第47話 恥ずかしい話し



 屋敷に集まった初日から、10組のカップルがさかっていた。


 俺は獣人の女性にいざなわれ、部屋に連れ込まれた瞬間、服を剥ぎ取られていた。


 ムードなんてありゃしない。


 だというのに、いざ初体験となると一瞬で終わってしまい、相手の女性は肩を落としてガッカリしていたな。



 数日が過ぎてパートナーが一巡したタイミングで、女から3人、男から2人の離脱者が出た。


 俺は勇者として固定のパーティーメンバーだったから、3人は俺のことが気にいらなかったんだろうと思う。



 30日が過ぎたころ、まだ残っていたのは男2人と女3人。


 俺を入れて、6人で魔王討伐パーティーを組むことが決まった。



 毎日毎晩、腰を振っていた俺は、すっかり腰振りのプロになったと思い上がっていた……。


 サルになる以外の時間は、魔法や剣術を教えてもらった。


 訓練を重ねたが、戦闘で死なない程度になっただけで、そんな俺が勇者で大丈夫なのか?


 本気でそう思ったもんだ。



 家族全員が呆れた顔をしてるが、若さってのはこんなもんだと思うぞ?



 魔王討伐の旅は、いつ終わるかわからない長旅になる。


 出発して半年くらいは馬車に乗って移動できたし、支援物資も届いていたのだが……。


 支援物資が届かなくなったころ、馬は魔獣にやられてしまい、徒歩での移動を余儀なくされた。


 食料を含めて、必要なモノは現地調達するしかなく、移動速度は落ちる一方だった。




     ◆




 パーティー内での気晴らし行為は、女性が話し合ってローテーションを決めていた。


 それは、あの世界の常識で、パーティー内エッチの主導権は女性メンバーにある。


 理由は、肉体的負担は女性の方が大きいからだそうだ。


 女性を乱暴に扱ったりすると、パーティーから追放されることもあるらしい。


 3日に1回くらいのペースで順番が回ってきたけど、マンネリ化して飽きてきていた。


 パーティーの女性3人は、外見も人柄も問題なかったんだが……。


 行為が終わると、見張りを交代しなければならないから、サッサと服を着て準備をする。


 恋人のように、事後にイチャイチャできないことが不満だった。


 俺は恋人が居たことはなく、童貞をこじらせていた。


 女子とのお付き合いに夢を見すぎていたことに、その頃になってようやく気がついた。



 食事や身体をぬぐう時、休憩や睡眠など、すべてが交代制。


 色ボケしている暇なんてなかったけど、何だかモヤモヤした気分を引きずりながら旅を続けていた。



 出立して1年くらい経ったころだったか?


 妙に人肌が恋しくなって、行為の最中に相手の胸に顔を埋めたことがあった。


 その女性は、そっと優しく俺の頭を抱きかかえてくれた。


 試しに俺も抱きしめてみたら、


「やっとわかったみたいだね」


 そう優しい声でささやかれた……。



 パーティー内の気晴らし行為を、サル化することだと勘違いしていた俺は、凄く恥ずかしかった。


 それからは、相手の女性ときちんと向き合うことができたと思う。


 ちゃんと気晴らしをすることができるようになり、モヤモヤしていた気分は晴れた。



 童貞が正規の手順をすっ飛ばし、いきなり異世界で乱交パーティーに混ざったことがよくなかったんだと思う。


 パーティーに居た3人の女性は女神だったんだと、あの出会いに感謝した。



 勢い余って余計なことまで話してしまい、家族全員が呆れていた。


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