第32話 武器も作ってみたいと思ってみた

「やっぱ『聖都ハイディア』に行く前にやっとくか」


 マリン、ファーストの二人と分かれたあとのこと。俺はそう呟いた。


 二人とパーティーを組んで俺は思った。やはり武器も作れるようになっておきたいと。素材を集めれば作ることは可能だからこそ、今のうちにコツコツとやっておいた方が良いだろう。アンバーのように強い装備を自分で集められるなら問題ないけど、せっかくならマリンたちのような初心者にも気軽に武器も作ってあげたいと思った。


 そこで俺は現在行けるマップに出てくるモンスターを一種ずつ倒していくことにした。というのも素材を手に入れるか、もしくは装備自体を手に入れれば、どの素材で装備が作れるかわかるみたいだからだ。ついでにどのモンスターがどんな素材を落とすのかのデータも取れる。もしかしたら装備自体を落とすかもしれない。しかも、その内容をブログに書けば記事にもなるし一石二鳥だ。今から一つのマップずつ潰していけばモンスターも網羅出来るだろうし、マップの漏れも少なくなる。


『暗黒竜アルデス』を倒したことによってドロップ率が二倍になってるし、一種を集中的に狩っていけばドロップ漏れも無いだろう。今は『冒険者の服』と『殻の鎧』しか作れないが、やっぱり作りたいのは武器。未だに装備重量の問題は解決出来ないけど、せっかくなら良い武器を作って売ったりあげたりしてみたい。


 マリンが『ビー』に攻撃が当たらない様子を見て思ったことがある。もう一つ《千発千中》を付けたらどうなるんだろうと。効果は重複するのか、一個だけ発揮するのかがわからない。重複するならどの程度だろう。仮に内部的な処理が100%増しだとすると、200%増しの三倍になるのか、単純に四倍になるのかが興味がある。そもそも『ビー』に対しては命中率が低すぎて、何倍にしても意味は無いかもしれないけど……


「ということで『セフト平原』からだな」


 と、俺は今のマップにいるモンスターを片っ端から狩ることにした。まあ、『ラビィ』と『ビー』は全てのドロップアイテム出るまで狩り尽くしていると仮定して、他のモンスターからだ。マップを確認するとリスのようなアイコン、キツネのようなアイコン、『ラビィ』や『ビー』以外にも何種類かモンスターが存在しているのがわかる。


「あと確か『アルデス山麓』にもモンスターはいたな。『ブライトン農場』にはモンスターは居なかったけど……あ、いや。『ツムール』が居たか」


 雑魚モンスターならある程度サクッと倒せるが、ボスモンスターであるから『ツムール』は別だ。火力が無い分、今でもかなり時間はかかるだろう。『ツムール』とは何度か戦っており、ドロップアイテムも確認しているが、漏れがないとは言いきれない。


「うーん。なんか良い方法はないかなぁ……あ、そうだ!」


 俺は一つの方法を閃いた。

 雑魚モンスターを一定数狩る度に『ツムール』と戦う。そうすれば一気に《水滴石穿》で倒せるかもしれない。何度か試してギリギリ倒せるHPのラインを見極めればより効率もあがるだろう。往復する手間なんて、『ツムール』一体倒すのに比べれば有って無いみたいなものだ。


「よし! そうと決まれば狩るか! ドロップ漏れは避けたいから、とりあえず一万体くらい狩っとくか。それくらいなら足りないってことは無いだろ」


 一種につき一万体くらい狩れば大体のドロップアイテムは手に入れるだろうと、俺はまずはリスのようなアイコンのモンスターの元へと向かったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る