第23話 遠征訓練

「おはよう、今回の遠征訓練を指揮する冒険者パーティのリーダー、ツバイだ」


 次の日の朝、集合時間にカルカトの入り口に向かう数名の人間が集まっていた。

 俺も含めて九人、若い冒険者が四人(男子二人、女子二人)、熟練の冒険者が四人(男性二人、女性二人)、オッサン(俺)が一人と言う案配だ。


 熟練冒険者のリーダー格であるツバイから今回の依頼の説明を受ける。

 俺達新人はツバイのパーティが受けた依頼について行って雑用をこなしながら遠出する依頼の経験を積む事になるらしい。


 必要な道具、移動のかかる日数の計算、野営と準備とか夜の見張り交代の目安など様々な事を学ぶ事になるとか。


 俺も今回は真面目に仕事をするつもりなのでバックパックを購入して荷物を運ぶ、長距離移動なのであまり重くなりすぎないように荷物も選別した。


 今回のクエストは道中で薬草の採取とかもしながら移動、そして目的地は西の湖らしい。森と湖でそれぞれ一拍ずつするらしく行き帰りで合計三泊する予定の遠征訓練だそうだ。


 俺以外は防具や武器を装備してる、俺も武器とか欲しいな(ゴブリンの棍棒?金欠で売ったわ)。

 けど体力も筋力も劣るこの身体でそんなもん装備したら移動すら難しい、モンスターから逃げられなくなる。そもそも装備を揃える金もないしな。


 若い冒険者が俺の方を見ながら何やら話していた、どうせ『何でこんなオッサンが?』的な会話だろうから無視する。


 ツバイの話が終わると早速出発することになった。


 道中、分かってはいたがオッサンの体力の無さが足を引っ張った。

 ヒーヒー言いながらついていったね、少し運動した程度じゃこんなもんだよ。


 装備とかなくて正解だったな、あったらリタイアしてるわ。

 カルカトを出て普通の道を歩くまでは良かったのだが薬草採取の為に森に入ってからはキツかった。


 人の手の入ってない森って本当に歩き難いったらないんだよ。


「そっちのササナ草は食べられる、だがその下のヤダン草は毒草だ触った手で目を擦る洒落にならないくりい腫れる、根っ子をかじると嘔吐するぞ」


「……葉っぱの形が本当にそっくりですね」


「ああっしかしよく見ると違いがあるだろう?薬草採取は細かい違いの確認を忘れるな、毒草の採取も冒険者ギルドの依頼にはあるが薬草に毒草が混じってしまうとギルド職員に迷惑がかかる」


「成る程」

 確かに、多分ギルド職員が一つ一つ確認させられたりするんだろう、その原因だと知られたら絶対に嫌われる。


 ツバイはリーダーらしくとても強そうな冒険者だ、顔が怖い。

 しかし薬草の知識も持っているらしく若い冒険者や俺みたいなオッサンにもちゃんとした説明しながら薬草採取の事を教えてくれた。


 森で薬草採取を始めて一時間で結構な量の物が集まった、次は野営の準備である。

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