俺、【好き】が見える〜親が再婚したので美少女の義妹が3人も出来ました。「このキモオタ」と罵られても、俺は好感度を可視化できるからな。お前の数値は、もう遅い〜

神伊 咲児

第1話 俺、兄になる

「オタク臭ぁ。最低、最悪ぅ! あんたと兄妹になるなんて、人生終わったわ!!」


 と、俺を罵倒するのは14歳の女の子である。

 彼女とは初対面なのだけど、中々な言われようだな。


「ねぇ、ママァ。あり得ないってぇ! こんな冴えない奴ぅうう! 私、嫌なんだけどぉお!!」


「もう、凛華ぁ。そんな失礼なことを言っちゃダメよ」


「だってぇえ……」


「ごめんなさいね。陸斗くん」


「ははは……」


 と、苦笑いである。


 俺の眼前には3人の女の子が並ぶ。

 彼女らは、今日から俺の義妹になった。

 

 俺はめちゃくちゃ緊張している。

 先ほどの罵倒が流せるほどの緊張だ。

 なにせ、彼女たちは、間違いなく俺とは縁遠い存在。恐ろしい程、美少女なのだから。


 3人とも母親に似たのだろう。

 服装なんか、全員がミニスカートで、細く綺麗な太ももを露わにする。まるで、読者モデルのよう。


 対する俺は、髪はボサボサ。着る服も気にかけない、スクールカースト底辺層の存在である。彼女たちとは、明らかに住む世界が違う。


 そんな女の子たちと家族になってしまった。


 うーーん。

 いきなり兄になったと言われてもなぁ……。

  

「ねぇママぁ! 私、本当に嫌だからね! こんな冴えない奴ありえないって! 兄はイケメンって決めてたんだからぁ!」

「これ、凛華! 本当にごめんなさいね陸斗くん」


「ははは……」


 悪かったな、イケメンじゃなくて。


 思い起こせば3日前。


 親が再婚することになった。


「陸斗。父さん結婚することになった」


「はいい? なんか急だな? いつ?」


「明日」


「急すぎるだろ!」


 父さんはマイペースだ。

 いつものことだけど突っ込まずにはいられない。


「これ、お前の新しい母さんだ」


 と、スマホの写真を見せつけてくる。


「う!」


「ふふふ」


 めちゃくちゃ美人!


「まさか、20代?」


「ははは。38だよ」


「へぇ……」


 こんな美人を、やるなぁ……。


「彼女の名前は美桜子さんだ。3人の子供がいるんだぞ」


「え?」


「喜べ。明日からお前はお兄さんだ!」


「いや、驚きの方が勝ってるよ!」



 そして今に至る。


 まさか、その子供が3人とも美少女とは思いもしなかったよ。

 美少女義妹ができる。ラノベではこんな展開があったりするけど、まさか、自分の身に降り掛かろうとは思いもよらなかった。パターンは決まっていて「お兄ちゃん好き好き」みたいな展開なんだがな。



