教習番号③あおり運転〜ダメ、ゼッタイ〜



 車に乗ることは便利な反面、危険がいっぱいだ。

 

 例えば、あおり運転。前の車の運転が気に入らないからといって、わざと車間距離を縮めたり割り込んできたりする厄介な連中がいるんだ。できるだけ関わりたくはないが、出てきたときは仕方ない。手荒なまねはしたくないのだがな。対処しなければならないときも出てくるだろう。ドライブレコーダーの電源はちゃんとついているな? よし。


 お、後ろの車、ウィンカーを右に出してきた。今、我々は一番左の車線を走っているわけだから右を通って追い越そうとしているのだろう。


 ん、ちょっと待て。ルームミラーを見てくれ。後ろのドライバーの顔が見えるだろう。彼、めちゃくちゃしかめ面をしているじゃないか! まさか。俺たちを睨んでる? しかも後部座席にもう一人座ってる。こいつも険しい表情だ。何やら喋っているな。奥にある黒いのは? 武器か。ということは、もしかしたら俺たちをいかに攻撃するか策を練っているのかもしれないぞ。となると右に車がきてしまったらどうなるか? 答えは一つ、狙撃されるのみだ。このままではやられる!


 追いつかれてはならない。よし、速度を上げろ。後ろの車が右車線に移ってきた。そのまま車三台分まで迫ってくる。なんとかこのまま逃げ切りたい。


 くそ! 前に車がいる。このままでは追い付かれる! 奴らはすぐ斜め後ろまで来ている。落ち着け、落ち着け。そうだ、逆にこっちが奴らの前へくればいい。そうしたら追い付かれても後部座席から狙撃なんてできないだろう。自分たちのフロントガラスを破るだけだからな。そしてそのまま加速して右を走り続ければ。よし、逃げ切ることができるぞ。それじゃあ敵にタイミングを計らせないために、ダミーの指示器を右に。まだ移らないぞ。前の車ギリギリまで、やってきて――。進路変更だ!


 

 ふう。なんとかなったな。どういう状況であれ、あおり運転はダメ。ゼッタイ。


 



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