第8話 医務室 ③

「友香よ、早速良き友が得られたようで何よりだな?」


学長様?顔は笑っていらっしゃいますけど目が笑ってはいないんですが、何故でしょうかね?


「うん!」


友香さん?そんなにくっつかないで下さい!

腕を固められて、痛いんですけど?

あっ、学長様の視線がますます痛いです!

威圧感が凄いんですけど?


「此処に来る前に、君達が映った防犯カメラの映像を確認させてもらった。」


「えっ、あんな短時間でですか?」


「いや、朝から学内で君が噂になっていたからな。気になって調べさせてもらった。友香ともずっと一緒に行動しておったようだからな?」


噂って、どんな噂ですか?

悪い話ではないですよね?

あまり目立ちたくはないんですけど!

あっ、もしかして僕達今日一日、監視されてましたか? 

それって、防犯カメラではなくて監視カメラですよね?


「友香よ、この後学長室まで来るように。」


「え〜?この後、真成と遊ぶんだけど〜!」


「明日にしなさい。良いかね?」


「ぶ〜っ、わ・か・り・ま・し・た〜っ!」


「素直で、よろしい。」


学長様、何処が素直なんでしょうか?

友香さん?貴方、最初のイメージと全然違うんですけど?

何か悪いものでも食べさせられてたんですか?


ワイワイガヤガヤしていると、ドアをノックされる。


「どうぞ、空いてますよ〜?」


杉田さんが促すと、小柄で少しふくよかな黒髪少女が入ってきた。


「あっ、あの時の!」


「あっ、貴方が渡来さんですね?今日はありがとうございました!私、鈴木由利子といいます!宜しくお願いします!」


そう、僕が医務室まで運んだ、抱き心地の良かった少女だった。

あ〜、でも、僕の個人情報ダダ漏れですね?

この大学、大丈夫でしょうか?


「杉田さん、会ってほしい人って彼女ですよね?由利子さん、元気そうで、何よりです!」


「すみませんが、お礼が言いたくて無理言ってお呼びして頂いちゃいました!あのまま倒れていたら、大怪我したかもしれないって友達から聞いて!」


何故か、僕ではなくて、友香を睨みながら話し続ける由利子さん。

同時に、力いっぱい僕にしがみつく友香。

二人の間に火花が散っているような気がするのは、勿論気のせいですよね?


ナンデコウナルノデスカ?

ボクガナニヲシタッテイウノデスカ?


「では、杉田さん、後を頼んだよ。」


学長が去った後も、睨み合う二人。

僕も帰って良いですか?

そうですか、駄目ですか。

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