File4 舟木智朗とジャックスの中枢

 俺は九鬼泰照。暴露屋の代表だ。

 さぁ、今宵も暴露屋に依頼者が訪れる。

 今回の依頼者は宮渕竣平みやぶちしゅんぺい

 どうやら、父を亡き者にされた男だそうだ。

 「私はこの間父を亡くしました。しかも、何日放置されていました」

 すると、宮渕は、苦虫を噛み潰したように顔を歪めさせると、それを語りだした。




 7月18日。宮渕竣平の父である宮渕正寿まさとしは、出張で千葉に来ていた。

 海沿いを歩いていると、そこに迷惑な観光客がいたのだ。その観光客は、砂浜にペットボトルをポイ捨てしていたからだ。

 その観光客というのが、SNSで有名の社長、舟木智朗ふなきともろうだったのだ。

 だが、有名であろうが関係なく、宮渕正寿は舟木に注意した。

 しかし、舟木はそれに反抗した。

 「あぁ?俺は有名人の舟木だぞ!お前みたいな奴に注意されたくないんだよ」

 そして、舟木は、路地裏に正寿を連れて行くと、近くにあったビール瓶で正寿の頭を思い切り叩き、倒れた正寿をゴミ箱に捨てたのだ。

 それから二週間後、酔っぱらいの男が路地裏に入りゴミ箱を開けると、そこには腐敗されていた正寿の死体があったのだ。

 その次の日、加害者は捕まった。しかし、実際に捕まったのは、舟木ではない、ただのチンピラだったのだ。

 では、どうやって宮渕は舟木が父を殺したのを知ったのだろうのか?

 それは、ネットの掲示板で知った事だった。

 たまたま、正寿をビール瓶で叩く舟木を見た人物がいたのだとか。

 しかし、その人物は警察に言えなかったと言う。それは、舟木に口止めされていたからだった。




 「その情報が本当かどうかはわかりません………ですが、それが本当だったら、何故アイツはのうのうと暮らせている!ふざけるな!アイツを、社会から抹殺してください!」

 その怒りは、下唇を噛む程であった。

 「わかりました。では、奴を地獄に落としましょう」

 俺は宮渕を帰らせると、早速舟木について詳しく調べた。

 舟木智朗。30歳。『舟木グループ』のCEO。妻と子供がいる。

 実はこの男、半グレ集団と関わりがあるのだという。

 その半グレ集団というのは『ジャックス騎士団』。どうやら身代わりで出したチンピラもその集団の一人なのだ。

 俺は、マスコミにこの事をリーク。最初に舟木を堕とした。

 さらに都合よく例の集団は苑頭町の北の方に無断で事務所を構えているという情報もあった。

 俺は会長の桂田さんにこの事を話した。

 「分かった。では、うちのモンがそいつ等を抹殺する」

 その結果、ジャックスの苑頭支部は綺麗サッパリ無くなったと、カチコミに行った組員はそう言っていた。

 しかし、ジャックスのリーダーであった、下尾純しもおじゅんは、死に際にこう言っていた。

 「お、俺はチーム絵札トランプの四天王だぞ!俺を殺せば、上の者達がお前たちを!」

 まぁ、全部を聞く前に組員がソイツを撃ち殺したんだがな。

 しかし、チーム絵札。聞かない組織だ。もしかして、藤松会を潰す可能性があるかもしれない。

 まぁ、その時その時だ。その時に考えよう。








 都内某所…『チーム絵札』の事務所。

 そこに、3人の男がいた。

 一人は『ブラッドクイーン血の女王』のリーダー、早乙女孝男さおとめたかお

 もう一人は、『グレイトキング誇り高き王』のリーダー、山王慎哉さんのうしんや

 そして、『ラストジョーカー最後の切り札』リーダー兼チーム絵札の親玉、桐田怜介きりたれいすけ

 彼らは下尾が死んだことを話していた。

 「にしても、下尾のやつ、最後まで俺たちを頼ろうとしましたね」

 「あぁ、アイツは権力を持っただけの一般人。所謂裸の王様だからな」

 「ですが、どうします?チーム絵札の四天王の一人が消えて、少し弱体化しましたよ」

 「まぁ、いいじゃないか。あいつは所詮、捨て駒にすぎない。当然お前らもだ」

 「ちょっ…桐田さん。冗談キツイっすよ」

 「……………なぁに、冗談だよ」

 桐田は、妖しい笑顔を顔に貼り付け、席を立った。

 「まぁ、その時その時だ。頑張るしかないだろう?」

 桐田はそこを去った。

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