秘密の花園は危険な香りと共に。〜嵐を呼ぶおっぱい検査〜 そのに

「……言うことを聞け、このメス豚が!!」


 ガッ!!


 遂に監視役の蹴りが炸裂し、康恵ちゃんの身体が講堂の固い床に叩きつけられた。 何てことをするんだ、ひ、非道すぎるよ……。


 このままじゃ彼女のスカートが無理やり剥ぎ取られてコッドピースが白日の下に晒されてしまう、僕は一体どうしたらいいんだ!?


「やめてえっ!!」


 その時、金切り声と共に倒れた康江ちゃんに駆け寄る女生徒が現れた。


 同級生の美馬桃花みまももかちゃんだった……。


 康江ちゃんの身体に覆い被さり身をていしてかばっているんだ。


「桃花ちゃん!!」


 彼女の必死な行動を見て堪えきれずに僕も列から飛び出した!!


「貴様、列から離れるな!!」


 背中越しに怒号が響いたが自分を止められなかった……。


 しかし周りにいた複数の生徒会役員にその場で取り押さえられてしまった。

 必死に抵抗するが多勢に無勢だ、無様に講堂の冷たい床にそのまま組み伏せられてしまう。


 「やめろおっ!!」


 康恵ちゃんの悲痛な叫び声に必死で顔を向けようとするが、頭を上から押さえつけられて首を上げられない、不自由な視界に映った光景は……。


 「いい加減に離れないか、このメス餓鬼ガキがっ!!」


 桃花ちゃんの華奢な背中を先程の監視役が蹴り続けている。


「私、絶体に離れない、康恵ちゃんは私の大事な人だから……」


 激痛に顔を歪ませながら必死で耐えている。


 やめて!! やめてあげて、このままじゃ桃花ちゃんが死んじゃう……。


 も、桃花ちゃん、あなたはそこまで康恵ちゃんのことが好きなの!!

 涙で目の前の光景がかすんで見えてきた、畜生、僕は何も出来ないのか!?


 ……自分の無力さに打ちひしがれる。


「あなたたち、止めなさい!!」


 この声は誰だ……。


 暴動のような喧噪が止み、一瞬にして水を打ったような静寂を取り戻す。

 叫び声は生徒会長、今宮美鈴さんだった、騒ぎを聞きつけて壇上から駆け付けたんだ。


「誰が生徒に暴力を振るいなさいと言いましたか?」


 冷徹な口調で暴力を振るった監視役を問い詰める。


「生徒会長!! こいつらが我々にあまりにも反抗するから……」


「口を慎みなさい、品性下劣なその口を」


 一喝されて監視役が後ずさるのが見て取れた。


 もの凄い迫力だ、こちらまで氷で心臓を冷やされたような気分になる。


「可哀想に、気絶するまで背中を蹴るなんて……」


 美鈴さんがその場にしゃがみ込み、桃花ちゃんの頬を優しく撫でた。

 桃花ちゃんはまだ意識を失ったままだ。

 傍らの康恵ちゃんは身じろぎ一つしない、何か策でもあるのだろうか!?


 この窮地を切り抜ける秘策が……。


「あなたは反省房に入って貰います」


 先程の監視員に向かって厳しい口調で告げた。


「生徒会長、お許しください、あそこだけは勘弁してください、お願いします!!」


 これまでの高圧な態度は何処へやら、必死に懇願し始めた。


「駄目です、わが生徒会、そしてミューズには下品な人間は要りません、早く連れて行きなさい……」


 即座に他の生徒会役員が監視役を連れて行くが、まるで死刑宣告を受けたかのようにまったく抵抗しない。


 そんなにショックなのか、生徒会から解雇を告げられることが?

 そして気に掛かるのはミューズと反省房という二つの単語だ、謎はまだまだ山積している。


 こうして講堂に静寂が戻ってきた。

 ゆっくりと周りを見回し、生徒会長が口を開いた。

 他の全員がその唇の動きに注目していた……。


「全校生徒の皆様お騒がせして申し訳ありません、生徒会を代表して心よりお詫び申し上げます、検査を続けたいところですが先にお怪我をした二人を介抱させて頂きます、一年B組、美馬桃花さんと……」


 僕は不思議に思った、生徒会長が何故桃花ちゃんの名前を知っているのか?

 その後の言葉を聞いてその驚きは倍増したんだ。


「そして三枝康恵さん、あなたが検査を拒んだ理由わけを、私は知っていたのよ」


 ええっ!! 生徒会長に全部バレているってことは康一の女装も!?



 次回に続く!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る