでに始まっているんだ。中国は宣戦布告することなく、貴国の潜水艦を攻撃した。ウイルスで大勢の国民が死んでいるんだぞ」
「中国のこの暴挙を世界に知らせる必要があります」江角は国連の安全保障理事会の無力さを何度も見てきたが、米中の全面戦争をなんとか避けたかった。
「江角首相、安全保障理事会に諮ることにしよう。ただし、自衛隊に出動命令を出すことが条件だ」江角は世界は今まさに破滅の淵に立っていると思った。
「中路君、山川統合幕僚長に電話をつないでくれ」電話はすぐにつながった。
「首相、いよいよ始まるのですか」「最後まで諦めないが、準備をしてくれ」
江角は山川統合幕僚長に即応体制を取るように命令した。房総沖の深海で異変が始まってから9日が経過していた。江角は未明にパンデミックの発生と首都圏が戒厳令下に入ることを緊急放送として遂に公表した。
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