第32話 装備の購入



 昨日は、講習と設備案内が終わった後、防御壁の近くにあるホテルで一泊した。


 軽い朝食を済ませ、防御壁の中へ入って装備品などの販売店へ向かった。


「いらっしゃいませ。よろしければ、ご案内しますよ?」


「基本装備を買いたい。新人シーカーなんだ」


「そうですか。でしたら、こちらに必要事項の記入をお願いします」


 出された紙を見ると、身体のサイズや希望する武具などを書くようになっている。


 とくにアーマーなんかは、サイズが合わないと悲惨だろう。


 記入を終えて店員さんに渡す。


「おそらく、ご希望の品は揃うと思います。倉庫へ向かいますので、一緒に来てください」


 店員に案内されて倉庫に入ると、かなりの在庫品が置かれていた。


 大きなカートを押しながら、案内された場所で試してみたい装備を選ぶ。


 防具は、ライトアーマーと小手、片手用の小盾にする。


 あの異世界で装備していた物に近いものを使うことにした。


 武器は片手剣と、予備のナイフを選ぶ。


 防具は試着室で着ることができるから、二種類選んだものを着比べてみた。


 やはり、とても軽くて楽だ。


 サイズ的にはどちらでも良かったが、グレーのものにした。


 武器は外の練習場で試せるようだから、カートを押して外へ向かう。


 剣と盾を手にして軽く振ってみる。


 問題ないようだから、購入したいと伝えた。



 装備品をすべて外して並べると、店員さんはそれを見て、


「これなら……」


 持ち運びに使う収納ケースを、数種類持ってきてくれた。


「機能は基本的に同じです。色や形の好みで選んで問題ありませんよ」


 あまり目立ちたくないから、ダークブルーのケースにした。



 すべてに値札が付いていたから、おおよその見当は付いていたが、


「合計で38万6千円です」


 そう言われ、この値段が高いのか安いのか判断に迷う。


 中古品でこの値段だから、新品で揃えたらとんでもない金額になりそうだ……。



 購入した装備の慣らしとして、国連軍の人と模擬戦をできるらしいから、お願いしてみることにした。


 価格は15分で1万円だったから、15分お願いする。


 この価格も、高いのか? 安いのか?


 判断に迷うが、異世界での危険度を下げるためなら、多少の出費は安いと考えよう。


 命は金では買えない!



 10分ほど待っていると、ガッチガチのフルアーマーを着込んで、大盾を持った人がやって来た。


「おう。いつでもいいぜ」


「お客さま。あちらでどうぞ」


 指定された場所へ移動し、軽くジャンプしてアーマーの隙間を埋める。


「どっちから打ち込む?」


「先に行かせてもらっていいですか?」


「いいぜ、来いや」


 模擬戦と言っても、マジでの斬り合いはダメだし、魔法の使用も禁止されている。


 あくまで、装備の慣らしの範囲での立ち会いだ。



「すみませんが、時間です」


 この装備の感触は掴めた。


 充分だろう。


 装備を外して収納ケースへと収め、預かり所へ預ける。


 その後は、消耗品の価格を調べたり、他の施設を見学したりしていたら日が暮れてきた。


 昨日と同じホテルにチェックインして、明日を待つことにする。


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