第3話 目覚めと現状

見切り発車が災いしてストック切れました。

かなり筆遅いですが頑張ります。そしてやってくる新しい小説書きたい病……。

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「だぅ……?」


 おや、私は凶弾に倒れてしまっていたはず……。ここは一体どこなのでしょうか。

 それにしても体がうまく動きませんね。血が流れすぎたのでしょうか。呂律も回らないですし、何より頭が重たく感じます。


「おや、梅華ちゃんは元気ですねぇ」


 ん?

 私はすでに16を迎えた少女ですよ?梅華ちゃんなんて呼ばれるキャラではありませんが……。


「さぁ、オムツを交換しましょうね~」


 おおお!?

 びっくりしました。私の身体をいとも簡単に持ち上げる看護師さん。

 そうですよね、オムツ……重症患者ですもんね。花菱家の長女として培ってきた尊厳がゴリゴリと音を立てて崩れています。


「生まれた時は息をしていなかったので心配ましたが、どうやら現在は問題ないようですね」

「ですね。生後一週間の時点では問題なしっと。このまま健康に成長していって欲しいものです」


 生後一週間?何を言っているのでしょうか……まるで私が赤ちゃんのようではありませんか。




 閑話休題。



 端的に申し上げましょう、私は赤ちゃんでした。

 明らかな異常事態に、戸惑いが隠し切れませんがどうやら私は前世の記憶を持った状態で転生したようです。先ほどまで死にかけていた感覚が残っていたので、夢であることはないでしょう。


 抱き上げられている時に電子時計を確認したのですが、確かに2025年2月8日と表示されていました。私たちは2月1日生まれですから、間違いないでしょう。


 しかし、落ち着いてくるとじわじわと涙がこみ上げてきます。

 この涙が家族と再会できた嬉しさなのか死んでしまった悲しみなのかは分かりません。ちなみに私が泣いているのに気付いた看護師さんにまたオムツを交換されました。解せないです。


 しかし、これがもし第二の人生だとしたら私はどうするでしょうか。

 生生しい現実が家族に降りかかってくる訳です。


 考えなくても分かる、単純な話でした。

 以前、お爺様に言われた事を思い出します。あの時、お爺様は『降りかかってくる火の粉は払ってしまえばよい』と言っておられたのでした。


「あぅゎ~~」


 私は決意しました。

 何をしてでも、私や家族を守って見せます。


 ◇  ◇  ◇


 月日は流れ4歳になった冬の日、とうとう練りに練った計画を実行に移す時がやってきました。待ち受ける未来を想像してしまい、思わず手が震えてしまいます。ですが、私の力でそんな未来は捻じ曲げてみせます。


 何をするにしてもまずはお金です、私は資金を獲得しようと考えました。

 これに関しては簡単です。私は前世の記憶を持っています。お爺様について会社の経営を学んでいた私は当然ですが株の値動きを知っています。


 近い将来、株価が跳ね上がる銘柄を中心に買い付けていきます。

 ちなみに株を買うための資金については貯めていたお小遣いと、お爺様にお願いをしてお勉強ということで1000万円ほど用意してあります。


 キーボードを叩いて、購入を進めます。これが1億2億と大化けするのですが、インサイダーを疑われても何も証拠はありません。私の記憶を覗ける魔法使いでもいない限り資金を増やし続けることができます。


 私は株を中心とした投資を行った結果得た利益を別の隠し口座に移動させ、お爺様にいも悟られないように密かに取引を続けました。


「お姉ちゃん何してるのー?」

「何してるのー?」

「うーん……あ、そうだ!お母様がおやつを用意してると言っていましたよ?」

「おやつ!!」

「お姉ちゃんはやくいこう!はやくっ!」


 未だにカタカタやっている私の服をぐいぐい引っ張ってくる妹達。おやつで誤魔化されてくれる時間はあとどの程度残されているでしょうか……。心が非常に痛みますが、今の段階で私の計画をうっかり漏らされては困ります。

 あと11年、全てを終わらせるまで何としてでも隠し通さねばなりません。ですので、今は妹達と一緒におやつを食べに行くことにします。頭を使うと、糖分が欲しくなるのです。


「あらぁ、私の娘達は嗅覚も優れているみたいですね!」

「奥様、梅華お嬢様に先ほどお伝えされていたではありませんか」

「あらぁ?」

「「「タルトだ!!」」」


 お母様は大丈夫でしょうか。相変わらずののんびり具合に、思わずずっこけてしまいそうになります。私の計画が失敗すれなば、この日常も同時に失ってしまうのですね。


「梅華?食べなくて良いのですか?」

「はっ!!」


 お母様に指摘されるまで、どうやら手が止まっていたみたいです。手元に視線を感じると思ったら妹達が両側から私のタルトをかすめ取らんと、狙いを定めていました。


「「あぁぁ~~……」」


 取られぬうちにパクパク私の胃袋に詰め込んでいくと、妹達から何ともガッカリとした声があがりました。食い意地の張った妹達よ、先ほど同じ量を食べていたではないですか。


 これ以上食べたら太りますよ?そうですか、関係ないのですか。なに?おやつは別腹?くっ……実をいうと私もまだ食べ足りないのです……!妹達手に持っているものはなんですか!?お母様!私にもタルトのおかわりをください!!食い意地張ってるなどと生意気を言ってすみませんでした!!



 そうこうしているうちに冬は終わりを迎え、新緑芽吹く季節がやってきました。


「さすがにすぐには結果は出ませんよね」


 株の評価額をちらりと眺めながら、つい独り言が漏れてしまいます。

 ですが、ついこの間お爺様にお借りした金額を利子をつけてお返ししましたがあの時の茫然とした顔は大変貴重でしたね。ふふ、今でも思い出し笑いをしてしまいます。


 運用を開始して2か月。すでに4000万ほどの評価額へと膨れ上がっていますが、これらはまだまだ値上がりします。まず、億を超えたところで半分ほど売ってしまいましょう。

 売却して得た資金で、さらに多くの銘柄へと投資をします。お金がお金を作るのです。まるで現代における錬金術師にでもなった気分です。トレーダーとして就職しても前世の記憶が通じる15歳になるまでは、かなりのリターンを叩きだすことができるでしょう。


「ですがまだまだ足りません。もっと、もっと必要なんです……ほかの誰でもない、私の力となるお金が」


 そのためなら、私は非情にもなります。たとえ卑怯だと罵られようとも止めるつもりはありません。私の保有資産は恐るべき速度で増え続けました。




 そうして数ヶ月後。


 そうして自重なんてお構い無しで前世の知識に加えて実家のお金も使った結果、保有資産が計画通りに増えた。インサイダー取引を疑われて玄関のチャイムを鳴らされるくらいには疑われた。


 まあトラブルはあったのだが、私は起業することにした。詳細は割愛させていただくが、私が作った会社の名前を、HED株式会社という。


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