第3話 完成!

 さて、角ウサギを無事狩ることに成功したわけですが、

「血の滴るウサギをそのまま鞄にいれるのは気が引けるなぁ、森イチゴは諦めるしかないみたい」

 狩ってからどうするかは全く考えてなかったのです、てへ。解体も新鮮なまましたいしさっさと帰るが吉!大人しくここは帰ることにした。


「よーし、できた!」

 取りあえず可食部以外はすべて取り除いた、あとは焼くだけの生肉だ。

「早速焼きましょーっとね」

 種火と木は一杯あるので火に関しては大丈夫、火をつけるのも他の子には負けない自信がある。子供の頃からやってるもん、

 もちろん錬金術士、料理も錬金釜です!水が張っていますがそこは錬金術、焼いた肉にしたいときは焼いたものが出てくるのだ!水は触媒というか緩衝材というか、錬金する際は水であって水でないモノになる。めちゃ端折るとそんな感じ!錬金術ってスゲーって事で。

「ただ水を入れて混ぜるだけではないのだよ、ふふふ」

 ここに果実油を加えると、ぽんっとな!ジューシーこんがり肉ができた!

 あとは胡椒と取ってきたモレンの実の果汁を掛けたら完成!では温かいうちに、

「いただきます!」

 早速一口、肉の旨味と程よいモレンの酸味、胡椒のスパイスもいい!

「うぅ、おいひぃよぉ...」

 美味しくてちょっと涙でてきた、これも頑張った自分へのご褒美だ。今焼いた分全部食べるのも勿体無い気もするけど、やっぱり頂こうウサギさんに感謝だ!

「ご馳走様でした!...さて、本題は特製ドリンクですよ、このままじゃ私はレンジャーになってしまいます。あくまでも私は錬金術士なんですからね!」

 その前に風呂、はないので水浴び!すぐそこに湖があるのでね!

「久しぶりに歩いて身体べとべとだぁ」

 へとへとなのはあの失敗特製ドリンクでなんとかなってるが、この身体の不快感は水浴びしかない。ここは魔法使いが羨ましい、唱えるだけで身体の汚れがあーだこーだ。

「冷やぁ...寮のお風呂ぉぉぉっ...」

 やはり生活水準というのは上げてはいけないのだ。錬金術士の最高峰の学園だけあって設備があまりにもラグジュアリーすぎた、それに慣れてしまったがゆえの...

「普通の家で普通に暮らしたい...過酷なサバイバルじゃなくて、ぬくぬくスローライフがしたいよぉ」

 嘆く私であった、

「そろそろ上がろうっと」

 湖からあがってふと視線が前方にある木に目がつく、その木には小ぶりな赤い実が沢山付いていたからだ。

 木の実が逃げる訳ないのはわかっているが慌てて着替えて駆け寄る。

「綺麗」

 思わず声に出た、赤い実は木漏れ日に照らされ一粒一粒が光っていたからだ。

「でもこれ、食べられるのかな」

 植物図鑑を取り出し、確認する

 >ーーーー<

 アマの実

 甘い果実、その昔健康のために潰して出した汁を飲むこともあったと言われている、現在は人気がなく余り市場に出回らない実の一つ。

 >ーーーー<

「最高じゃん!私が作りたいものにぴったりだよぉ~!」

 早速頂いていこう!少し多めに貰いますよーっと。

 さぁ、錬金術の時間だっ!!

 

「錬金っ♪錬金♪」

 いつも通り回復ポーション(低級)が出来上がった、そこに滋養強壮効果のある滋強草と取ってきたモレンの実とアマの実をいれる、すると少し濁った黄色い液体になった!

「よし、あとは小瓶に移して...できた!」

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 特製元気ドリンク

 新米錬金術士が作った特製ドリンク

 ???


 完成度 並

 >ーーーー<

 あとは実際に飲んでみよう、

「...っ!美味しい!美味しいよ!やった!出来たんだ!私にもっ...!くぅぅ!」

「やったあああああ!!!」

 錬金成功だ!

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 特製元気ドリンク

 新米錬金術士が作った特製ドリンク、甘く、口当たりもよい。

 滋養強壮効果があり、飲むと疲れもたちまち吹き飛ぶ。



 完成度 並

 >ーーーー<


「こうしちゃいられない、早速瓶に詰めていこう!」

 こんなことならポーション用の小瓶をケチらず沢山買っとけばよかった。取りあえず20本、価格は普通の栄養剤がたしか600G...私の作ったのはそれより効果がないから400Gいや300...それだと原材料と手間賃が...350!間をとって350Gにしよう!

「よし、あとは売るだけ!」

 皆より少し遅れたかもしれないけど、着実に前に進んでる!今日は十分動いて水浴びもしちゃったし明日から頑張ろう、沢山売れるといいな。私の特製ドリンク。

 ーー最後の小瓶をトントンと爪で叩いて鞄に入れた。

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