第7話

「さあ、皆さんそろっていますか?」

 ドアが開き、先生が入ってきた。

「私の名前はアラン・オールディス。炎魔法が得意です。皆さんも自己紹介をお願いします」

 アラン先生とカノンの目が合った。アラン先生はちょっと眉をひそめてカノンから目をそらすと、生徒たちの席順を見た。

「それじゃあ、一番の人から自己紹介を始めてください」

「はい。僕はミラン・テイルといいます。氷魔法が得意です」

 そういったミランは、みんなに向かって微笑みを浮かべた。


「はい、次は……」

 しばらく自己紹介が続き、最後の三人になった。

「次は、アデル・ホルスさん」

「……はい。わ、わたしは、水の魔法が……すこしできます」

「はい、よろしい」

 アデルは周りをきょろきょろを見回した後、席についてうつむいた。


「次は僕です。ベンジャミン・ロイルです! 楽しいことが好きです!」

「楽しい学園生活になるといいですね」

 アラン先生は心のこもらない声でそう言った。

「それでは、最後……」

「はい! カノン・ハリスです! よろしくお願いします!」


「得意魔法は?」

 クラスの誰かの声がカノンに尋ねた。

「あ、あの、まだ……よくわかりません」

 クラス中から笑い声が起こった。

 カノンは恥ずかしさで顔を赤く染め、うつむいている。

「皆さん、静かに。カノン、座りなさい」


 カノンが席についてうつむいていると、ベンジャミンが振り返ってカノンに言った。

「気にするなよ、カノン。のんびりやろうぜ」

「……ありがとう、ベンジャミン」

 アラン先生が咳払いをして、教室が静まり返った。


「それでは皆さん、これからよろしくお願いします」

 カノンはアラン先生は少し冷たい感じだな、と思った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る