元海兵隊兵士が女子校の非常勤講師になって、何が悪い?

@12{アイニ}

シーズン1

0,アフガン戦役

 3年前、アフガニスタン国境。


 市街地から撤収しようとしていた女兵士達が、ゲリラ攻撃を受けて応戦していた。


『軍曹! 弾が尽きた!』

『こっちもだ!クソ!』


 部下の戸惑い声や切迫詰まった声などが右耳につけているインカムから聞こえる中、俺は2キロも離れた家屋の平らな屋根に寝そべり可変倍率照準器ののったL96A1の銃口を向けていた。


 5年前に勃発した内戦を鎮める為に、アメリカ合衆国は日本やNATOと協力して女性だけの国際特殊海兵隊を発足・派遣していた。


 その中のアメリカ合衆国国際特殊海兵隊レディース・フォース所属ジーク中隊にて隊長兼狙撃手を任されているのが俺、高宮たかみやまもるだ。


 部隊内での呼称名称はジーク、意味は零戦ゼロ戦だとさ。


『ジーク少尉、援護出来ますか? 少尉あなたから見て、2時方向です』


「・・・了解」


 俺はすぐに指示された方向に可変倍率照準器ののったL96A1の銃口を向けて、作動桿ボルトを上げて引いてキンッ!という音と共に空薬莢を排出させてから、再度押し込んで作動桿ボルトを下げた。


 呼吸を整えて照準器を再び覗くまでにかかった時間はおよそ3秒ほど。


 十字印の下にあるオリジナルの横線を見ながら、着弾位置を頭の中で算出し引き金前にある安全レバーを人差し指で解除し、対戦車手榴弾を持って兵士達の方に走り寄る子供に狙いを定めて、「これが、戦争だ・・・」と囁いて引き金を引いた。


 そして、発砲してすぐに作動桿ボルトを上げて引いてキンッ!という音と共に空薬莢を排出させた。


 一応、銃口発光抑制器マズル・フラッシュを付けていたおかげで位置バレしていない。しかし、戦果を確認する為に16倍率にしていた可変倍率照準器を覗くと狙撃した子供の首から上に7,62ミリ×51NATO弾が通過した穴が空いていた。


 その後、撤退用に要請していたヘリが到着したのでそれに搭乗すると俺は持っていたタオルを顔にかけて久々の睡眠をした。この日まで5日間も寝ずに見ていたからだ。寝ずに起き続けた記録は、最長で7日間だ。

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