第3話

メニースターズ 

私の旅団 第3話


マリー達一行は小規模の町へ到着、しかし小橋の向こうからは謎の兵士達が――

足止めをされていた3名が助太刀を申し出る レオ、ハイマ、義信 そして


「アドラ団、分かんないわ 町の長って直ぐ近くにいるのかしら・・・寄るか」


町の左手にそれらしき建物が見えた 情報がないまま突進するのは好ましくない

 こちらも向こうも丸腰ではない、マスターのピジョンを先頭に立ち寄る事に



「ええい、アドラ団め 勝手に関所など構えおって 最初の話と違うではないか」

いぶかしげな表情を浮かべた初老の男性、彼がこの町の代表だろうか 恐らくは

「こんにちは もしや貴方がここの町長さん? 我々はこの先へ行こうと 実は

さっき警備兵らしき連中に脅されたのよ 強引に突破を企てるならどうとか、ね」

「なんか他の人達も遠めに関所側の方チラ見してるみたいよ 不満なんじゃない」


 少し押し黙るような感じで俯き加減な姿勢をゆっくりと正すと意を決した様に、


「不満もなにも、半年ぐらい前までは条件なしで中央まで往来は出来てたんだよ!

山賊が多い地区だから警備の名目で毎月高い料金を払わなきゃならん みかじめさ

おまけに独自の通行証を発行してるんだ、許可のない者は尋問を受ける仕組みだ」

「それって税金の2重どりなのでは」とライオネル・・・数名がうなずく様な仕草だ

「此処は大都市ではない 兵士の数自体が過剰だ 水増し請求だよ分かるだろ?」


「ムカつくわね ねえ町長さん、奴等の態度だとその内この町乗っ取りされるわよ

アドラ団とか言ってたけど何者なの」とピジョン そう・・・聞いた事がないのだ

「君達はこの辺じゃないのか、結構変わった風貌をしているな うむ 奴等は皇国の手先だよ、ネクロスさ 知らないのか 現在の皇帝は息子のルドンだと聞いてる父親のジェラールはもう高齢だ、腰痛持ちだと聞いていたが 近年退位した様だ」


「ネクロス皇国・・・知らないわパンドラさん 何か危険な予感してたのよね~」

「王様、皇帝だっけ 息子が継承してるの? 今ドコのロマンシングかしら w」


そう来たか・・・オリジナルです 間違いないさ これは苦戦のフラグなのでは?


