第7話:コケにするヤツは許さない

会場に入ると、すでに何人かの客と美幸と仲のいい同級生たちが来ていた。

まあ、出された料理とスイーツだけ食って、とっとと帰ればいいと俺は思った。

でも、特別仲がいい訳でもない姫がなんで美幸の誕生会になんか呼ばれたのか・・・。


すると美幸が参列者に向かって向上を述べ始めた。


「みなさん、今日は私のお誕生パーティにお越し下さってありがとうございます」

ごゆっくり、おくつろぎくださいね」


「それから・・・ご紹介します・・・こちら私の同級生の迦具夜 月郎さんと迦具夜 姫さんです」

「おふたりはご兄妹なんですよ」


「姫さんはご養女で、最近我が校に転向してきたばかりなんです」

「ただ、どこの馬の骨か分からないようですけど・・・」


「美幸・・・馬の骨はないだろ・・」

「撤回しろ」


俺はカチンと来た。

姫はなにも言わず、美幸を睨んでいた。


「あら、事実なんでしょ・・・少し調べさせていただきましたよ」

月郎つきおさんのお父様が、浮気して他の女性に産ませた子だって話もあるそうじゃないですか?


「おまえな・・・人に恥を掻かせるために俺たちをパーティーに招待

したのか?」


俺は憤慨した。


「姫はそんなじゃねえよ、バカにしやがって」

「姫・・・帰ろう」

「スイーツくらい食って帰ろうと思ったけど、食ったらヘドが出そうだ」


「あら、パーティーは始まったばかりですのに」

「そんなに慌てて帰らなくても・・・」

「それにまあ、そんな格好して・・・ロリータファッション?変わってるん

ですね、あなた。


「しかも男から告られたって自慢げに言ってるわりに、その男が彼氏って・・・

レベル低いですわね」

「しかも兄妹で、クソ芝居打って見栄を張っても、みっともないだけですわよ」


姫はとうとう我慢できなくなって、美幸に食ってかかった。


「あんたに告った男だって、あんたがよくて告った訳じゃないだろ?」

「みんな、あんたの金が目当てなんだよ、バカ女」

「あんたが稼いだ金でもないのに、セレブみたいな顔をしやがって」

「おまえのほうこそ、みっともない」

「金がなかったら、なんの魅力もない、ただのブスバカ女だよ・・・」

「見かけは綺麗でも、中身が腐ってたら意味ないんだよ」


「まあビジュアル的に見ても、私のほうが何倍も、おまえに勝ってけどな」


「なんですって、黙って聞いてれば好き放題・・・」


「おまえが、人をおとしめるようなことを言うから、受けて立ってやっただけだよ

ブスバカ女」

「招待されたから来てやったけど、私をバカにするならこの屋敷ごと破壊して

やろうか」


「私をコケにするヤツは許さないからね」


「まあ、なんてお下品な・・・」


「ここまでで、とどめてやるから感謝しろ」

「ツッキー帰るぞ・・・そんなスイーツなんか食ってると腹こわすぞ」

「じゃ〜なブスバカ女」

「せっかくパーティーに招待してくれたんだから、お礼くらいしないとな・・・」


そううと姫は階段を降りて、広間に壁に掛けてあった高そうな一枚の絵に

パンチを食らわして穴を開けた。

おまけに飾ってある彫刻に回し蹴りを食らわせた。

彫刻の首が、吹っ飛んで床に落ちてゴロゴロ転がった。


「きゃー・・・あなたなんてことを・・」


「あ〜スッキリした・・・帰ろ、帰ろ」

「警察に暴力受けました〜って訴えてもいいぞ・・・」

「その代わり明日から住むところがなくなるくらい、この屋敷破壊してやる

からな・・・覚悟しとけよ」


「文句があるなら、いつでも受けて立ってやるぞ」

「ツッキー、帰ろ」


美幸は悔しそうな顔で俺たちを見ていた。

姫はカラカラ笑いながら、俺の手を引っ張って帰って行った。


つづく。

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