第2話 リターン オブ ここが私の魂の場所

 に落とされて、私の乗る機体はもう動かない。ここまでだ。


「マギー……」と相棒の声が聞こえる。私は「あなたは優しいのね……ファットマン」と口にするのが精一杯だった。光と音、そして熱に全身が包まれる。痛みをこえた猛烈な衝撃によって身体が微塵に変わる。私の意識は自分の死の瞬間をはっきりと捉えた。そして全てが漆黒の闇に塗りつぶされる。


 ——私は選ばれなかった。


 静寂。冷たく重く粘りつくような闇。耳障りな声が聞こえてくる。


「あー、ああーッ。えっと、聞こえてるかな?」


 ——うッさい。ほおっておいてくれ。


「あれあれ?ビビっちゃったのかな?」


「誰がビビるものかッ!!」


 私はそう叫んだ。周囲が白い光とも靄とも言えない空間に囲まれていた。体の感覚はない。意識だけが浮いているように感じる。


「異世界にようこそ!歓迎しよう、盛大にな!!」


 白い空間の中、わざとらしく両腕を広げて、私——マグノリア・カーティス——を出迎えたのは一機のACであった。知っている機体だ。昔話にでてきた青い機体。9翅ではなく6翅。ハングドマン。世界の観測者。


「オレはこの(自称)だ」


 無理がありすぎるだろ。何もギリシャ・ローマの頃の衣裳を着せなくてもと思う。滑稽さよりも薄気味の悪さが先走って、私は何事かを言うべきなのだろうが、言葉が出てこない。考えることを止めて、相手の様子を伺うことにした。


「ブルー・マグノリアよ。貴女に使命をあたえよう」


 その名前で私を呼ぶな。私は選ばれなかった者だ。使命だと?何故、私なのだ?


「この世界を救済して欲しい」


 ——!?。


 時間が膠着したような感覚に襲われる。救済?救済とは何だ?何を言っているんだ。このACは?


特別な力チートを使いこなすが良い。黒い鳥を滅ぼすのだ。貴女ならそれが出来るはずだ」


 ——ま、待て。


「世に平穏のあらんことを!」


 その台詞を聞いたと同時に私の意識は白い光で塗りつぶされた。 

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