第1部・1章

ep2/魔獄時代

 ――――深淵魔獄アビスロック


 それは神罪魔帝しんざいまていデストールが築いたとされる、五大陸六海を侵蝕する超大な魔宮である。

 凶悪なモンスターがあふれるダンジョンの最奥には、デストールによって封印された創界母神そうかいぼしんアルメイダが封印されていると云われる。

 深淵魔獄が誕生してより四千年。数多の冒険者が母神奪還に挑んだが、難攻不落の迷宮の前にあえなく散っていった。そして現在まで、終点に辿り着いた者はいない。


 そして深淵魔獄アビスロックは世界に大いなる厄災を撒き散らす。

 魔獄から湧き出た無数の凶獣たちが、頻繁に世界各国を襲撃するのだ。

 獣災スタンピードと呼ばれるその大災害は、一度起こってしまえば多くの人民の命を奪い、国家に深い損害と傷跡を残してしまう。

 人々は古よりその厄災をおそれ悩み、そして立ち向かい続けてきたのだった。


 しかし人類は、ついに深淵魔獄への大々的な反抗を開始する。

 新たな文明改革と急速な技術発展により、戦力を増大させた世界中の国家が、本格的に迷宮攻略に乗り出したのだ。

 大前提として人類救済や母神奪還という大義があるが、裏では魔獄に眠る富や資源を得ようと目論む者たちも多く、清濁相せいだくあいまって魔獄攻略の熱狂は世界各地へと伝播していった。


 富を求める者。好奇心に駆られた者。名声を得んとする者。

 信仰を貫く者。真実を追いかける者。策謀を巡らす者。

 集いし冒険者たちは、様々な思惑が交錯する深淵魔獄アビスロックへと挑んで行く。


 奈落の底で、正義と野望と狂熱が吹き荒れる。

 今、世界には――激動の魔獄時代ロックエイジが訪れていた。



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〈作者コメント〉

どうも。クレボシと申します。物語の性質上専門用語が多いので、それをどう読みやすくするか頭が痛い所ですね。

応援・感想・評価などをつけて頂けると嬉しいです。

誤字脱字の報告もしていただけると助かります。

※タイトル(ABYSS×BLAZER)はアビスブレイザーと読みます。ブレザーじゃないですよ。

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