「君達は通行書無しで中央へ渡るつもりなのか? 皇国のお抱え兵は屈強だぞ君達

悪い事は言わないが 考え直した方がいい(どっちの意味かなぁ)そうか・・・」

「奴等は警備兵以外にも怪しげな魔物や獣を従えてるいう噂なんだ 逆らえんよ」


「ふーん 情報くれてありがとね町長さん 私等部外者だから丁度いいじゃない」

「オリーブさん売られた喧嘩は避けない主義なのよ 中央の方がグルメの予感よ」

「調べ物がしたくて中央まで行く予定だったのでな 今は9人だな私等は」と義信


 どうやら関所の警備隊との衝突は回避できない流れだが 町長宅を後にする事に


「嫌な感じですね・・・あ、向こうから此方へ 近くに」咄嗟に警戒するサーシャ

「戦いは先手必勝かな 軍人なら尚更だぞ」続けて体勢を低く構えるのはハイマだ

「・・・チッ 何だ貴様等 まあ俺達は別にどっちでも構わんけどな やる気とは

おい! 旅人様がお通りなさるとさ 敵襲だぞ アドラ団が仕事をしてくれとよ」


誰が壱の手を放ったかは覚えていない 気が付いた時には混戦状態に突入していた

マリー達9人に対しアドラ団は30名近く 馬鹿な事はやめておけと 町長だったか

 日々の警備に退屈していたのか 仕事の名目なら多少はけが人が出る日もあると



油断した後方へ重装備の足元に鈍い光の円陣、口元に寄らねば聞き取れぬ程の詠唱

まだ全力を尽くす相手ではなし、足元へ吹き上がるのは戦意を奪う陽炎の揺らめき

戦闘において機動力が重要視される 破壊の為に振り上げた戦慄の斧でも空振では

「な・・・皇国の警備兵だぞ 貴様等!」遅かった 隙を見せたのは飾りの鉄鎧か

奥から獣兵らしき姿が数匹 敵勢の中では最重量にして軽快 野生が標的を定める

円よりも直線、本能に従う、当然の動きだ 数々の糧にして来た爪を容赦なく研ぐ

遅いのだ 恐らくアナタはこの戦況を見た事がない しかし何故か知っているのだ

戦場だ この先は もう随分と前から 近いか 遠くか 同じである 私達の旅は


「なんだよコイツ等 烏合とは思えん こんな戦力の旅団、ある訳ないぜ本気か」

「馬鹿な まさかこの人数で我々の国に侵略でも仕掛ける気か? クッ 伝令を」


遠めから町の住民達の視線、不満はあった 誰か憂さを晴らしてくれないだろうか


「まさかこの状況とは 意外だがどう見ても穏便ではない 力対力は不味いぞ!」


致命傷を受けた様子はない だが負傷者入りには十分すぎる理由 次第に鎮静する

兵数の差は当てにはならない 戦国の歴史がそれを記載として後世に残していると

果たして同じ光景を見ただろうか 見ている存在は個ではない 私の友人は語った



「えっと 雰囲気的に留まるのは危険かと ですね?」少し震え気味にサーシャだ

「な、なによグルメ旅行なんでしょ元々は 喧嘩ぐらいで」急ぎ気味にオリーブが

「HEYユー オリジナルの責任取ってよね」パンドラの瞳に僅かに怯えの揺らめき


項垂れたアドラ団 マリー達は関所の敵兵を一蹴したのだ 進む以外は許されない

「先へ行きましょう皆 後戻りは出来ないのよ」ピジョンの覚悟は決まっていた―



   

           BGMは各自でお願いしますね( ノД`)


 {この大陸には数々の伝承が残っている 文献 口伝 大国ほどその数は多い

 マ・ディラ、かつて世界を救った賢者が建国したと伝えられているが未記載か

 アクエリアス王国 世界地図の何処にも記述無し 大昔の言い伝えのみの様子

 ・・・共和国 羊皮紙が崩れかかっており所在 時代ともに不明瞭、等々。

 広大な領土に恵まれ 農業 商業 各施設 人口の多さも加わり存在感は十分

 現時点において最も威厳のある大国 ネクロス皇国 世界の中央地域に構える

 近年においては世代交代後の皇帝ルドンが領土の拡大を模索していると思われ}



 絵具は基本の色というものがある それぞれ好みがある 一度混ぜると戻らない

 不可逆性 そう聞いた気がした 何時だったか覚えていない 気にする事はない

 我々の旅路はこれではないか 覗いたのなら最後まで同行するのが望ましい と


マリー達はネクロス皇国の領土内に侵入する 少し息があがっていた 大魔導士が



                {住民の声}

「関所破りだってよ この辺りじゃ見ない風貌だって 誰だよ 9人とか聞いたが」

「私もこの間謎の5人組が盗賊を蹴散らすのを見たよ 人数が合わないよな・・・」

「ねえ どんどん税金が上がってるよ今 通行料金まで払う余裕ないって 皆さ」



  無理に重税を払うぐらいなら皇国の住民になればいいさ 田舎など捨てて

 同じ領土内なら各種免除の扱いだと 警備料金など馬鹿らしい 配下内ならば

 確実に大国に人は流れる うちの村もそうした方が利口か 長なら思案するが

 一極集中だ 帝都さえ栄えれば 地方は税収に利用する 支配構造の完了だ!



アドラ団の追っ手を警戒しながら皇国の中央を目指す一行 栄えている場所へ進む

暫くすると集落と橋らしき場所へ出た だがのどかな風景とは逆の光景だった――



                {悪党}

「おいおい何だ 軍事演習かネクロス皇国のごくつぶし共が ビビりやがって」

「あー村の間抜けが誰か雇ったのか 知らねえ集団が見えるんだけどよ 誰だ」


マリー達は北側と東側に留意しなければならない状況になる 北上して来た形だ

やや西手に集落が見える どうやら北の賊達は此処を狙っている 気配が伝えた

東の大橋の向こうはネクロス皇国の兵だろうか 割と厳重に見えた 果たして、


「殺気がこちらに向いてるな 北の連中だ 注意しろ」ハイマが当然の様に呟く

「後ろに戻ると危険度はさらに増す、連戦だが仕方あるまい」レオが続く模様だが

「妖怪だと? 何を申してる 野盗の類だと思うが如何か」意外にも冷静な義信



                {皇国側}

「おい 賊の襲撃には警戒していたが集落の近く あの集団はなんだ 報告は?」

「ハッ 積み荷のチェック時に手違いがあったと聞いてます(9名だと馬鹿が)」

「・・・ベラ上官 関所が突破されたと 私共にはその様に聞いておりますが」

「関所を突破して来ただと? まさかあの蛮族共の仲間か おのれ おいトム!」

「お待ちを 現時点は奴等の意図が分かりません 北の連中は悪漢達でしょうね」

「風貌が奴等とは違うな・・・少し様子を見た方が無難か 全部で9人だなクソ」

「中央に向かう商人でしょうか 武装してる感じです 報告は受けてませんので」

「了解した 橋の向こうには出るな 合流目的なら排除の方向で 私は構わん!」



マリー達は此処が皇国の国境だとは知らないのだ 領土を拡大している最中の旅路

もう引き返すことは出来ない、北の連中はこちらを狙っている 西の集落へ向かう


「クック 皇国の奴等は動く気がねえようだな よーし 速攻で強奪してやろう」

「ふん 誰がモブだと セリフ少ねえぞ畜生が 俺達名前も出ねえとはな w」


  これは我々側が見た戦記だ 1つなどあり得ない 私の旅団、行方は――

 

            第3話 3455文字 某日 (続)


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