くくりつけられた風船の運命

迷子の風船が昔の自分のように思えて拾うという前半は、どこか牧歌的な感じすらします。が、その後の風船の運命は真逆な方向へと……。じんわりと闇を背負うような語り手の言葉が印象的で、冒頭の天候についての表現も結末を予告しているような不穏さに満ちています。悲しさとか孤独とか単純には言い表せない読後感に浸っています。

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迷子の風船