忘れかけていたあの日の約束が、突如舞い降りた日

稚拙

第1話 親友(ライバル)との出会い

「なあ、俺と一緒にサッカークラブに入らね?」

小学一年生の桜咲く日のことだった。

彼が私にそう尋ねた。

家が近所で同じクラス。登下校の班も同じであった私は、すぐに彼と仲良くなった。

そう尋ねられたのは、色々な話をしていく中でのことだった。

私は一瞬迷ったが、それでも思い切り良く承諾した。

所謂小学校の『サッカー少年団』という組織であった。

私と彼が入団を希望したときにはすでに二、三人の同学年の仲間がいたと記憶している。そして、その時の小さな不安と期待も。


私と彼はサッカーに熱中していた。

来る日も来る日もボールを追いかけては泥だらけになっていた。

二十分休みの時も、放課後も、稀に他の友達を交えて遊ぶときもあったが、基本はいつも彼との1 on 1 だった。


私と彼の二枚看板で、チームは連戦連勝だった。

「俺たち最強の二人!」なんて、いつも言い合っていた。


小学三年生の時だった。私の誕生日に、彼がバースデーカードをくれた。

開いてみると、そこには私の大好だったサッカー選手、リオネル・メッシの写真とメッセージが添えられていた。

「いつかメッシを超えられる選手になろうな」

そんな内容であった。私は嬉しい気持ちであると同時に、どこか違和感を憶えていた。そんなことをするような人では無かったし、とにかく私は違和感を憶えていた。

私はたまらず彼に聞いた。

彼は少し下を向き、そしてゆっくりと口にした。


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