ヤンデレのカンナ、メンヘラのアノン

双子と一緒に。終わり 6/10

 奈落市での違法バーは、世間的にもかなり大きなニュースとなった。

 どうやら、警官がマークしていたというのは、本当の事で、事件内容はブラックだ。


 麻薬は当たり前で、日本客に対してはボッタクリ。

 さらに、乱交をしながら酒を楽しむという始末。

 それだけでなく、警察官が立ち寄った際には、治外法権という言葉を使い、追い払ったとか。


 また、それでも強硬な姿勢を見せようものなら、差別と都合よく言葉を使い、ネットでも騒いでいたらしい。


 その実態は、やりたい放題の無法地帯。

 中には、行方知れずの子供を売買していたという噂まである。


 だからこそ、こういう現実を知っていたアノンさんは、「外国人がカッコいいのは、映画の中だけ」と冷たく切り捨てたのだ。


 今回の騒ぎは、『乱闘騒ぎ』という一件で捜査を進められたが、氷山の一角だろう。


 普通の外国人相手なら、ここまでアレコレは言わないだろうけど。

 事が事なだけに、近隣住民からは不安の声が上がっていた。


 まあ、平和ボケし過ぎていた僕達も、悪いと言えば悪い。


 そして、リョウマと蕩坂さんは別れることになり、ヘイタの胸の怪我は相変わらずだが、前より話せるようになっていた。


 学校では、双子の姿を見かける度にビクついて、少しだけ可愛そうではあった。


 仕方がない事とはいえ、胸が痛い。

 しかし、蕩坂さんを含め、周りの人達が危ない人に関わりを持たないで過ごせるなら、それでいいんじゃないか、と思う。


 広まるのが早い噂を聞き流し、僕は青空を見上げて、ちょっと気分に浸る。


「……なんで、家にくんだよ」


 あれから、毎日双子が家にきていた。

 カンナさんは髪を下ろし、ちゃんとした格好で、お母さんに挨拶まできた。


 アノンさんに至っては、絶対に思ってもいないような、僕を褒めちぎることをお母さんに言いまくり、取り入ろうとしている。


 つまり、僕は外堀を埋められていた。


 町で有名な双子だから、お母さんはかなり警戒していた。

 けど、噂とは違う姿に、「良い子じゃない」と誤認していた。


 ヤンデレとメンヘラのコンビに目をつけられたら、もう逃げ場はないのだろう。


 僕は痛感した。

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