第20話 【宙才エリス/個人Vtuver】改めて初めまして! 超天才魔法使いVtuver、ママと一緒にデビューだよ! ゲーム配信もしちゃう!【メスガキローグライク】 そのさん



『ゲーム実況に関しては……難しいわね。正直ゲームの中身が気になってみる人は実況がノイズになるし、人を見に来ている人達にはゲーム内容って不快でなければいい程度だから。ゲームそのものや、強い言葉でキャラを貶すとかを避けて、極力黙らないでイベントとかにしっかり反応していく。後はゲームに集中し過ぎずにコメントも読む……くらいかしら。あぁ、そうね。大事なこと忘れてた。ゲームを楽しんじゃいなさい。楽しんでいる人の方が見ている人は楽しいわ』


   §


「それじゃまず、えりりんもゲーム初心者で分からないだろうからこのゲームについて軽く説明するわね。メスガキローグライクは、ジャンルとしてはそのままローグライク。ローグライクは、日本だと不思議のダンジョン系って言えば想像しやすいかな」


「わ、わかんないかも」


 不思議のダンジョン……ダンジョンのゲームでいいんだよね?


コメント

・ローグライクめっちゃ好き

・ハマると延々とやり続けちゃうから時間が溶けるのよ

・マギモンの探検隊とか未だにやってる

・不思議のダンジョンがわからないとは、マジで初心者なのね

・無知シチュ助かる


 コメントを見る限りかなり人気のあるジャンルなのかな。知っておいた方が良いのかも?


「不思議のダンジョンは入る度にダンジョンの作りが変わるタイプのゲームね。それでマップ固定にしたり、2Dアクション要素を足したり、元の形から離れてきているのをローグライトって言うわ。そういう意味では今回のメスガキローグライクはローグライトに当て嵌るけど、ローグライトもローグライクの一種だから気にしないで大丈夫」


「はぇ〜」


 流石ユウ。すっごい詳しい……頼りになるなぁ。


コメント

・ローグライトなんてあんのか、知らんかった

・普通に勉強になった

・最近のローグライク色々違くてしっくりこないなって思ってたから、助かる

・(正直最近のやつはやたら難易度高くて単調だからすぐ飽きる)


「それで内容は……そこはやっちゃえばわかるか。早速始めちゃいましょう」


「うん! じゃあさっそく……」


「あ、ちょっと待って。少し目をつむってくれる?」


「え? う、うん」


 言われるがままに目をつむる。操作音が何回か聞こえてから手元にコントローラーがやって来た。なにやったんだろ?


コメント

・あっ

・なるほどね

・難しくするのは良くあるけど簡単にするのは珍しい……

・これだけでゲームの腕が察せられるわ


「?????」


「それじゃ始めましょう」


   §


 はじめからを押すと、画面はいきなり暗い洞窟の中を映し出した。そこには倒れている男の人と、黒いコウモリのような羽で羽ばたいているちっちゃい女の子。




主人公

「ここは……ダンジョン? 一体何が起きたんだ」▼


メスガキング

「あっ、おにーさん起きたんだ〜? よわよわでずっと気絶してるから、死んじゃったのかと思った〜」▼


主人公

「あ?」▼




「メスガキングってなに……!?」


コメント

・うーん、これは王道メスガキ

・キングなのかメスガキなのか

・両方やぞ

・王道のメスガキだからキング……ってコト!?

・<冷やし鍋ラーメン>キングって王様じゃないの? 女の子でもいいの?

・そこは気にしたら負けじゃね




メスガキング

「な〜んにもわかんないかわいそうなおにーさんの為に、私が説明してあげるね〜? 私ったらやっさし〜」▼


ナレーション

「貴方はダンジョンの中に閉じ込められました。この状況下から脱する為には以下の条件をクリアしなければなりません。

1. 5つあるダンジョンの奥に進み、最奥にある封印を破ること

2. 封印はそれぞれ守護者がいるので、それを倒さなければいけません

3. 道中にも敵が出てくるので、戦うか逃げるかで生き残りましょう。しかし敵を倒すと経験値やアイテムなどダンジョン攻略に役立つものをドロップするので逃げ続けるのはオススメしません

4. 武器や魔法はダンジョンの中にある宝箱を開くと入手できます。内容はランダムです(ダンジョンに入る際にランダムに武器と魔法が一つずつ入手できます)

5. HPが0になると所持品を失った状態でこの場所に戻されます。ただし封印の状態は維持されるので再度攻略する必要はありません。再度同じ守護者と戦いたい場合は同じダンジョンに入りましょう」▼


メスガキング

「クリア出来なかったらず〜っとお兄さんはこの場所に閉じ込められちゃうの。でももしクリア出来たら……おにーさん、その時はね? 私のことを好きにしていいんだよ?」▼


主人公

「好きに……?」▼


メスガキング

「うん、どんなことだってできちゃう。ま~おにーさんザコっぽいから無理だろうけどね~?」▼


主人公

「は? なめるなクソガキ……」▼




「あっ、凄い! これ相互呪縛呪詛式そうごじゅばくじゅそしきだ!」


 適切に相互呪縛呪詛式のルールに則った説明をしてる。このゲームを作った人、多分魔法使いか、魔法について詳しいタイプの人だ!


