タジダリ ータスクイーンとネッシンシー

七熊レン

プロローグ「最初の瞬間」

 日本人離れしぎた、艷やかで長い、綺麗な銀髪。

 中性的で端整な、まるでロボットにでも見間違えるような、起伏の薄い、物憂げな眼鏡姿。

 ブルームーンを授けられたかのごとき、幻想的で、冷静さと暖かさを兼ね備えた両目。 

 一挙手一投足が実にさまになる、スラッと伸びた両手、両足。 

 カウンター越しでも漂う、シトラスの香水と、スマートでクールな雰囲気。

 


「ねぇ」



 極めつけに、その美貌から放たれる、忠犬かず〇を彷彿とさせるハスキーボイス。



 熱田にえた あつし

 これが彼にとって初めての、一目惚れ。

 そして、初恋の瞬間であり。


 

「どうしてフリーズしてるのよ。

 早くして頂戴ちょうだい

 あたしの大切な時間ものを、必要以上に奪わないでくれるかしら」



 上から寄りだと判明した所為せいで失恋を余儀なくされた。

 かもしれない、あまりに複雑な、最初の瞬間でもあった。

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