第4話 落ちた先は...

 ドボン...。


「ガハッ!!! はっ! はっ! はぁ...!」


 落ちた先が水で助かったが、このまま流されてはたまらない。


 激流のようでどんどん地下奥深くへと突き進んでいくようだ。


(まずい...! 片腕が折れてるこの状態だと上手く泳げな...!)


「ガボボ! ガボッ!!!」


 そうこう思っている内にどんどん口の中に水が入り込んでくる!


(死ぬっ! このままじゃ死ぬ!!!)


 薄れゆく意識の中、俺はボードゲーム部の部員達の顔を思い浮かべていた。


(佐藤、石川、蜜香、そして愛川...。悪い。部長なのに俺死んだ...)


 ブクブクブク...。


 俺はそのまま口から水泡を出しながら、激流に身を任せたまま流されて行くのだった。


 ...。


 ...?


「...あっ。ゲホッ! ゲホッ! ゲホッ!!! さむっ!!!」


 俺がガクガクと震える中、なぜか腕の骨折が治っている事に気がついた。


「なんで...治ってるんだ?」


 俺が疑問に思っているとメニュー画面が突然開く。


『【回復の泉】の効果にて個体名【高坂和希】のHPが回復しました』


「【回復の泉】?」


 不思議に思って俺のいる場所を見てみると、確かに光輝く不思議な泉だった。


「これのおかげで骨折が治ったのか? だとしたらすごい効能だな」


 水筒などがあったらそれに入れて持って帰りたいくらいだ。


 そう思っていると...。


「キュ...キュウ〜...」


「なんだ?」


 いきなり弱々しい鳴き声が聞こえてきたのでそちらの方を見てみると...。


「なんだ? コウモリか?」


 俺の目の前に死にかけのコウモリがいた。


「キュ...キュウ〜...」


 今にも死んでしまいそうだが、今なら助けられそうだ。


 いや、止めを差してしまった方がいいのか?


 どっちつかずでなかなか決められないでいたが、なんとなく可哀想に見えてきてしまい、俺はそのコウモリを【回復の泉】へと入れてあげた。


 すると、弱り切っていたコウモリはみるみる内に元気になった!


「キュッ! キュッ! キュッ〜!!!」


「わっ! なんだこいつ〜!!」


 そう言いながらもコウモリは俺の頬に頬擦りするように甘えてくるのでちょっと可愛い。


 そんな事をしていると再びメニュー画面が開く。


『吸血コウモリがあなたを尊敬の眼差しで見ています。テイムしますか?(テイム確率100%)』


 そうでててきたので俺はテイムすると答える。


 するとパーティ画面が開き吸血コウモリの名前が加わった。


『吸血コウモリに名前を与えてください』


「名前か...。直感で決めようかな」


 そうして俺が決めた名前は...。

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