第5話 雷音(らいおん)ゆうきくん

 今度は、雫の前に髪の毛がぼさぼさで、無精ひげまで生えているオジさんが立ちはだかりました。


 ……いきなりなんだろう。なんだか怖い。

 後ろにいる加賀氏さん錻力ぶりきさんと通じるものがあるけど、清潔感が無いのはさすがに引く。


 目が合うと、いきなりこちらに寄ってきて話しかけてきました。


「僕は雷音らいおんという。とても臆病なんだ」


 例によってオジさんに話しかけられるのですが、臆病なのになんで人に話しかけるのだろうと思いながらも、オジさんの話を聞くことにしました。


「僕は、オッズ様から人気馬以外にも賭けることができる勇気をもらいたいんだ。仲間に入れてよ」


 真面目に訴えかける雷音らいおんさん。

 髭と髪に囲まれた真摯な表情をよくよく見ると、野性味あふれる素顔が見えてきた。soワイルド。


「勇気が無いから、単勝さえも買えずにいつも複勝ばかりを買う。こんな小さい利益を稼ごうとするのは、僕みたいな臆病者だけだろ?」


 雫は疑問に思い聞いてみました。


「なんで小さな利益ばかり追うの? 複勝以外にも、ワイドや三連複もあるのにそちらは買わないの?」

「やっぱり、複勝が一番当たる確率が高いだろ? 利益が少なくとも、当たることが楽しいんだ」


 零は雷音らいおんさんの考え方にも一理あると納得しました。

「ええそうかもしれない。あなた言うとおりね。買った馬券が当たると興奮するものね。たとえ倍率が1.1倍だったとしても」


 競馬好きの雷音らいおんさんも連れて行くことにしました。


 ――星の付け方も様々です。

 面白いと思いましたら、 3つ星以外にも、 2つ星 1つ星もあります。 以下略。


 にっこり。


 次のページへ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る