第10話 希釈な女、美酢と言うのか

泥酔の身体にムチ打って、無恥打って

美酢と書いて「=みちょ」と読む、希釈ドリンクをちびちびと舐めながら

午前24時30分の覚醒を少し悔いている。

こんなコンデションで朝を迎えたら、泥酔状態での作業になるでは無いか。


今日、無理に出勤する必要は無い。

のこのこ職場に現れることは寧ろ格好悪い醜態だと思われ。

一大決心をして前線を離れると宣言したのだ。

書斎で出来ることを、これから考えようと思う。

(我妻さんの代わりに、買い物に行くのも悪くない)。


……筆が進まない。美酢の酸味が骨身にこたえる。

寝室に戻ることも可能だ。勇気ある撤退に甘んじようか?

それでも、このまま泥に成り果ててしまうのだったら

机にしがみつき、夜明けを待つのも悪く無いと思った。


「多作は危険!」老舗文芸の理事に言われた一言。

確かに投稿サイトでは票が分散して

思うような伸びを体感するのが難しくなるかも知れない。

それでも、二作以上、書くのと書かないのとでは

断然、書くことをオススメしたい。

票の分散を危惧するのであれば、発表を控えればいいだけのこと。

ちなみに、この原稿と同時進行で書いている作品は存在しない。

『彼は誰時のカシューナッツ』宣言はしたものの

準備すら出来ていない状態だ。あるのは心象風景だけ。


泥のように朽ちて行くと思っていたが

二杯目の美酢が沁みたのか、目が冴えて来た。働きマンモード!

この10枚目の原稿で7000文字に到達。


「年下彼女」の情報が希薄になり「終活」にスライドしたが

「家族麻雀」にまで活路を見出したりもした。

今朝、意を決して出勤すれば、取れ高が発生する見込みもある。

それでも、この老体に鞭打つ行為は得策と言えるのだろうか?

午前25時30分。もう後には引き返せない時間帯だ。

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