「マジ、キモイし最悪ぅ」



 現実は甘くないな。

 やれやれだ。


「娘を紹介するわね」


 と、美桜子さんは満面の笑みを見せる。


「長女は 彩弥音あやね。15歳の高校1年生よ。10月に誕生日を迎えるんだけど……。陸斗くんは16歳でしょ? だったら 彩弥音あやねは年下になるわね」


「俺は5月が誕生日です。なので、同じ学年ですね」


「あらそうなの。でも陸斗くんの方がお兄さんなのは変わらないわ。5ヶ月も早いもの」


 まぁ、僅かだけどね。


 彼女は冷ややかに笑った。


彩弥音あやねです。よろしく」


 落ち着いた雰囲気だ。自分が妹と言われても無反応か。

 それに、さっきから次女の態度にはスルーを決め込んでいる。

 普通なら身内の横柄な態度を嗜めるのが長女の役目ではなかろうか。

 次女に同意しているのか、それとも単にクールなだけなのか。

 その気持ちは計り知れないが、今は大人しいキャラに見えるな。


 グレーの長髪は室内灯の光だけでもキラキラと輝く。

 日焼けをしらない真っ白な肌。華奢な体なのに、胸だけは……。


 か、かなり大きいな。

 多分、Eカップはありそうな感じだぞ……。ゴクリ。

 母親似なんだろうな……。美桜子さんも相当だし。


 服装は、清楚な感じのミニスカートだ。

 少し大人っぽいかもしれない。


 こんな子と、一つ屋根の下で暮らすのか……。


ドキドキ。


 お、落ち着け俺。


 同い年って意識しちゃうんだけど、兄妹だからな。

 平常心を保たないと。


「次は次女の凛華よ。14歳の中学2年生。ほら、ちゃんと挨拶なさい」


「キモッ! んべーー! ふん!」


 と、目を逸らした。


 ああ、めっちゃくちゃ嫌われている。


 赤い髪はポニーテール。

 ややキツめの目をしており、性格どおりなのかもしれない。

 中学生らしい細い体型だけれども、胸は平均以上はありそうだ。


 ああ、中学生なのにな。そういう所を見てしまう自分が情けないよ。


 ぴったりとしたタイトなミニスカートを履いている。

 全体的に、少し色気付いてきたという感じ。身につけているアクセサリーといい、随分とお洒落さんだ。

 服なんか着れれば良いと思っている俺とは正反対だよな。

 

「未っ子のさきよ。小学5年生なの。ほら、挨拶して」


「え、えーーと……。んべーーーー!!」


「こら! んもう! 凛華がそんなことをするから咲まで真似しちゃったじゃない!」


「きゃは! だって、そいつキモいもん」


 凛華に釣られて咲も似たように笑う。


「キモいもん! きゃはははは!」


 やれやれ。

 彼女にも嫌われてしまった。


 それにしても、子供らしい随分と明るい子だ。


 ピンク色の髪はツインテール。

 大きな目はクリクリとして愛らしい。

 アイドルみたいなフワフワのミニスカートを履いている。

 胸は発展途上だな。

 

 幸い、俺は小学生に性的興奮を覚える性癖はない。

 彼女とは一番に仲良くなれる気がするな。


「陸斗よ。お前は今日からお兄ちゃんなんだからな。妹の面倒を頼むぞ」


「…………」


 妹……。

 いきなりそう言われてもなぁ。

 任せといてよ、とは良いにくいっての。


彩弥音あやねちゃんは美桜子さんに似て美人だからな」


「ん? 何が言いたいの?」


 父さんは鋭い目をキランと光らせた。


「手を出すんじゃないぞ」


「出さないから!」


 空気読んでくれよぉ。

 そういうこと言うなよな……。


 しかし、美桜子さんは陽気に笑っていた。

 触発された咲が、それ以上の声で笑うので家の中が随分と明るくなる。


 母さんと離婚して3年。

 それからは、この大きな家の中で父さんと2人暮らしだった。

 男だけの生活なんて味気ない。

 互いに笑うこともなかったな。


 そう考えたら、こんな生活も悪くないのか。


 ふと凛華を見ると、「ふん!」と言って目を逸らした。


 さて、彼女らと仲良くならないとな。

 同じ家に住んでて、ここまで嫌われてたら疲れるよ。

 せめて、普通に会話できるくらいの仲にはなりたいな。


 じゃあ、どれほど好感度があるのか見てみるか。


 これは俺だけの能力。

 生まれた時から俺だけが持っていて、誰にも言えない秘密の力。

 そんな力に俺は名前を付けた。



 好感度数値化ハートデジット



 そう心で念じるだけ。そうすると、対象の好感度が数値で可視化される。

 ♡マークの横に数字が表示される。これは俺だけにしか見えないないんだ。


 3人の義妹の前には♡と数値が表示された。


 さぁて、3人の好感度はどんな感じだろうな。

 俺のことをどう思っている?

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