第6の恐怖

 カナコは足を引きずりながら、歩道の上を歩いていた。周囲を歩く人々が彼女を見て避けるように道を開ける。

 カナコの髪は乱れたままで、目はうつろ、口は半開きで頬は垂れている。まるで生ける屍のように、カナコはヨタヨタと歩いていた。

 薄いシルエットの女の幽霊がカナコの横を通り過ぎる。その女は少しだけ振り返ってカナコを見たが、一度短く鼻で笑っただけで、そのまま静かに歩いていった。

 夜は更けていく。

 カナコは無言のまま歩道を歩いた。もう人はあまり歩いていない。歩道の上を歩いているのは、ほとんどが彷徨う魂だ。カナコはその黒い波の中へと吸い込まれるように歩いていった。

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