第12話

「とにかく、この子今は寝せておくしかないわよ。何回も会えば耐性がついて普通に会えるようになるかもしれないけど」

「僕はなんで平気なんです?」

「高天原で一回会ってるから耐性付いてるんじゃないかしら?もしくは元から図太いとか?」

「そーゆーもんですか」

 問題ないんなら、まあいいか。

 抱き着いたままのスティアをお姫様だっこで運び、寝袋に寝かせた。首に回された腕が外せなかったので 少しの間直近で見つめ合っていたら何故か安心したように力が抜けて寝入った。



 さてここからは神迎えの儀だ?

「さて それではご要望のお肉をばずず、ずいーと調理いたして進ぜましょう」

「待ってました」

 ヘレナをだっこしてチェアに座りご機嫌なアマテラス様。とゆけさんは黙礼。

 みんなで食べていいか断ってからお土産の味噌汁を傍らで温める。


 肉焼きの儀もだいぶ慣れてきて次々木皿へと乗せていくが、同じ勢いで減っていく。

 ヘレナはアマテラス様からあーんをしてもらい相変わらず美味しそうに食べる。本神?は合間々に自分の分を口に運び幸せそうに食べている。

 とゆけさんはといえば一切れづつをゆっくり確かめるように味わいながら。

 途中で温まった味噌汁を出してみんなで頂く。

 芋茎の味と噛み心地、好きなんだよね。大根とか玉ねぎの甘みも捨てがたいけど、これはこれで。

 切った肉を消費しさらに切り出した分を食べて 宴は終了。

 残った分は忘れないうちに とゆけさんに直行。


「美味しかったー♪ 最近食べたお肉の中では一、二を争う味だったわ」

「何よりでした。また何かあったら遠慮せずに遊びに来て下さい。大歓迎です」


「頂いた肉は大切に料理したいと思います。今度は私の料理も食べて頂きたいです」

「とゆけさん、お味噌汁ありがとうございました。すごく美味しかったです。とゆけさんの他の料理もぜひ食べたいです」


 食後のお茶を飲んでから風呂を進めたら、頂いていくわ♪との事で、女性人のお風呂タイム。

 テント側にポールを立てて簡易に幕を張り湧水の泉を望む露天風呂完成。

 読者サービス?なんですかそれ?知らない子ですね?


 ◇


「アマテラス様帰っちゃうのですか」

「また美味しいのが獲れたら来るわよ♪」

「わかりましたー!大きくて美味しいの仕留めるので、また来てください!」

 帰る時には出現した重厚そうな木製ドアのノブを回して引いて開けて入るだけ、派手な演出無しのさらっと帰還。

 閉める途中のドアから半身をのぞかせ手を振ってのお別れでした。


 ◇◇◇


『嵐は過ぎ去りましたか?』

「喋らないなと思ってたらセルフサイレントモードだったんか」

『君子危うきに近寄らず、鳴かぬなら撃たなかったのに雉、などと古き格言にもありますので』

「うん、アマテラス様達も帰ったし燻製の肉引っかけたらお風呂入ろうか」

 スティアにも露天風呂を楽しんでもらいたかったけど、無理に起こすのも可哀そうだし起きるまで寝せとこう。

「ヘレナもお手伝いいたします!」

「よし、それじゃ二人でやっちゃおう」

 ヘレナにフック掛けしてもらった肉をどんどん掛けてゆく。

 塩加減がさらに適当になったけどそれもまたよし。

 寝る前に熾を足してチップ《削りくず》を足しとけば明日の朝にはそれなりに仕上がっている事であろう。


 脱いだ服を膜に引っかけ全裸にてお湯を汲んで体を洗う。

 少しぬるくなっていたので加温しながら ゆっくりと湯船に。

 神様が入ったお湯ってなんか効能とかご利益ついてそうなんだけど、どーなんだろう?怖い考えになってしまったので鑑定は封印。


 縁に頭を乗せてゆっくりしていると「ヘレナも入るー!」との掛け声で一気に服を脱いだ小女神突入。二人並んで寝湯を満喫。


 10分くらいしたらスティアが起きてきた。

「ごめんなさい、疲れてたのかしら?いつの間にか寝ちゃったみたいね。でも、なんだかすごくいい夢がみれたわ。」

「お姉ちゃん!どんな夢見たの?」

「覚えてるかぎりだと、、、なにかとても怖いものにあって、そこに誰だか判らないけど大好きだってわかる人が助けに来てくれて、なんだかすごく嬉しくなって抱きしめたら抱きしめられて もっと欲しくなって、その人が誰か確かめようとして手を伸ばしたら残念な事に目が覚めちゃった。人に言うと照れちゃう内容ね。 欲求不満なのかしら?」

 ヘレナさん、ニヤつきながら肘でわき腹つつくのはやめて下さい。


「それじゃ、僕出るからスティア入っちゃったら?」

「そんな気を使わなくて大丈夫よ!10歳相手に照れたりしないから。」

 言いつつ服を脱ぎ始めたので僕は逆方向を向いた。


「ここに置いてある四角いの石鹸かしら?使ってもいい?」

「いいですよ。脇の箱に体を洗う専用のタオルも入ってるからそれも使って」


「ありがとう!、、、ってこれ凄い泡立つわね。ザラザラで擦って洗うの変な感じだけど、旅の間の汚れも一気に落ちそう」


 ◇◇◇


「すごいわ!このタオルと石鹸、ちょっと赤くなるけど、肌が一皮剥けたみたい!売ってもらうことできるかしら⁉」

「それ強く擦り過ぎ!、、、案内の代金代わりってことで、タダでいいよー。あと箱の中に出っ張りのあるボトルあるでしょ?髪用の石鹸と、、、リンスってなんて言い換えればいいんだ?、、、ヘレナ、シャンプーとリンスの説明と使うお手伝い頼んでもいい?」

「了解しました!美容師ヘレナお姉ちゃんの髪を洗っちゃいます!でもその前に、外は寒いからお風呂で温まって下さーい。」


 ◇◇◇


「んー!気持ちいいい!溶けそー!でもなんでこのお湯真っ白なの?」

「色々考えた結果と収納の中に温泉の元があったから、スティアが体洗ってる間に大量に溶かしました。、、、もうそっち向いても大丈夫?」

 振り返ると、スティアが真っ赤な顔で固まっていた。

 たぶん深ーいところで覚えてて無意識に出てくるのかもしれない。落ち着くまで後ろ向いとくか。


「ありがとう、なんでかしら、、、ケイに見られると意識して何故か恥ずかしくなっちゃって、、、変ね?ハンターの仕事の時の水浴びで男に見られたって平気なのに、、、」

「ウン ダイジョウブ ソンナトキモ アルッテ」

「そうよね!時間がたてば大丈夫、、、、、たぶん」


 ◇◇◇


「まずは髪の毛にお湯をかけまーす。それから手で泡立てたシャンプーで綺麗にワシャワシャします。目にしみるので目をつぶって下さーい。

 ◇

 泡がたたないので流してもう一回です。」

 ◇

「ヘレナちゃん!これも凄いわ!

 すごくサッパリして気持ちいい」

「よろこんでいただけて、何よりなのです。

 ところで、おきゃくさん 痒いところはありませんか?」

「えっ?痒い所はないから大丈夫よ?お客さん?」

 ネットで見た美容院コントかなんかなんだろーなー。ドリフコントに飛ばないことを祈ろう。




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