第18話
▫︎◇▫︎
5年後
「ままー、ぱぱー」
「ちちうえー、ははうえー」
可愛らしい双子のような子供達が仲良く手を繋いでメアリーとギルバート、キャサリンとレイナードの元へと元気に走ってきた。
「あらあらシャーリー、何かいいことでもあったの?」
婚約破棄騒動から5年、昔の愛くるしさは大分鳴りを潜め、美しいと印象が強くなったメアリーがギルバートとの間に恵まれた愛し子を抱きしめながら聞いた。
シャーリーと呼ばれた少女は、可愛らしい真っ白なくまさんのぬいぐるみを片腕で抱きしめて、ギルバートに似た美しい印象の強い彫刻のような顔とメアリーと同じ若葉のような瞳に喜色満面の笑みを浮かべ、複雑に編み込まれて青い花を刺されたキラキラと輝く銀髪を揺らして話し始めた。
「るいーずしゃまがね、3しゃいのおたんじょうびぷりぇじぇんとをくれたのー!!」
「そう、よかったわねぇー、シャーリー。ルイーズ君、シャーリーにお誕生日プレゼントを用意してくれてありがとうね。」
「うん!!」
シャーリーと同じく母親に抱かれたルイーズは短い銀髪に手をやり、優しげな穏やかな顔と若葉のような瞳を照れ臭そうに崩しながら、お揃いであるのだろうシャーリーと同じくまさんのぬいぐるみを片腕で抱きしめていた。
子供達がお互いの方を向き合ったのに気がついた母親達はすっと我が子のことを離した。
子供達はお揃いを見てもらって満足したのかまた芝生の方に元気に走って行った。
「メアリーはお揃いのクマの伝説を知っているかしら?」
「ギルとやったことがあるわ。」
「流石ね。」
相変わらず吊り目なキャサリンの言葉にメアリーが当然だと言わんばかりに答えた。
2人の視線の先にはそれぞれの愛し子がいて、隣には愛してやまない旦那様がいる。
蹴落とし合い、陥れ合い、戦略めぐる王城の一角には、甘くて優しい雰囲気が流れていた。
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