お試しから始まった恋

詩羽

第1話 出逢い

俺、柊悠音(ひいらぎ はると)は今。

人生最大のピンチを迎えている!!


「あ、あの!俺と付き合ってください!!」


「え…?」


「悠音?お前急に何言ってんの?」


「え?あ!!!す、すいません」


「悠音さんってバカなんですか?」


「…え?」


そう、俺は人数合わせで来た合コンで1人の女性に一目惚れしたのだ。


そこまでは良かった。皆が自己紹介して最後に俺の番になったのだが、そこで俺は"氷河冬音(ひかわ ふゆね )"さんに告白してしまった。


「冬音ちゃんごめんね!こいつこの歳まで彼女出来てもすぐに別れちゃうから免疫なくて!」


「はぁ、そうですか」


この感じだと、どうやら冬音さんも人数合わせで来たようだと思った。


最初から告白してしまったことで、誰からも相手にされず気まずいままだったのだが、俺はどうしても冬音さんと話がしたくて一生懸命話しかけていた


「あの、冬音さんはこういうのって興味無いんですか?」


「そうですね。今日だって人数合わせで来ただけなので」


「やっぱりそうですよね。実は俺もなんですよ」


「悠音くんもなの?」


「そうなんです。まぁ、正直俺は人と関わるのが苦手なんで普段は来ないんですけど…」


「それなのに自己紹介で告白してきたの?」


「はい。冬音さんに一目惚れしてしまって"今ここで行動しないと後悔する!"って思ったら告白してました…」


「ふーん…気に入った!とりあえず、お試しで付き合ってみない?」


「……え!?」


「だーかーらっお試しで付き合ってみよう?悠音くんのこと…」


冬音さんはそう言いながら膝に置いていた俺の左手を触りながら"もっと知りたくなってきた"そう囁いた。


「!!」


「悠音くんってそんなに女性経験ないの?」


「そうなんですよ。付き合った人はいるんですけど、手を繋ぐ以上の事も無くて…みんな俺みたいな男らしくもない、頼りない男なんて嫌みたいで…長くて2週間ですね…」


「じゃあ、その女たち勿体ないことしたわね」


「え?」


「悠音くんが男らしくなかったら、自己紹介の時に告白なんてしないでしょ?悠音くんは自分に自信が無いだけ。だったら自信が持てるようになればいいのよ」


「ど、どうやって?」


「私が良い男にしてあげる。だからお試しで付き合えって言ってるのよ。もちろんOKよね?」


「はい」


その時から、俺の一目惚れによる恋愛ごっこが始まった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る