「なにそれ?」


「ママは知らないとまずいよ……?」


 知らないとまずいからって理由で全体魔法の授業でやってたよね……? あれ、中等部の頃の内容だっけ。でもユウだって中学生のころに勉強してたんじゃないかな?


コメント

・わかりやすく最近のローグライクって感じ

・一々ボスを倒さなくていいのは助かるわな

・好きにしていい……?

・エッッッッッッッッッッッッケザックス

・【エッケザックス】ディートリッヒ伝説に出てくる架空の剣。小人アルベリッヒが鍛え、巨人エッケが持っていたが最終的にはディートリッヒのものとなる。

・エッケザックス解説助かる

・相互呪縛……なに?

・魔法雑談早速来るのか!?

・まんじゅうママちょっと呆れられてて草なんだ


「相互呪縛呪詛式だよ〜。うん、確かに名前がちょっと長いよね」


「それ説明して大丈夫? 大丈夫そうなら教えてくれない?」


「いいよ〜。相互呪縛呪詛式は第九定式の呪詛の一種で、人を呪わば穴二つっていう言葉を利用してお互いを呪う魔法なんだ〜」


コメント

・ほほう?

・すまない、さっぱりだ

・日本語でおk

・定式……?

・定式は魔法の発動のさせ方……の種類の一つでええんかね

・<冷やし鍋ラーメン>あってる。定式の中でも数字を振られているのはある程度確立された発動式

・コメ欄にも魔法使いおるやん


「相互呪縛呪詛式の発動のさせ方は、一つ目にルールと解決手段の提示。二つ目にメリットデメリットの提示をするの。発動すれば相手と一緒に自分も縛っちゃうから扱いは難しいけれど、上手い人なら相手の承諾なしに縛れる、怖いタイプの魔法契約って感じかな」


 だから第九定式が使える資質を持っている人は、基本的に国家資格で縛り付けられる。国家資格に合格しなければ第九定式の行使をやってはいけないことになってる。聖約によって悪事に利用できないとしても、グレーゾーンでの利用はなくならないから使用自体にある程度制約があるんだ。


「なるほど。そういうのもあるのね」


「ママ……お勉強しよ?」


コメント

・なるほど、魔法契約

・魔法契約はしたことあるから何となくわかった

・大企業とかだと契約の時に魔法使い呼んで魔法契約するらしいよね

・承諾なしで縛れるの怖すぎん?

・メリットとデメリット釣り合ってなくてもええんか

・ママ……

・悲報。まんじゅうママ、娘に勉強しようと言われる


「うるさい。自分の資質と関係ない魔法に関しては積極的に勉強しないのが普通なのよ。えりりんがちょっと特殊なだけだから」


「えへへ~、天才だからね~」


「はいはい、そろそろゲームに戻るよ。チュートリアルすら出来てないんだから」


コメント

・かわいい

・かわいい

・魔法に関してはマジで天才なのね

・<冷やし鍋ラーメン>かわいいいいい~~~!!!

・魔法ってそもそも資質がなければ使えないんじゃないの?


「魔法使いになる資格と、それぞれの魔法が使える資質は別だよ~。ママみたいな魔法絵師とかはほぼ間違いなく全員創型の魔法資質を持ってるし、第九定式は干型とか異型が多いかな? ってずっと語れちゃうから終わり! ゲーム進めるよ~!」


 チュートリアルで操作を確認してから、第一ダンジョンに入っていく。さあ、頑張るぞ~!




※作者による読まなくてもいい設定語り

 相互呪縛呪詛式について。

 ほぼ文中の説明通り。使用者が各上だったのなら相手の同意なしで、メリットとデメリットが釣り合っていない一方的な契約をさせることが出来るやばい魔法……ではあるのだが、デメリットはどれだけ釣り合わなくても必ず一つ設定しなければならないし、人を呪わば穴二つを利用しているために不公平であればあるほどに使用者にデバフがかかる。実はそんなにコスパの良い魔法じゃない。

 アリスやユウに対して一方的にこれを使えるのは、学園長と桔梗先生くらい。桔梗先生が実際にやっちゃうかどうかはお悩み中。

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