夕陽の綺麗な部屋

綴。

第1話 ⭐プロローグ⭐

暖かな光が差し込む部屋。

優しい風になびくレースのカーテン。

以前住んでいた部屋よりも少し狭くなったけど、静かで心地よい部屋。


すっかり慣れたこの生活はとてもシンプルな毎日だ。仕事から帰ると洗濯物を取り込んで、食事の用意をして食べる。時にはベランダからぼーっと夕陽を眺める。とても気に入っている景色が広がっている。



部屋は白い家具で統一されている。料理がしやすいキッチンに小さな食卓テーブル。小さめのテレビに小さめのソファーが置いてある部屋。

壁際にある白い棚にはB/《びーすらっしゅ》のCDやDVDがたくさん並んでいる。そして、いくつかのサインが大事に並べて飾ってある。

寝室のベッドの上には少し古くなった大きなパンダのぬいぐるみが座っている。いつも変わらない優しい顔で見ていてくれる。サイドテーブルにはクリーム色のランプと目覚まし時計を置いている。


今日はのんびりとした休日。

片付けをしていた碧の目に止まった、少し使い古した数札のノートを見つけた。こっそり書いていた、想い出がたっぷりと詰まった日記帳だ。


擦れて薄くなったプリクラも貼ってある。サッカー部のメンバーとふざけてとった写真。大きなおにぎりを持ったはるが笑っていた。

はるあおの笑顔の写真もたくさんある。そこには陽との記憶がたくさん綴られている。

久しぶりだなぁ……。

少しためらいながら深呼吸をして、碧はゆっくりとページを開いた。


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