第06話 どうする?



 レプトの知る限り、クォークに恋人が居たことはない。


 クォークは、


『私より弱い男に興味ない!』


 などと言い放つ。


 【剣豪】の勇者候補に勝てる男なんて、そうそう居ない。


 居たとしても、そういう男はとうに彼女を作っているだろう。


 勇者候補の肩書き目当てで近づいて来る男を、片っ端からぶん殴っていたクォークは、街では『男嫌い』『筋肉ダルマ』と囁かれていた。



 しかも、クォークには正論が通じない。


『難しいこと言われても、わからない!』


 とキレるのだから、手に負えない。


 クォークにも理解できるよう、易しいレベルの例え話しに置き換えて説明するのは、いつもレプトの役割だった。


「6年後にヤバイから、言うことを聞いてくれ」


 こんなこと、うまく説明できたとしても、クォークが納得するわけない。


(どうすりゃいいんだ!)


 八方塞がりに思えたクォークとの関係だが……。


(クォークを彼女にすればいいんじゃね?)


 と、ある意味、天才的な発想が浮かんだ。



 言うは易し。


 幼いころから、裸で川遊びするのも当たり前だった。


 クォークのことを、異性だと認識したあとでも、裸を見て興奮するようなことはなかった……。


 脳みそどころか、全身が筋肉質のクォークの身体は、柔らかそうな女性の身体とはシルエットからして違う。


(俺はクォークとエッチできるのか?)


 レプトは難題にブチ当たった。



 取り敢えず、『近いうちに帰省する』と、両親とクォークに手紙を出した。


 クォークとのエッチとかは、ひとまず棚上げして、一緒に住むのはいい考えかもしれない。


 クォークは料理が苦手だから、それを言い訳にして同居の話題を持ち出せばいける気がした。




     ◆




 盗賊ギルドでの活躍を聞きつけて来たと、二人組の男が訪ねて来た。


『あなたの才能を、国の為に役立ててくれませんか?』


 メチャクチャ怪しかった……。


 話しを聞くと、噂に聞いていた国の裏組織へのスカウトだった。


 15歳という低年齢が良かったらしく、『その歳でスバラシイ』とやたら持ち上げられた。


 この話しはレプトにとっては渡りに船だった。


 裏取りをした後、組織に加入した。


 国の仕事だから手取りがいい。


 これならいけるんじゃないかと、広い一軒家を借りようと決めた。


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