第14話少年

召喚陣へと足をすすめると他の生徒達の声がリリアンナの耳に聞こえてきた。

「ポンコツの番だ、ちゃんと召喚できるのか?」

「呼べるとしても下級精霊くらいだろ」

ひそひそと笑いながら陰口を言っている。聞こえてる、なんて今のリリアンナには言えなかった。さっきの生徒達が言った様にリリアンナの魔力は平均以下だ。呼び出す事ができたとしても下級精霊くらいかもしれない…でも

「私の使い魔になってくれるかもしれないんだから」

そう小さく呟く。下級精霊だろうがなんだろうが自分と契約をしてくれるならそれ以上の喜びはない。そんな事を考えていると召喚陣の中心へときた。

「…始めます」

そう言って胸のあたりで両手を組む。目を瞑り、震える声を必死に絞り出した。

「精霊よ、我が呼びかけに応えよ」

リリアンナがそう呟くと辺りが淡く光はじめる。温かくて優しい光。するとどんどんとリリアンナを包み込む光が強くなっていった。

「リリー?」

ルイが不安そうな表情で様子を見守る。リンも眉を顰めながら不思議そうな顔をする。

すると────

「……ッ?!」

リリアンナの身体に突然痛みがはしる。焼かれるような痛さに顔を顰めて態勢を崩しそうになる。危険だと察知したのかリンが魔法を使おうとする。

「ッ!これは…」

リンは驚いた様な表情をした。これは先程見たルイと同じ様な魔力、そして明らかに違うのは先程よりももっと強力な魔力を感じるということ。

びりびりとした痛みがリリアンナを襲うがそれでもリリアンナは止めない。

────お願い、来て!

そう強く願った瞬間…リリアンナを襲っていた痛みがなくなり光の中から一人の少年が現れた。

その様子に生徒達が驚いた様な表情をする。リンも信じられないものを見るような目でリリアンナと現れた"少年"を見ていた。

はぁ、と痛みから解放されたリリアンナは息をつき、現れた少年に目を向ける。少年はゆっくりと目を開けるとリリアンナを見つめた。

「……君が、呼んだの?」

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