《数日間休…。》魔王様はやらかした模様です。

トロ

第1話 叶わなかった願い

 私はどこにでもいるような田舎娘だった。しかし、あの日、それまでの日常は崩れ去った。

 天啓ギフト、10歳になった子供が教会に行き、ゴミから受け取る能力のことだ。まぁ、大抵の場合は受けないんだが。ゴミから天啓ギフトを受け取った奴が受け取れなかった人間のことを《見放された者》なんて言いながら蔑み、この世界を支配している。

 私は10歳のとき【天啓ギフト】《勇者》というやつを受けてしまった。

 神を狂信している教会が私の身柄を預かると言った。私は嫌だった。両親は私に厳しかったが村の人達は私に親切だった。私は故郷の村が大好きだった。

 しかし、両親は笑顔で「行っておいで」と私を教会へと。金を貰ったってことは後から知ったのだった。まぁ、子供ながらに何かあったんだ、とは悟ったんだが。

 教会のゴミ共からは「魔王を倒せば故郷に帰してあげる」だとか「魔王を倒すことが君の生きる意義」だとか言われた。何故魔王とやらを倒さなければいけないのかは分からなかったが『魔王は悪いもの』という言葉は私の脳内に刻まれた。

 地獄のような日々だった。当時10歳でヤンチャだった私が遊ぼうとすると「偉大なる神のため」とか言われながら鞭で叩かれたり殴られたりもした。

 しかし、今日で終わる。今日、この北の大地で私は魔王を討伐するのだ。地獄のような日々が終わるのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る