第30話:最後は勿論……


「そ、その声は……ガンナー……?」


「おいっ‼ テカテカした黒く太く固い鎧野郎っ‼ こっちを見ろっ‼」


 そこに居たのは、ガンナー‼ なんだけど……あれ……? 


 上半身は普通……下半身は……露出していて……『あれ』がビンビンに……伸びて、いる……っ?


「キャアアァァァァァァァァ‼‼‼」


 露出している‼ この人また露出しているっ‼ 


「お前はさっき見ただろ!? 少しは耐性つけろっ‼」


「無理でしょそんなのっ‼ だって……あれが……」


 ちょろっと見ただけだったげど、片腕くらい……大きくて、目から離れてくれないっ‼


「なに、それ……」


 鎧の人がドン引きしながら言った。


「なにって? 『ナニ』さ」


 うっわ、最低のダジャレ。


 ガンナーは腰を振りながら鎧の人へ向かって行く。


「こっ、こっちに向けないでっ……‼」


 鎧の人も狼狽えているみたいで、大剣の動きが止まった。おかげで風はもうやってこないので、ようやく立ち上がることができた。


 ガンナーが腰を振りながら近づいていく。


「ほれほれー。これが欲しいんだろう?」


「ち、近づかないでっ……‼」


 鎧の人はわたしに向けていた大剣をガンナーの元へ飛ばす。ガンナーは前転して回避するけど、ガンナーが居た場所には大剣が突き刺さった。


「馬鹿っ‼ 当たったら死ぬだろうがっ‼」


「そんなの君が……悪いでしょ……‼」


「戦場に良い悪いがあるかぁ‼」


「なに茶番やっているんですか!?」


 助けに来てくれたのかって思ったら、露出狂になっちゃったんですか!?


「茶番じゃねぇって‼」


 そう言うと襲ってきた大剣の柄を掴むガンナー。更に刃の部分を避けて、体を擦りつける。


「この大剣は俺が引き留めておくっ‼ お前はお前のやることをしろっ‼」


「……っ! は、はいっ‼」


 わたしの為に……ガンナーの気持ち、決して無駄にはしないっ‼ ローション滑走法で鎧の人に向かう。距離はあと少しだ‼


「なんでっ……こうなるのっ‼」


「それは敗北した後に考えて下さいっ‼」


「僕が負けるだって……? ありえない……君たちなんかにっ……‼」


 鎧の人がもう一本の大剣を両手に、抜刀する構えを取る。間違いない、さっきわたしに放ってきた一撃だ!  


 だけどさっきと違って、明確に死の感覚がする。もしかしたら、本気でわたしを殺すつもりなのかもしれない。


 けど、けれどっ、わたしは止まらないっ‼


 たとえ死ぬのだとしても突き進むっ‼


「わたしは守るんだぁー‼」


 鎧の人は踏み込み、大剣を振るった。


 大剣がわたしに迫り……、


「おい……私を忘れてはいないか……?」


 ……防がれた。金髪の少女の剣によって。


「ルナティっ‼」


 火花散る剣同士のぶつかり合い。大きさや勢いは大剣の方が上なのに、ルナティは一歩を引かない。けれど身に着けている鎧はボロボロで、見るからに満身創痍。それでも彼女の背中は最高に頼もしかった。


「君……まだ立てるの!?」


「ああ……だがここまでボロボロになったのは幼少期以来だがな‼ 絶望の淵に立たされてこそ、人は退化‼ ……じゃない、成長するのだっ‼」


「大事なそこ間違えますか!? めっちゃ良いシーンだったのにっ‼」


 命の奪い合いをしているんですからね!? まあルナティらしいですけどっ‼


「このチャンスを逃すなっ‼ 全てをコイツにぶつけるんだ、ふゆりんっ‼」


「――はいっ‼」


 目標が目の前に居るっ‼ 剣の打ち合いを避けて、鎧の人の元へ潜り込もうとする。


「君はっ……」


 しかし嫌な予感に気がついたのか、大剣を捨ててバックステップをした。


 見逃さないっ‼ 足元へローションを飛ばすっ‼


「うわっ‼」


 ローションショットが着弾し、盛大に転んだ。今の内と、仰向けとなった鎧の上に跨る。


「な、なにを……する……気?」


「自爆チート……って知ってますか?」


「……知らない。知らないっ‼」


 仕方ないですね。説明してあげましょうか。


「簡単に言えば、わたしは今から自爆します。そして貴方も巻き込まれます」


「――え……?」


「それじゃあ、一緒に汚い花火を打ち上げましょう‼」





 ――ドガァーーーン‼

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