抱モフ絶倒の嫁入り大作戦!と見せかけてルッキズムに殴り込みをかける話

これほどまで全方位に激しい感情の振り幅のある作品もないでしょう。
前半では毎回カオスな面白さで腹筋捩れるほど笑い、後半以降は別離の切なさに涙し、ヒロイン・アエスタの勇ましさに熱く滾り、ヒーロー(?)モナルク様のあまりの天使さに悶え。
最後は号泣しながら爆笑していました。何この情緒のエレクトリカルパレード。

美貌のせいで嫉妬を買って陥れられ、王子から婚約破棄されたアエスタ。
追放同然に追いやられた先で、でっかいピンクのモフモフ・モナルク様に一モフ惚れします。

一言で言えば異種間恋愛なのですが、むしろ人外じみているのはアエスタかもしれません。
自分の美しさには一切興味がなく、本能の赴くままに行動する彼女の一挙手一投足がやべぇ笑いを誘います。

人間嫌いのモナルク様との距離を縮めるのにあれこれヘンテコな苦労をするのが前半。
後半は本当に怒涛の展開です。まさか泣くとは思いませんでしたもん。
特にクライマックス、アエスタを貶めた相手と対峙するシーンはめちゃくちゃ刺さりました。罵詈罵詈の雑言が炸裂する舌戦も読み応えがあるし、その顛末も……

美醜の価値観は呪いです。誰しもコンプレックスを持ち得るし、それに縛られたら生きるのも苦しいでしょう。
でも、美しさが悲劇を招いたアエスタも、化け物と恐れられたモナルク様も、そんな価値観を吹き飛ばすほどの大きい器の持ち主でした。
二人とも素敵でカッコよくて可愛くて、本当に大好きです。

もう、ほんと、信じられないくらい楽しかったです。
これから読む方へのアドバイスですが、周りから変な目で見られないためにも一人静かな環境での読書を推奨します。笑

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