まったりM&A現場閑話★M&A交渉に向けた虎の巻(1.M&A交渉の原則(決着レンジ))

今回は、「1. M&A交渉の原則(決着の法則)」について説明します。


✔︎基本的にはWin-Winの考え方が必要です。


 M&A交渉においては、双方に利益が生じるWin-Winの考え方が不可欠です。

 裁判のような圧倒的な勝利を目指すのではなく、双方が納得できる合意を目指すことが肝要です。

 なぜなら、両者にはいつでも「撤退する」という選択肢が存在し、自社の妥協範囲外の条件に同意することはまずありません。


✔︎決着点は、両者の妥協レンジの重複範囲の中にしかありません。


 決着点は双方の妥協レンジが重なる領域にあることが一般的です。

 例えば、買収側の予算が100億円であり、売却側の売却最低希望価額が80億円であれば、決着レンジは80~100億円になります。


✔︎自社の妥協レンジを明確にし、相手の妥協レンジを推測することが重要です。


 自社の妥協範囲を明確にすると同時に、相手の妥協レンジを推測することが肝心です。

 相手の主張の履歴や発言から、相手の譲れないポイントを突き止める努力が必要です。

 例えば、「3桁以上にはこだわりたいから100億円以下はNG」といった条件があるかもしれません。こうしたポイントを見逃さずに把握することが重要です。


✔︎無駄に勝ち過ぎを狙わないことが大切で、むしろ妥協レンジを広げる工夫が求められます。


 必要以上の勝利追求のために交渉を繰りかえしても、上記の通りで獲得できる目途はありません。

 むしろ自社や相手の妥協範囲を広げる努力をすることが建設的です。

 欲張ることはせず、代わりに諸契約の条件を緩和するなどの方法で、交渉の余地を広げることが重要です。


最後に……


「影響の小さい細部にこだわって交渉に時間をかけたから、シナジー発揮タイミングが遅れてしまって、結果としたらさっさと合意した方が得だった」

というようなケースも少なくありません。


『タイム イズ マネー』


 ビジネスの世界では複利で聞いてきます。必要以上の妥協は避けつつも、時間の価値を理解し、効果的に活用することが成功の鍵となります。






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