第24話 トカゲとドラゴン
早朝の、ある部屋。
そこには掛札がしてある。
トレーニングちう♥️入っちゃダメよ♪
byルクスリア
そう、わたしの朝は早い。
大体5時に起きるわ。
先日、
え?なんで、立ち入り禁止なのかって?
それは、あまりにも地味だから…
ほら!
華やかなわたしに地味なイメージってないじゃない?
やっぱり、そういう地味な努力は他人に見せたくないのよ、昔っからね。
わたしのトレーニングはじっくりきっちり1時間の『馬歩站椿』から始まる。
ピクリとも動かずただひたすらの足腰鍛錬。
地味も地味。
汗だくになりながら動かない。
キツイわよ~。
でも、これがカラダを作るからね。
ほら、烈海王もそんなこと言ってたでしょ?
そして、1時間経ったところで、型の確認。演舞みたいにやるのよ!
八極拳、劈掛拳、八卦掌、太極拳。
これをきっかり30分。
次に、流星錘の練習もみっちり15分。
最後にわたしのオリジナル。天蠍拳の練習を15分。
天蠍拳は蟷螂拳や蛇拳に似た感じね。毎晩のイメージトレーニングをここでフィードバックするのよ。
こうして、きっかり2時間のトレーニングが終わるの。
ホント、汗だく。
わたしが転生するまで眠っていたルクスリアさんのカラダ。寝ていたというだけあって動きが悪かったわ。
そりゃあ、カラダも悲鳴をあげるわね。
トレーニングの後はお風呂!
しっかり汗を流して、マッサージもして、1日に備えるわけ。
「姫さま」
なあに?
唐突にルナに声をかけられる。
「風変わりな二人組が是非、姫さまにお目通りしたい、と」
ふーん。公務も一区切り(公女としてのお務めはちゃんとしてるのよ?)したし、良いよ。どんな人?
「それが…」
「お!やっと来たな!」
わたしを待っていたのは、1人の女の子。
薄い水色のショートヘアー、片方の前髪が長くてそちらがわの真ん中が1房赤いのが目を引くわね。頭には角
口からは八重歯。というか小さい牙。
大きな尻尾。薄い水色の鱗に覆われてるわね。
ん?尻尾?
少し尖った耳。
前腕から手の先までは竜の前肢みたい。
ん?竜の前肢みたいなウデ?
背中には翼。
ん?翼?
腕、角、翼、尻尾は何かドラゴンみたいね。これが
「お初にお目にかかりまする。姫の御高名を耳にし、是非1度ご尊顔を拝したく参った次第でございます」
もう1人は、
「えーっと、2人は一体?」
冷静に質問するわたし。
「失礼。我は八大龍王を信奉致しまする
ふ、ふーん。何となく丁寧な方ね。
「オレは
ん?
蠍姫??
誰それ???
「アンタだよ、アンタ。巷では
わたしに指を指しながら蠍姫、蠍姫言うアクアとか言う
「アンタと勝負しに来たぜ、蠍姫!」
蠍姫、蠍姫って失礼しちゃうわ!
確かに、わたしは、蠍座のオンナだけどッ!
「いいわよ。そこまで言うなら勝負しましょう」
「おっ!話が早いね、蠍姫!オレに勝てたら何でも言うこときいてやるよ!」
言ったわね!
絶対に言うこと聞かせてやるんだから!
そんなこんなで、わたしは
丁度、公務で体も固くなってきてたところだから丁度いいわ。
庭の 訓練場にアクアを連れていく。
正直なところ日々のトレーニングでカラダがどれくらい動けるか気になってたから丁度よかったわ。
着替えを済ませてくるわたし。
公務の時は正装だからね、疲れるのよ、結構。
いつものチャイナ風の稽古着ね。
外の訓練場で対峙するわたしとアクア。
「さあ、何処からでもかかっていらっしゃいな」
わたしは構えてアクアの様子を伺う。
「よーし!行くぜ!」
構えるアクア。
う~ん、
何て言うか、、
隙だらけ、なのよねf(^^;
本当に
「オラーっ!」
気合いは良いけど、何て言うか洗練されていない、素人パンチ。
それをひょいっと、太極拳の技で受け流す。
「うわぁ!」
勢いというか、もって生まれたパワーが凄いのか、良い感じにふっとんで行くアクア。
おひおひ、わたし、まだ何もしてないわよ。
「ほう。相手の力を利用する技ですかな、完全に力の流れを把握されてる」
「分かられますか?」
「うむ。お見事でございますな。姫の武は」
なんか、ナガ・ハーンさんとルナが話してるわね。
どこか誇らし気で嬉しそうな顔してるわね、ルナ。
しばらくの間、猛牛アクアをことごとく捌くわたし。さながらマタドール姫ね。
「く、くそう!まともに当たりさえすれば!」
等と負け惜しみのアクア。」
はぁ…何か拍子抜け。
とりあえず、実力差を思い知らしめますかね。
「クソーっ!避けるなよー!」
ハイハイ。
わたしは、アクアのパンチを外側にはじく。
弾いた事でアクアの胴部ががら空き状態に。
そこにわたしは、人差し指を立ててトントン、トントン、トン!とリズミカルに点いて行く。
「ははっ!驚かせやがって!なんともないじゃないか!」
意気がるアクア。
まぁ、見てなさいな。天蠍拳を。
「今度こそ、オレの!って、あれ?」
アクアの動きがピタリと止まる。
「う、動けねぇ…な、何しやがった…」
「ん?あなたの気脈と魔力回路を一時的に乱しただけよ。動けないでしょ?」
戦いの場で動けなくなるということはどういう事か。わたしはちょっぴり意地悪く教える事にした。
「こうして、わずかの間、動けなくして…」
わたしはゆっくり構えて、ドシン!と震脚を踏み込み、突きを寸止めで繰り出す。
「こうしちゃえば、ジ・エンドね」
そして、わたしはアクアの眉間を人差し指で突く。
「ひぃっ!て、あれ?動ける?」
アクアは自分の動く手足を見てキョトンとしている。
「実力の差が分かったかしら?」
アクアはぐぬぬ、と下唇を噛んでわたしを睨む。
「あなた、負けたからわたしの言うこと聞くのよね?」
「ぐっ!1度言っちまったからな。オンナに二言はねぇ!」
かなり悔しそうなアクア。
わたしは、少しだけ考えて、ポンと手を叩く。
「よし!今からあなたはわたし直属のメイドね。丁度人手不足だったから丁度いいわ♪」
「メイド!?オレが何でそんなもんにならないといけないんだよ!」
「あら。自分から何でもするって言ったじゃない。ルナ。この娘の衣装は…」
ごねるアクアを無視してわたしはルナに注文を言う。
「畏まりました、姫さま。ほら、行きますよ」
アクアの首根っこをつかんでメイド控え室に向かうルナでした。
こうして、勢いだけは一級品の
ルナの厳しい躾についてこれるのかな?
メイドのお仕事頑張れば格闘術の稽古をつけてあげようと思っているわたしでした。
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