第29話 サボン遺跡
マイルと共に冒険者ギルドに向かう、ギルドにはそれなりの数の冒険者が集まっていた。
「ここにいる冒険者ってまさか…」
「うん、多分全員が遺跡に向かう冒険者だよ」
二十人くらいはいるか?
俺達も遺跡探索の依頼を受ける為に受付カウンターに向かった。
そこには残念な事にあの失礼な受付嬢のシズが居やがった、早速テンションが下がる俺だ。
「あっオッサンとマイルじゃん、おひさ~」
相変わらずオッサン呼びだなコイツは。
「シズ、私達はパーティーで遺跡探索の依頼を受けに来たの」
「そうなの? まあオッサンでもマイルの荷物持ちくらいは出来るだろうから良いだろうけどさ」
どんだけ人を下に見てるんだコイツは、まあ荷物持ちくらいしか出来ないのは事実なんだが。
くそう、今回の遺跡探索で大金を稼いで見返してやりたい。
まあお宝があるかなんて俺にはサッパリなんだけどな、そこはテンプレを期待したい。
「あっそれとこの依頼は依頼人さんも遺跡に同行するらしいからね、依頼人さんの名前はマルコさんね。出発は二日後で集合場所はカルカトの門の前だってさ」
「分かった」
「……了解」
シズ、この碌でなし受付嬢に目にもの見せてやる為にもこの二日間の間に色々と準備を進める必要があるな。
その後一度マイルと別れて手元にあるなけなしの金で装備を整える事にした。
しかし剣とか槍みたいな武器は無理だろう、鎧も買えるとは思えないし…。
「ゴブリンでも倒して棍棒をまた奪うか?」
いやっ流石に魔物相手に追い剥ぎとかな~、そもそもゴブリンにすら普通に戦って勝てる保証がない雑魚野郎なんだよ俺は。
ならここは刃物以外で武器になりそうな物とせめて手足を装備出来る防具を買うしかないな。
そこで俺はカルカトに来て一度も来ていなかった区画、武器屋や冒険者御用達な道具屋が並ぶ場所に向かった。
◇◇◇◇◇◇
「おはようレックス」
「おはようマイル」
二日後、俺は多少は装備を整えてマイルと集合場所で合流した。
武器は金属製の棒だ、武器屋にて一番安くて頑丈そうなヤツを探したらコイツがあったので買った。
やはり刃物に加工してないのでかなり安かった、杖代わりにもなるのと思う。
そして肘や膝に革製のプロテクターみたいなを装備して手には厚手の手袋、足は無骨なブーツをはいている。服装もカルカトでよく売ってる服とズボンに着替えた。
肩にはツール鞄をかけて中には俺自身がここ数日で用意した幾つかのアイテムと道具屋で買った道具が入っている。携帯食と水もだ。
おサイフはもうスッカラカンだ、俺は今回の遺跡探索の依頼に賭けた、必ず一攫千金を成功させるぞ。
「……ふぅん、少しは冒険者っぽくなったね」
「まあなんとか格好だけでもと思ってね」
そして他にも冒険者がゾロゾロと集まると、全員が見える場所に一人の男が立った。
「私の名はマルコ、今回の遺跡探索の依頼人だ。これから遺跡へ向かうが報酬は基本報酬が一万ペスカ、それ以外は探索の成果次第では二十万ペスカまで支払う。遺跡探索で見つけた宝は基本的に買い取るつもりだから全て私の前に持ってくるように」
短い金髪で顎髭を過ごし生やしたアラフォーがどうやらマルコらしい。
普通の村人よりも若干高そうな服を着ているので良いとこの人間なんだろう。
「見つけた宝を素直に持っていく冒険者っているのか?」
「………要らない宝や価値が分からないない宝なら多分」
つまりは一目で金目の物だと分かるのは無言で懐に入れる輩が多数いそうって事ね、まあ俺も金がないからそんなお宝があったら…。
いや、流石に駄目だろう。報酬の二十万ペスカでも俺からすれば大金だし、下手に欲をかかない方が何となく正解な気がする。
「マイル、俺達は普通に見つけた宝は持っていこうな。元から信用なんてあまりない冒険者の俺は堅実に金を稼ぎたいんだよ」
「……分かったわ。あの男も冒険者を信用してるとは想えないし、下手に欲をかいた冒険者は消される可能性もあるからそれが正解だと思うわ」
冒険者が冒険者なら依頼人も依頼人で本当に禄なのがいないよこの世界の人間は。
その後マルコの号令で俺達冒険者一同は出発した。結構な人数の移動なので目立つ、魔物も俺達の存在に気付いているのか移動していると魔物が接近してくる事があった。
しかし人数が多すぎると分かると直ぐに逃げていった、やはり魔物も死にたくはないのか勝ち目がないと判断すれば普通に逃走するらしい。また一つ異世界について賢くなった。
そして何度か休憩を挟んでその日の夕方のには遺跡とやらに到着した。本当に近くで発見された遺跡だな、何故に今まで発見されなかったんだよこの遺跡は。
「この遺跡の名前はサボン遺跡と言う、何でもサボンと言う冒険者の男が第一発見だからそう名付けられたらしいぞ」
マルコの説明だ、なんか魚や虫の新種を発見した時のノリだな。
遺跡の探索は明日からなので今日はここで野営するらしい、よしっ今晩はマイルに俺が冒険者として成長した姿を見せてやるぜ。
ツバイ達直伝の野菜と肉の煮込みスープでな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます