第9話 悩みはいつかなくなる

 僕は子どもの頃、匂いに敏感でした。それは今でも若干あります。でも、子どもの頃と比べるとだいぶマシになりました。特に自分や人の体臭に敏感でした。服を洗濯している洗剤や柔軟剤の匂いも気になってました。しかし、僕が「なんか匂う」って言っても、周りの子たちからは、「あんた鼻敏感やな」と言いました。

 僕は、中学生一年の秋ぐらいから、自分の身体が変わったように感じました。部活をして筋肉が付いてきたからです。しかしそれと同時に、体臭もきつくなったような気がしました。いや、実際に汗をかいたときは臭かったです。それがめちゃくちゃ嫌でした。変な匂いを嗅ぐ(自然と臭う)のが嫌で、変な匂いがする自分は人に嫌われるに違いないと思い、あえて人と物理的な距離を取ったりしました。その時はよく図書室で本を読んでいました。でも僕は友達と仲が良くて、よく会話していました。その時僕は、なんで僕臭いのに僕と会話するんやろと思っていました。なんて寛容な友達なんだろうと思っていました。そして中2の頃、かわいい先輩二人と体育祭がきっかけで友達になることができました。僕はその先輩を学校で見かけると、笑顔で手を振っていました。先輩も笑顔で手を振ってくれました。でも僕は近づいて行って会話するのは避けていました。なぜなら僕が臭いからです。

 でも僕は友達やかわいい先輩二人に対して思っていることがありました。

 それは、なぜ、僕が臭いのに、友達になってくれたのかいうことです。僕は自分は臭いから受け入れてくれないと思っていたのです。でも僕の周りの人たちは僕を温かく受け入れてくれました。そのときに思ったのは人って意外に匂いとか気にしてないんだなということです。でも僕は自分の匂いを深刻に受け止めてました。

 

 ある時、かわいい先輩二人と保健室で偶然会いました。かわいい先輩二人は僕の身長を測ろうとしました。僕は二人に近づかれたくないので、走って保健室を出ていきました。今から考えたら、もったいないことをしました。先輩と話せるせっかくのチャンスを無駄にしたのです。


 それからときが経ち、十年。今では体臭はなくなりました。僕が学生の頃に感じていた匂いは、思春期特有のもので、今ではありません。今でもあの匂いは何だったのだろうかと思います。学生にとって匂いの問題は大事だと思います。

 何が言いたいのかというと、悩みは時間が解決してくれるということです。


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