第43話 紫都香さんが甘えて来る
週末。
俺も紫都香さんも星さんも用事がない今日。
俺と紫都香さん、そして星さんの三人で俺の家に集まって話し合いをした。
その結果、夏という期間に入るまでに俺が決めるという解決策で全てが収まってしまった。
星さんが帰り、俺と紫都香さんが家に二人だけになってしまった。まだ午前中で昼まで少し時間がある今、紫都香さんは今朝の頭撫でタイムが足りなかったのか俺のお腹に頭を突き出しながら抱きついて来る。
「紫都香さん、この習慣って何歳まで続けるんですか?」
「死ぬまで、かな。これ、二人の関係のステップアップの為のスキンシップって意味で始めたけど、悠くんの撫でる手が気持ち良くてハグしながら頭を撫でられるのがどうしても心地良くて辞めたくない」
てっきり俺が社会人になったら辞めるという答えが返って来ると思っていた。まさか死ぬまでとは……。
落ち着いたところで俺はコーヒーを淹れて紫都香さんと大学にも仕事にも何にも追われない時を過ごす。
この時間って社会に出て、結婚して、子育てが入って来たら滅多になくなるんだろうな。
お昼過ぎになるだろう頃、俺はお昼ご飯を作るためにキッチンの方へ向かおうと椅子から立ち上がった。
キッチンに入るとすぐ後ろに紫都香さんの姿が……。
「紫都香さん、何してるんですか?」
「悠くんと引っ付いて居たい」
服の袖を掴んでクイッと引っ張る紫都香さんは弱々しくお願いして来る。
「じゃあ一緒にご飯を作りましょう!」
二人で手分けしてお昼ご飯を作り上げた。
「はい、悠くん。あーん」
紫都香さんはスプーンを片手に持ち、俺の顔に近づけて来る。
紫都香さんは近づけるのを辞めないので口を開けざるを得ず、二人で作った料理が口の中に入って来た。
口に含んだご飯は美味しい。それなのにじーっと見てくる紫都香さんの目のせいでゆっくり味を堪能出来なかった。
「美味しいです」
「うん! 良かった!」
紫都香さんは俺の言葉に満足したのかパクパクと食べ始める。
あーんをやり返そうと思って俺も紫都香さんに向けてスプーンを近づける。
「紫都香さん。はい、どーぞ」
紫都香さんは一度顔を下に落としてから口を開けて顔を近づけて来る。
「あーーーん」
余韻が残るような程、スプーンを口に入れたまま数秒過ごした。
「美味しいですか」
俺が紫都香さんに言ったように紫都香さんも美味しいと言ってもらおうと尋ねた?
「悠くんの使ったスプーンおいし……悠くんと作った料理美味しかった!!」
————
夜。夕食も終え、お風呂も歯磨きも終えいざ布団に入ろうという頃。
「紫都香さん、布団に入りましょう。俺も一緒に行きますから」
「えへへ、悠くんと同じお布団に入る〜」
布団に入り、二人横並びに寝る。今日の紫都香さんはいつもより近い。
「紫都香さん、酔ってますか」
「酔ってないですよ。ちゃんと聞こえてますし言ってる事を理解出来てます」
紫都香さんは布団の中で恋人繋ぎをして来る。
「じゃあ、聞こえていたら返事をして下さい。……今度、紫都香さんと遊園地デートをしたいです」
「はい、喜んで」
笑顔で返事をしてくれる紫都香さん。
返事をする瞬間、握っていた手の力が強まった。
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