第2話 東野さん(警備員)と南野さん(警備員)

 ん、ここは。


 気付くと東野と社員証を付けた警備員さんの上に落ちていました。

 竜巻に舞い上がった結果、着地と同時に東野さんを倒してしまったのでした。



「いたたた……」


 雫は東野さんの上から起き上がりました。


「あ! ごめんなさい。 警備員さん」


 東野さんも意識がありました。


「お嬢さん怪我は無いかい? 大丈夫そうならよかった」


 優しそうな顔をした東野さんは、雫の下敷きになって怪我をしてしまっていました。


「警備員さん、その怪我大丈夫ですか?」

「これか。血が出てるな。これは、ちょっと医務室へ行かないとだな……」


 落ち着いた年齢に見えるオジ様の東野さん。

 慌てた様子も無く、落ち着いて対処をしていました。


「ところで、お嬢さんの手に持っているのはtotoではないか? 競馬場にそんなものを持ってきてはいけないよ。ほら、これを上げるから競馬予想を楽しみなさい」


「ありがとうございます。けど私はtotoも楽しみたいのですが」

「大丈夫。totoよりも競馬の方がもっと楽しい」


 何やらイケオジに見えてきた東野さんは、そのセリフを言って競馬新聞と赤鉛筆を渡すと、医務室へと向いました。


 竜巻に飛ばされてしまったため、ここは競馬場ではありません。

 東野さんどこの医務室へ向かったんだろうという疑問もありましたが、気が付くと東野さんは消えていました。


「うーん。こんなものもらってもなあ。今はスマホで情報収集したり、馬券が買えるのに」


 そこに今度は、南野と社員証を付けた警備員さんがやってきました。


「外れ馬券に巻き込まれるなんて災難でしたね。競馬場に帰りたいのであれば、偉大な魔法使いオッズに会うといいでしょう」

「いや 競馬もいいですけど、私はtotoを買おうと……」


「大丈夫、今書いているあなたのワールドカップ予想は外れて、日本は勝ちます。それよりも競馬です。オッズに会うといいでしょう」


 (……あれ? 今断ったのに2回も同じことを言ってきた。)

 (これはあれだ。”はい”と言わないと先に進めない選択肢だ。)


「競馬なら、あなたの夢、ギャンブルで億万長者になるのもたやすいでしょう。オッズに会って、万馬券の予想を教えてもらってきなさい」

「しょうがない……。はい、わかりました」


 そう答えると、南野さんはにっこり微笑みました。

 オジさんの笑顔を見せられても嬉しくないと思いながらも、”ドロシーよろしー”と韻を踏みながら小踊りをされなくて良かったと思うことにしました。


 南野さんは仕事に慣れているのか、丁寧に道案内をしてくれました。

 優しいオジ様は、どんなに変な人でもカッコよく見えてくるものでした。

 彼によると、 オッズは美しいエメラルドの芝生にいるというのです。

 そこまでは、レンガの道をまっすぐ歩き続けます。


「そう、あなたが競馬師なら、右耳に赤い鉛筆をさして行きなさい。競馬予想にはつきものです」


 ……私は競馬師では無いのだが。


 しかし、優しそうなイケオジ南野さんに言われるまま、赤鉛筆を耳にさして歩き始めました。



「競馬にそこまでハマって無いんだけどな。けど、万馬券で億万長者を目指すのもいいか」



 (ここで星を入れますか?)


 こちら、星を入れなくても進めるタイプの選択肢ですが、面白かったら星を入れて頂けると、作者はにっこり微笑みます。

 応援頂けると、ギャグは返しませんが小躍りします。


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